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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第七章 力を持つモノ
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反撃を.2

という、アンノーン、もとい、ノアの冗談が的中した。





もしやるならフォルテかと思っていたのだが、だからこそ苦戦しつつも竜たちがそうさせないように追いかけ回していたのだが、まさかの悪魔の加勢が来たのだ。


一瞬だった。


手薄だった軍の背後から人形の魔物が襲い掛かった。女性の形だったから、反撃が遅れ、あっという間に二・三人連れ去られた。

蝙蝠の群れが悪魔の姿を隠し、分裂した。


しまった。人間を盾にされた。


「南の仙人!」


「ザラキだ」


「ザラキさんお願いします!」


「はいよ!」


「レーニォ!」


「なんや!?」


カリアの治療をニックが引き受け、ザラキが注意深く魔力を探り、人がいないと判断したものを纏威で破壊した。

人がいるものは、ノアが何らかの力で蝙蝠と悪魔を気絶させ、落ちてきた人を、戦ってる途中でニックに呼び出されたレーニォが受け止めた。


だが。


「おい!もう一人見つからんぞ!!」


「こっちも蝙蝠の塊見付からないんだけど」


見渡す限りの範囲には、もう蝙蝠の群れはいなかった。


だが。


「バッカ!!何処見てんだ!!あっち見ろ!!!」


役目を終えてこちらへ駆けてきたノルベルトが指差す。

それは首都の結界近くにいる竜だった。だが、その竜の様子は何処か違和感があった。そうだ、翼の動きがおかしいのだ。

まさか。


『ふふ、時間切れー。ざんねんでした』


楽しげな女性の声。次の瞬間、竜の体がバラけ、中から口を押さえられた人間を抱えた女悪魔が現れた。

しまった。擬態をしていたのか。


誰もがそう思った。次の瞬間。


『ばいばい』


「う、うわああああああああーーーーーーっっ!!!!」


手を離された。

人が落ちていく。精霊を動かしても、魔法の干渉さえも間に合わない。


そして。











バシン。













ぞわりとした感覚が背筋を駆け上がる。


得たいの知れない恐怖が膨れ上がる。


結界に触れた人は、一瞬のうちに蒸発した。

計画は順調だった。


このままいければと思った。


だが、現実というものは何故こうも思い道理にいかないのか。








「冗談だったんだけどなぁ」








と、傍らで最悪の事態が発生したときにと用意していたモノを起動させるため、ニックが詠唱を始めるのを聴きながらノアは思った。


まぁ、そういう冗談というのは大抵的中するものだ。


懐に手入れ、目的のモノを引きずり出す。

出来るならば、使いたくはなかったが、これもある種の罰だと思えば堪えられる気がした。




取り出したのは、懐中時計に似たものだった。


似たものというのは、何故か指針が3つ並んでいたから。

一つは遅く動き、一つは早く動く。

一見すると、秒針、分針、時針が三つに分かれたのかと思うかもしれないが、通常の時刻はきちんと真ん中に表示されていた。


ここに来る前に、使わないのなら貸してくれと手に入れた神具だ。


名を、狂い時計といった。







「出来るだけ長く止めておくつもりだから、後は頼んだよ。ユイにもよろしく言っといて、って、先行く奴らに言っといて』


「何を…、!!」


ザラキがこちらを向いて、驚愕した。この時計を知っているのか。


何かを話す前に、ザラキに向かって人差し指を立てて「しー」と言えば、理解したのか口を閉じた。これは最大の見せ場で、罪滅ぼしでもあるんだ。邪魔をしないで欲しい。



「さぁ、狂い時計よ。奴らに一子報いようか』



チッチッチッ、と規則正しく刻んでいた針が遅くなり、止まった。



迫り来る魔力の膜が見えない壁に阻まれたように動きを止めた。


そして、遅れてニックの魔法が発動。フォルテが突然浮力を無くし、落下する。それに驚き慌てて体勢を立て直すが、体の異変に対処しきれず、何度攻撃を受けてもめげなかったグレイダンが迫り、フォルテの胴へと噛み付いた。


「…止まった?」


キリコが確かめるように呟く。


と、その時。


「カミーユの奴、やるじゃねーいってええ!!?」


「!?」


黒い塊が飛んできたと思ったら、そのまま話途中のノルベルトに直撃した。

勢いのまま転がるノルベルト、そして飛んできたものはノルベルトに弾かれ上方へ。それを隣にいたレーニォがキャッチした。


「……ネコや」


ネコであった。


『やっと止まった!!あ!』


ノルベルトを弾き飛ばすほどの勢いで飛んできたが比較的元気なネコは、こちらを向いて手をバタバタさせた。


『大変!!ライハがヤバいよ!!助けて!!』


あのライハが大変?もしや、親玉でも出たのか?

すぐさまレーニォは脇腹を押さえつつよろよろと立ち上がったノルベルトを掴み上げる。


「任せとき!!ライハは何処や!?」


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