通令.2
「電撃戦?ですか」
「ああ、正確には抉り取り作戦って言うらしいんだがな。とうとう上層部が本気を出すらしい」
つい先程、上からの命令が降ってきた。
作戦名、抉り取り作戦は、その名の通りに敵の陣地を抉りながら進撃していく。真っ直ぐ進撃し、途中で弧を描きながら旋回、敵を分離させて神聖魔法を撃ち込んで弱体化させたら、控えていた本軍の波状攻撃で殲滅し、すぐに次のターゲットを分離させながら潜り込んでいく。
ラビが紙に地図を描き、ネコが尾で渦を作っては飲み込んでいく様子を再現した。ソレを見てフィランダー。
「なんか、砂浜を削り取る渦みたいですね」
「それな」
まさにソレ。
渦巻き作戦が良いですと手を上げたけど、多数決で負けた。
「でもそれって、下手したら敵の陣地で挟まれてこっちがヤバくないですか?」
ガスが言う。
「はい。ここの突撃部隊は何処よりも攻撃力が高く、機動力、応用力が求められるものとなってます。ゆえに危険が多く、けれども攻撃の要となる重要な部隊が配属されます」
それに淡々と返したところで、何かを察した奴等がソワ付きだした。
まさか、まさかだろう?と。
視線が飛んでくる。
そうだろう。この作戦を伝えているラビの顔が真顔であることと、オレのやたらテンションの高い態度で賢いやつらの顔がみるみる青ざめていく。
「隊長、まさか…」
なので、オレはにっこりと笑いながらこう言った。
「野郎共。上官からの命令だ。君達の剣に人類の存亡が掛かっている、覚悟を持って勝利の道を開いてくれ、てさ!マジくそ他人事だと思いやがって。エドワードさんめ、君達なら出来る出来るって軽く言うんじゃねーよ、前髪むしるぞ!!あっはっは!!」
「!!?」
「隊長が壊れた!!」
「隊長落ち着いて!!」
まーったくいつうちの遊撃隊は突撃隊になったんですかねぇ!?いくらうちの部隊が機動力あっても囲まれれば終わりなんですけど!!特にあの機関銃!!駿馬やられれば終わりなんだよ!!
エドワードさんよお!!その代わりに好きな装備を持っていけって言ったな!?覚悟しろよ!!
命令を完璧に遂行する為に遠慮なしにもぎ取ってやろう!!!




