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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第七章 力を持つモノ
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総力戦、開始.5

明日の投稿怪しいです

明後日の投稿になるかも

腕だけ吹っ飛ばした位じゃ再生される。上顎ごと破壊した目はまだ再生されてない。


試すチャンスだ。


「ふぅぅ……」


ビキビキと剣から音が鳴る。吐く息が白く、剣から冷気が漂ってくる。練習はしていたが、この剣で本番は初めてだ。柄は熱いのに、刃の方から冷気がやって来るのは不思議な感じだ。

いけるか?


いや、いかねばならない!!


「しっ!!!」


地面を踏み締め、目標へと向けて剣を振った。

剣先から飛ばされた斬激は、魔力に混じって氷の粒が光を反射しながら蛇女の腕を切り飛ばし、冷気によって欠片が凍り付いた。


「うぉおお……、なにあれコッワ」


ただ、予想外だったのは。

ユイとナリータ共同魔法であるエケネイスが、オレの魔法で強化されたのか、蛇女の腕に含まれていた僅かな水分すらも凍り付かせ、まるで無数の棘に貫かれたようになった。範囲は切り飛ばした腕と、エケネイスが侵入しようとしていた胸の半分程まで。

ギシギシと嫌な音を立てながら、胴体に無数のヒビを入れている。


「危ない!!!」


高速で何かが飛んでくる音が聞こえた。振り返り、視界に飛び込んできたのは、火の玉。


防御を──


──ドォゴオオオオオオンンンンッ!!!!


視界を遮る壁が突如として出現し、火の玉は壁にぶつかって破裂。熱風が襲う。

氷は!?


振り替えるが、遠くに冷凍されて転がった腕も、拘束完了した胴体も無事だった。それにユイとナリータが今だとばかりに次なるエケネイスを生成し、胴体に食い付かせていた。


『ライハ無事!?』


「ネコ!」


限界まで広げた尻尾を盾にして、攻撃を防いだのか。また強くなってるな。




『あいつら、来たよ』





「!」



──ザワリ…



冷気を放っていた剣が燃えるように熱くなっていく。ざわざわとしたものが体を駆け巡る。この気配、忘れるものか。

視線の先にいるのは、かつて仲間を焼き付くした悪魔。大事な奴を殺し尽くした悪魔。


何度も何度も甦り、夢の中でオレを苦しめた記憶が、再びオレの中で鮮明に再生され、心を憎悪に染め尽くす。その間に繰り返される言葉。


──ぶっ殺してやる。


剣に怒りを憎しみを込めていけば、小さくビイイイと音を立てながら細かく震動する。憎い憎い憎い、殺す殺す殺す殺す。だが、その感情は瞬く間に剣へと流れて力を増大させる。


地面がひび割れ、盛り上がる。


「ネコ、いくぞ」


『うん』


ネコが肩に乗り、踵に魔方陣を二つの配置した。あの二人はここで仕留める。























向かってくる悪魔の攻撃を、銃弾によって相殺している。

属性は“火焔”。このジャスティス()によって打ち出される炎の塊は、城壁に大きなヒビを入れるほども威力がある。なのに、それを相殺するなんて、なんて魔法弾なんだ。


それに。


「ずいぶん余裕そうなんだぞ」


炎の翼の者に、運ばれている奴はまだ攻撃をしてこない。だが、この二人組の話ならライハから聞いた。サラドラとフォルテ。ラビを殺った奴だ。


許せない。


後ろではまだ蛇の対応に追われている。

ここで出来るだけ食い止めないと。


だが。


「!?」


黒い棒状のものが飛んできた。

火の玉ではない。なんだあれ!?


『当たっちゃダメ!!』


「!!」


ネコの声で、棒状のものを弾こうと撃ったが、信じられないことに弾が呑み込まれ、そのまま突っ込んできた。

必死に飛び退く。間一髪で避けることに成功した棒状の物は地面に突き刺さり、勢い余って回転しつつ後方へと跳ねていく。

地面に叩き付けられる体に、土塊が降り注ぐ。

その視界の向こう側に、相殺漏れした火の玉が風を切って、皆の元へと飛んでいく。


着弾地点を見て、叫んだ。


「危ない!!!」


ライハが振り返り様に防御しようとするが、間に合わない。

だが、一瞬のうちに現れたネコが尻尾を広げ炎の玉を防御した。


鳴り響く轟音に、ライハの後ろにいたニック達も驚きに目を開いていた。その中で、レーニォだけがすぐさま立ち上がり、何故か切り飛ばされた蛇女の腕へと走っていく。


ビキビキと、地面にヒビが入っていく。なんだと見れば、ライハから恐ろしい程の殺意と魔力が漏れ出していた。次の瞬間、爆音と共にライハの姿が消え、俺の前に現れた。


気付かなかった。


すぐそばまで魔物が来ていて、武器を振り上げていたなんて。

それをライハは、既に回転蹴りの姿勢をとっており。脚に纏わせた蹴りにて、魔物をサラドラの方へと力一杯蹴り飛ばした。


鳴ってはならない音を立てながら魔物は飛んでいく。


次いで、またしてもライハの足元が輝くと、爆音を上げて空高くへと舞い上がっていた。

見えなかった……。


「痛いっ!」


援護をと、立ち上がろうとした時、足に痛みが走って転倒した。見てみれば、ズボンから大量の血が滲んでいる。さっきの攻撃を避けたときに、弾かれてきた何かで深く斬ったのか。

きちんと怪我をするのも久し振りで、注意が行き届かなかった。


「怪我したのか!?看せろ!!」


ニックが走って来ている。


頭上からけたたましい音と光が鳴り響く。

ライハはあの頃よりも禍々しい気配を纏って剣を奮っていた。

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