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魔力操作.7

ギリスの魔術師は基本詠唱をしない。そして、位が上がっていくと魔方陣すら必要なくなってくる。


「飛ばし屋は詠唱してたじゃん」


「ああ、あれか。あれは昔魔法があまり浸透してなくて、魔法を使うときは全部詠唱をすると思っていたハンターがいてな、いきなり飛ばそうとしたら詠唱無く魔方陣が光ったのに驚いてパニックを起こして、危うく胴体真っ二つになるところだったからソレっぽいのを作って唱えているだけだ。詠唱の最後に魔法名称無かっただろ?」


「言われてみれば確かに」


行け!!で飛ばされてたな。


「だからアレは詠唱じゃなくソレっぽいもの。最近は詠唱無しで発動できることも広まったけど、なんか雰囲気的に受けたからまだ使ってるって感じ」


「なるほど」


確かにオレもこっちに飛ばされたときパニックを起こしたもんな。


「という感じに、魔法と言っても種類は様々だ。大まかに言えば“詠唱”、言霊発動系魔法だな。言葉にすることによってイメージを固めて成功率を上げといわれている。失敗するときは集中してないか、魔力が足りないか、詠唱を間違えてるか……。これは流派が多い、リオンスシャーレ流、煌和流、南リューセ山脈沿い……、他にも宗教によってとかある。神聖魔法は基本詠唱発動系魔法が主流だしな、ギリス人も神聖魔法は詠唱したりする」


「ほうほう」


「次に陣式発動系魔法。これも流派があるが、元々はギリスが発祥だ。それを他国が真似て改良したりしてる。特にパルジューナは古臭いとかいって色々はしょってデザイン重視で道具に組み込むから性能が落ちるんだよバーーーカ!!!……すまん、ちょっと思い出しムカついただけだから忘れてくれ」


突然怒り出したと思えば真顔で頭を振るニックは正直見てて面白かった。てか、アレックスがギリスとパルジューナは仲が悪いってそういう事か。


「ってな感じで、魔道具は手頃だが威力は物凄い下がる上に応用が利かない。その点魔方陣は設置に時間が掛かるが強力だ。ここまでは分かったか?」


「なんとなく」


過去に聞いたものの復習みたいだったからか、すんなり理解できた。


「で、こっからだが。ギリスの魔法は世界一の強さだ。……あ、精霊を使うのは別な。アレは自然現象を引き起こして貰ってるから今の魔法とは別物だ。俺達は精霊術とか、古代魔法と呼んでいる。それを使えるのはアールヴと本当の魔法使いだけだ」


「本当の魔法使い?魔術師は違うの?」


「魔術師も魔法使いに入りはするが、ギリスの魔術師は、魔法使いは古代魔法を使うものと教わる。これは一般の連中は知らないから、訂正するのもめんどくさいんで放置してる。俺達はその精霊術を低リスクで使おうと魔力を魔方陣で変化させる術を生み出したから魔術師って感じだ。ちなみに感覚系発動魔法は古代魔法の一部かどうか議論されている。俺は原始魔法系統だと思っているんだけどな……話が逸れた。で、昔は皆魔方陣をチマチマ描いてたんだ。でもソレのせいで敵に真っ先に狙われるわ時間掛かるわ。それでどうにかしようと考えて、ある方法を編み出した。それがーー」


杖を取り出す。魔力が滲み出て、杖の先端が輝き始めた。


「この、直接魔力で描く魔方陣だ」


キュンという音をさせて杖の先端に光の玉が出来ると物凄い早さで飛んでいき、着弾した所が大爆発を起こした。モウモウと黒煙が上がる。


本当に詠唱も魔方陣も無しでヤバイ魔法を撃ちやがった。


「こんな感じで先制攻撃をすることもできる。でも今のは上級魔法なので、先に初級の発火から始めよう。これは杖が要らないから、魔力操作出来れば誰でもできる。今度は魔力を良く見とけよ」


ニックが人差し指から魔力の靄を出し、それが突然あちこちに穴が開いて細く変形すると、魔方陣の形になった。


ボウと魔方陣の中心から火が生み出される。


「見たか?」


「見ました」


「これをみて何か気付かないか?」


「? 凄く難しそうだなって思いましたけど」


「バッカそっちじゃねーよ!! 魔方陣の方だよ!!」


魔方陣?


まだ消えてない魔方陣を良く観察して、気付いた。

これ、ニックに貰った魔方陣の本に出てくる火を生み出す魔方陣と同じだった。


「本に出てくるやつだ」


「正解。ギリスの魔術師は5つで魔力を見たり感じたりする事を教えられ、7つでお前がやってた玉で魔力を自在に変形させて操ることを教わり、9つで大量の魔方陣を暗記すると、12で初級試験を受けさせられる。真ん中は逆だが、ほとんどやってることは同じだろ?そっからは本人の努力次第だが、魔方陣が描ければ困ることはない。他の国はこんな厳しくないから、大人になっても魔方陣書を使ったりするけどな」


なんでニックがオレに魔方陣の本を渡したのかと思ったら。オレは知らないうちにギリスの魔術師にするための勉強をさせられていたらしい。

いや、役に立ってるよ。ありがたいよ。

でもなんか前から掌で転がされていたんだと思うと少しだけ複雑な気分だった。


「よし、じゃあ玉を攻略出来たみたいだから早速やってみるか!」


「なんで知ってんすか!」


「子供向けの修行道具には細工がしてんだよ」


そういうとニックが取り出した黒い玉には、まさに先ほどクリアした道が白く光っていた。

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