表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
INTEGRATE!~召喚されたら呪われてた件~  作者: 古嶺こいし
第七章 力を持つモノ
487/745

裏の者.8

こいつ、厄介だ!!


瞬く光、一瞬の後に轟く爆音に鼓膜がやられそうになる。

一歩先の地面を抉った光の筋は間違いなくネコの雷ビーム。どういう事だと魔力を見てみると、ネコから凄い勢いで魔力が吸い上げられていた。


そのせいか、体がどんどん肥大し、今では見上げるほどにまで成長してしまっている。核が遠い。


しかもとんでもないことに、ネコの魔力を使い魔法を放つ。

それにはさすがのニックも想定外だったようで、目を丸くさせていた。ははは、ニックのその顔面白い。だけどもこんな状況では笑えない。


「相性がとことん悪いさ……、俺ここにいない方が良かったんじゃない?」


と、先程雷攻撃で固まっていたニックをカリアが投げ飛ばし、それをキャッチしたアウソが言う。ちなみに雷は俺が明後日の方向に飛ばした雷で狙いがそれた。


「それいったら俺らもだぜ?見てみ?武器金属だ」


ノルベルトが半笑いで言えば、レーニォが何とも言えない顔で黙っている。

そんな中、一人だけ微妙な顔をしているフリフリ服の女性。もとい、ナリータ。武器は持ってない、だけどその身体能力で持ってゴーレムの様子を伺っているようにも見えた。


ちなみにオレはというと、ネコ回収に戸惑っていた。


ゴーレムが、オレがネコを狙っていると察知するや、刺の一部をネコを囲んでイガ状態にしてしまっているのだ。触れればアウト。それを分かっていてのその状態なのか。知性がないというのは嘘じゃないのか?

それにしても、てっきりネコは用済みなのかと思ってたのに、魔力の貯蔵庫扱いにされていたとは。


魔力もガンガン吸い上げられている。


辛うじてまだオレの魔力の方に影響が出てないだけましだが、もしオレの魔力に干渉してこられたら厄介である。属性も威力も、あと、エルファラ関係。


「また来るぞ!!」


ノルベルトの声が上がると同時に、ゴーレムの口らしき部分から光線が放たれた。先程よりも細いが、早い。


「げっ!」


狙いはニックと、それを抱えているアウソだ。


やばい間に合うか?と軌道を逸らそうとした瞬間、アウソの足元が青く輝いた。


次の瞬間、アウソの姿が消えていて、雷が地面に穴を開ける。


「こっわ、まじこっわ」


胸を押さえたアウソとニックが、ゴーレムの反対方向へと移動していた。いつの間に。


「ライハ早く回収しろ!!」


ニックが怒鳴る。


「やっべ忘れてた」


慌ててネコへと駆けると、案の定刺が四方八方から襲い掛かってくる。最低限の動きで避けつつ、頭を働かせた。雷の矢では無理だな。穴を空けるにしても小さすぎるし、オレが通れるほどのものでは、ネコを巻き添えにしかねない。やはり剣が欲しい。切り裂けなくとも貫けるくらいの武器が。


「あ!」


良いこと思い付いた。


いつもは地面を凍らせる事しかしなかった氷を右腕に集めた。硬く鋭く。出来上がったのは、不恰好ながらもれっきとしたランスだ。刺を恐れるあまり、巨大になったが、何て事はない。要は穴を空ける事ができれば良いのだ。


「せやああああ!!!!」


刺に接触したアイスランスの表面が削れるが、ついでとばかりに跳ね返しの魔法盾がランスが崩壊しない程度に守ってくれている。刺自体の強度もそこまではない。

イガ状態の物体に大きく穴が開き、本体がこちらに攻撃してくる前にネコを回収して脱出した。


アイスランスが崩れる。ギリギリセーフだ。


「ネコをこっちに貸せ!!接続を断つ!!」


相変わらずアウソに横担ぎされたままのニックが全力で手招きしている。成る程、ネコの魔力を利用しているのなら、絶ってしまえば良いじゃないって事か。


ゴーレムが怒り狂っているのか、腕と思わしき物を振り下ろしてきた。拳には無数の刺。


「させるかああ!!!レーニォ!!」

「ほいさぁ!!」


鈍い音と共にゴーレムのバランスが崩れる。

ノルベルトとレーニォがゴーレムの全体重を支えている箇所に大剣とハルバートの攻撃によって、見事切断していた。


メキメキと体制を崩していくゴーレムの拳は明後日の方向へと振り下ろされ、結界に当たってひしゃげた。その隙にニックへネコを手渡すと、すぐさま詠唱を開始する。


ネコの体に浮かぶいくつもの魔方陣。


「くっそ!!堪えやがった!!」


悪態が聞こえ、そちらに目を向けるとゴーレムが倒れきらないように、胴体からいくつもの太い針を地面に突き刺し堪えていた。


が、ゴーレムの背後にチャンスとばかりに跳び上がる人物がいた。カリアだった。


「倒れるよ!!!」


不意打ちの攻撃だったのか、防御する間もなく、ゴーレムの首がカリアの蹴りによって飛んだ。その衝撃で、体重を支えていた刺が折れ、ゴーレムが横倒しになる。


だが、空中に取り残されたカリアに向かってゴーレムが仕返しとばかりに刺を放った。


「カリ──」

「っ!!!」


アウソがニックを離し、突然槍をカリアの方向へと向かって思い切り振るった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ