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INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第七章 力を持つモノ
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裏の者.9

槍の先から渦を巻いた水が発射され、それが一気に肥大すると、カリアと刺の間に割って入り刺を取り込み無効化した。だが、取り込みきれなかった刺が方向転換して再びカリアへと向かう。


「しめた!!使わせてもらうね!!天駆ける白い翼に身を委ね、北へ北へと登り行く、その心、瞳に映すは白銀の世界!その地に住まう雄大な主の、その御手をお借りする!!!ギガンスキ・ルカ!!!」


突然アウソの放った水が震え、形を変えた。


「ちょっと!なにこの水!!やりにくい!!」


そう言いながらも水はどんどん変わり、遂には大きな手の形の氷となってカリアへと迫っていた刺を全て叩き落とした。


「……これは、驚いた」


無事に着地を果たしたカリアが驚きの表情をしながら呟いていた。


今のは魔法?


ついでとばかりに氷が刺の隙間に入り込んで固定しようとしているが、強度が足りないのか簡単にヒビが入ってきている。ナリータ自信も辛そうだ。


急いで地面に手を着き、ナリータの氷を補強するために地面を凍らせた。すると、冷た!?と、ゴーレム近くにいたノルベルトから。警告するの忘れてた。


「よし!解除完了!!」


ニックからそんな声が、途端ゴーレムのものから魔力が瞬く間に霧散し、色も剥がれ落ちて黒から茶色へと変わっていく。

あれ、ネコの魔力で変色していたのか。


「いけるか?」


『行く!!くそー、よくもネコの魔力をバクバク食べてくれたな!!覚悟しろー!!』


視界の端から黒いものが一直線に飛んでいく。


「ネコ!?」


もう回復したのか!

思ったが。


『仕返しじゃあー!!!』


耳を後ろに、毛を逆立てたネコの顔は猛獣そのもので、ああ、自分の魔力で好き勝手やられて怒り狂っているだけだと理解した。

あの状態のネコは危険だ。援護しよう。


「ネコが行くぞ!!気を付けろ!!」


警告すれば、レーニォが慌てて道を開けた。


「核があの中に埋まってる!!刺もまだ来るからな!!」


「分かった!!」


何とかして氷を退かそうとしていたゴーレムの腕をノルベルトが切り飛ばし、そこへ怒り狂ったネコが参上。


『本当のネコビームを食らえ!!』


ネコの口に魔力が集まり、激しく光が瞬いた次の瞬間、鋭い電光がゴーレムを襲った。


炎上するゴーレム。崩れる体躯。今までのオレ達の苦労ってと思わずにいられないほどの圧倒的な破壊力。お前、オレがニックの結界を気にして撃たなかったのに、そんなにバカスカ撃って大丈夫なのかとニックを振り替えると。


「……うぐぉぉぉーーーぅ……」


「………」


案の定倒れてた。


怒り狂ったネコほど恐ろしいものはない。


「ほら、今のうちに核壊すよ」


カリアがやって来てそう言った。ゴーレムはネコビームで気が逸れ、胸元の核の守りが緩まって露出している。


「いやしかしですねカリアさん。あのビームの雨の中に突入する勇気ないです」


「生存率でいったら、ここにいる誰よりも高いから大丈夫よ」


うんうんと頷く面々。

適材適所とノルベルトから聞こえた。後で覚えてろ。


「くっそ!くっそ!行ってきます!!」


涙を拭いつつ(涙出てない)オレはビーム降りしきる中突入した。こういうとき程、雷の矢を編み出して良かったなと思った。ゴーレムはネコに手一杯でオレに刺を出す余裕もなく、ネコビームを雷の矢で剃らしつつゴーレムの核へと辿り着くと、せめてもの抵抗なのか核に結界が張られていた。


「これはネコビームの余波で壊すの無理そうだな。一転集中でいかないと。さて」


手を組み、魔力を纏わせて振り上げる。そして振り下ろした腕と共に力一杯核へと雷を落とした。
















「少しは俺を気遣え」


「すいませんでした」


『でした』


ほぼネコビームで墨となって消え去ったゴーレムの中から砕かれた赤い石を回収し、ニックが懐へと仕舞い込みながらこちらを睨んでいる。右手には魔力回復薬。その傍らに同じものの空瓶が三つほど。先程全てニックが(あお)ったものである。


「まぁいい。そら、休んでいる暇はないぞ。魔力をやるから手を貸せ。次はお前の剣だ」


ニックの手から魔力が注がれる。ゴーレムに吸われていた分の汚染されていた魔力を排出したあとにあのビームで、ネコの魔力が枯渇。首輪が作動する前に何故かオレの魔力が半分程持っていかれたので、(首輪から魔力吸われるの地味に辛いから嫌だそうだ)その分の魔力を貰っていた。


なんで直に飲まないのかって?


ニックの方が薬から魔力を吸収するのが上手いので、そっちから受け取った方が早いから。つまり、オレは薬から魔力吸収するのが下手くそだったのです。半分も吸収出来てない。


「こんなもんか。で?エルファラからはなんて?」


「訳のわからんアドバイスだけもらった」


「お前らもっとちゃんとコミュニケーション取れよ」


呆れるニックだが、エルファラと会話しようにも、あっちがその気にならないと対話できないのだ。オレのせいではない。


だけど、ひとつだけ確信して言えることはある。


「とりあえず、襲ってくるがオレの敵ではないらしい」


「は?──……ああ、なるほど」


今ので分かったのか。すごいな。オレは未だに分からないのに。


魔力受け取り完了して立ち上がる。


「よし、いっちょ頑張ってみるか」

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