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剣を奮え.1

「おはよう……」


翌朝、ラビがめっちゃ疲れてた。


「なんで疲れてんの?」


「それが──」


どうやらノルベルト、ガルネット、アレックスに戦闘術を仕込まれてたらしい。戦闘能力無いんだから逃げる練習をしろとずっと追い掛けられてたらしい。オレとニックが魔方陣の練習している間に面白いことになっていたんだな。


「ライハは?どうだった?」


「オレこんなん出来るようになった。ちょっとオレの剣でどっか殴ってみ」


「ええ、いや、なんで?」


「いいから」


「本当に大丈夫だろうな」


「大丈夫大丈夫」


黒剣を受け取るラビ。

その瞬間、剣を取り零しそうになり眉を潜める。


「お前の剣重くない?」


「そお?」


短剣と黒刀以外の剣を持ったこと無いから分からないけど、練習の木剣と同じくらいだからそんなに重くないと思うんだけど。


ラビが黒剣を担ぎ上げる。


「いくぞ。よいっしょ!!!」


剣が振り下ろされ左肩に衝突した。

すると、ズガンと音をさせて黒剣が吹っ飛んだ。


「うわっ!」


黒剣が地面に落ちる。


「いったぁー!!!」


ラビは衝突の衝撃で手に振動が跳ね返ってきて痺れを取ろうと手を振っている。


「凄くない!?これ!!昨日ニックと話し合って衝撃逃しの方向を、衝撃が来た方に設定することによってダメージを丸々返す、名付けて『防御は究極の攻撃』使用の魔方陣でーーげっふう!!!」


ラビの蹴りが鳩尾に入った。

踞り悶絶していると、回復したラビが一言。


「しかし、不意打ちには弱い、と。次やったら玉蹴り上げんからな」


「すいませんでした」









スマホを開く。

地図を見てみるとリオンスシャーレの北部に夥しい数の亀裂が入っていた。前に見たときには無かったものだ。


「ここはオリンポス平原の先にある山脈だね。ほら、ここ。子供の時に行ったことがある」


アレックスがスマホの画面、世界地図、そして神具のオートマップを見比べながら今後の予定を立てた。アレックスの西の制覇率が凄い。空白がほとんど無い。


「それにしても、こんな対極の所に。なんでだ?」


「そりゃあアレだろ」


ノルベルトが東南部を指で叩く。


「守りが手薄な所を叩くのが一番楽だからだ」


「ということはアレは囮だったと言うのか?」


「それが一番自然だ」


だとしたら本当に危険だ。

オレ達だけで行っても数で圧される可能性もある。


「こりゃあギルドに緊急の依頼張り付けておかねーとな」


「内容はどうするんだい」


「……なんか、北部に………、えーと…、正体不明の魔物が暴れまわっているとか、なんでもいい。とりあえず人さえ集めれば、事が起こったときに情報は走る。世界的に緊張状態だから動きは早いだろう」


「じゃあギルド本部に虎梟を飛ばしていくか。そうすれば多分調査隊が派遣されるかもだしな」


「万が一の時に備えて光印矢をここの近くに射してて良いか?そうすればこの人数でどうすることも出来なくなったとき撤退することが出来るだろう?」


「そうだな」


「そうしよう」


そんな感じで大まかに決めると、昼頃にオレ達は出発した。


「あ、ヤバい」


突然ニックが街の方を向く。


『どうしたの?』


「昨日の地面抉ったの戻すの忘れてた」


「あーあ」


「もう仕方なくない?」


「……今度来たときに埋めておく…」










駿馬を飛ばして北へ北へ。




目的地近くに辿り着いた時、リオンスシャーレの冬にしては厚い雲が覆っていて、風が血生臭い匂いを運んできていた。

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