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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第七章 力を持つモノ
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決戦前.4

『む?』


突然グレイダンが顔をあげた。

キョロキョロと辺りを見渡し、南を睨み付ける。


「どうしたの?」


それにキリコが気付き声を掛けると、グレイダンは困った顔をキリコに向けた。


『喚ばれている』


「喚ばれている?」


『大将ー!!!』


遠くから、グレイダンの部下たちが走ってやってきた。各々顔に焦りの表情を引っ付けて。


『い、今、命令がっ!』


『ああ、聞こえた。………にしても信じられん』


どういうことだと首を傾けつつ待っていれば、キリコの方を向き、グレイダンが説明を始めた。


『竜王から、外の者も即帰還せよと、命令が下った。有り得んことだ。あの、竜王が、竜の掟を破った者を呼び寄せるなどと。今まで一度も無かったことだ』


竜王。

アギラの王にして絶対的な権力者。


同じアギラの地で、その存在は神のように気高く強いものだった。それはアシュレイにも同じ事で、幼い頃しかアギラで過ごせなかったキリコでさえ、その存在は絶対的な君臨者で、グレイダンの言う事がとても信じられない事だった。


「聞き間違いとかは?」


『無い。竜笛にしても、共鳴にしても、この大陸中に響き渡るこれは、竜王以外では成し得ないものだ。……緊急事態か?しかし……』


考え悩む。呼び戻される命令を下されたとあっても、グレイダンは既にアギラとは縁を切っている。いくら竜王の命令とあっても守る義理は既に存在しない。

もしかしたら、のこのこ戻れば殺される可能性だってあるのだ。


だが。


『………大将ぉ……』


『分かってる』


これは、明らかにグレイダンへの強制も入り交じっていた。


そこで、ふとグレイダンは思い付いた。もしや、これは北の巨人と同盟の件だろうか?どちらだろうか?共戦の意思を伝えてくるのか、はたまた恥をかかせたと処刑されるのか。


キリコを見る。


離れたくは無かったが、もし、共戦の件のことだとすれば我がいなければ詳しいことが解らないのだろう。

誰が伝えたのか知らぬが、グレイダンは賭けに出ることを決意した。


グレイダンの目に力が宿るのをキリコは見た。


何かを決意した目だ。


『キリコ、すまない。我は君らと共にいけない。先にやらなければならぬことが出来た』













え、と誰かの声が漏れた。


『すまない』


「いえ、あの。割りと戦力的に期待してたんで残念ではありますが、大丈夫なんですか?その…なんだろう、酷い目に遭ったりとかは?」


『分からぬが、呼ばれた以上は行かねばならん』


「そう、ですか」


心配だったが、グレイダンは引くことはしない。決心が既にできているようだ。


『本当にすまない。けれど、もし、これが我の思う最高のものだとするならば、今後の戦況に大きく影響してくると思う』


どういうことなんだ?


ノルベルトやシェルムがなにやらハッとしている顔をしているが、なんだ?


『我ら、アギラの竜達の参戦だ。しかも、我らは敵と見なしたものに容赦はしない。例え翼が燃えても、骨が砕けても、敵を討ち滅ぼすまで戦い続ける。きっと力になるだろう』


皆の顔が明るくなる。

先の戦争では、竜達の凄まじさを語るものが多い。


仲間になってくれるならば、鬼に金棒だ。だが、後ろに控えるグレイダンの部下の中には表情が優れない者もいた。


もしや、最悪のものは処刑とかじゃないだろうな?

竜は掟に厳しいと聞いた。

グレイダンは掟に逆らい島を抜け、巨人に会いに行った。

もしこれが禁忌とかに触れてとかじゃ。


キリコを見るが、表情が読めない。


だが、嬉しそうではなさそうだ。


『と、言うわけで君たちを運べそうにない。仲間を置いていくことも出来ぬから、これだけは本当にすまなく思ってる。だが、きっとすぐに大きな力を携えて戻ってくるから、少しくらいは我らの活躍の為に敵を残しておいてくれ!』


いつものようにあっけらかんと笑うグレイダン。

だが、オレはグレイダンの死地へと向かうような、決意した目が気になって仕方がなかった。











グレイダン達が南へと飛んでいく。


それを見守りながら、ニックが頭をガシガシ掻きながら別の移動手段を考えねぇとなと呟いていた。


グレイダンの抜けた穴は大きい。さて、どうしたもんかと考えようとした所で、




「やぁやぁ、皆さんお揃いで」




後ろから聞きなれない男の声がした。


『ライハ……』


気配が全くなかった。足音も何も。


振り返り様、柄に手を掛けた。

が、そこにいた人物を見て驚いた。


見慣れない男の側に、スイとユイが付き従っていたのだ。

ユイがこちらに苦笑する。


「久しぶりだな、アマツ君」

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