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魔力操作.4

ギリス・グレンドニアは魔力がとても多い。

それはエルトゥフの森に似た純粋な魔力が満ちているからか。目の前を蛍に似た光が通りすぎる。

風の精霊(フーシア)だ。


見上げれば上空にはたくさんの風の精霊と水の精霊(スーイ)が飛び回っていた。


「何見ているんだ?」


上を見ながら歩いているからか、ラビに声を掛けられた。


「凄い精霊がいるなって」


「精霊いるの?何処?」


「上の方に、物凄い数がいる」


ラビが上を見てみるもよくわからないらしく首を捻っている。その後ろでノルベルトとガルネットも何処だろうと探していた。


「無理だ。精霊を見る事が出来るのはギリスの魔術師の中でも三分の一程度だ。7つまではギリギリ全員見えるがな」


先頭を行くニックがいう。


「懐かしいなー、昔よく見ようとしてたっけな」


「いつの話持ち出してんだい」


食い付きそうなアレックスが何にも反応しないのはそういうわけか。


「ゆっくり観光している暇無いからな。近道するぞ。あ、そうだ」


ニックが何かを投げ、それを受けとる。見てみるとタグだった。


「身に付けとけ。厄介な呪いに掛かっているという証明書だから、普通に生活できる」


「便利。ありがとうございます」


「お代はカミーユから貰った魔法具だ。もう使わないだろ、角飾りの方だ。魔力関係のは持っとけ、何かと便利だ」


「へい」


せっかく貰ったものだが、仕方がない。

ニックに手渡すとニヤニヤしながらそれを眺めだした。


アレックスがやって来てニックを見ながらコソコソ言う。


「ニコラスな、パルジューナの魔法具の魔方陣の構造が気に入らないって拒否ってるけど、本当は装飾が綺麗だから好きなんだよ。でもギリスとパルジューナって仲が良くないから表立って買えないからこうして巻き上げてるって訳さ」


「ほお」


複雑なんだな。


ギリスの人達はみんな緑系色の髪に黄色の瞳を持っている。そしてフードを羽織り、木の杖を手にしている。しかし木の杖は人それぞれで形が異なる。


まっすぐ長いものもいれば、グネグネと曲がっているもの。捻れているもの。先の方で巻き始めているもの。

実はあれ、マクイ木らしい。

ホールデンで見た魔力を吸収する木。

そんなものを杖にして大丈夫なのかと思ったが本来マクイ木はやたらめたらに魔力を吸収する木ではなく、近くにある魔力を調整する木なんだと。

通常木は水と光で成長するものだが、マクイ木は魔力を水や光の代わりにする事ができる木で、魔力を溜め込み、受け流し、有事の際には魔力を放出する。しかも辺りの状況を察知し考える事が出来るらしく、魔力を全て成長に回して、圧倒的な早さで伸びたりもする。その反面、ある程度の魔力がないとすぐ枯れるのが玉に傷だが。


「チクセの時、洞窟が崩れかけたのを抑えたやつあっただろ?あれ、マクイ木」


「そうだったのか」


とても万能マクイ木。


しかしギリスのマクイ木は高性能だが生産が限られてるから輸出はしていないらしい。あれ?じゃあホールデンのあれはなんだ?野生のマクイ木か?


「お!」


突然ノルベルトが近くの店にフラフラと近付いていった。


「ノルベルト、寄り道している時間はーー」

「魔力酔い止めがある!!」


ショーケースの前でノルベルトが目をキラキラさせている。


それを見てニックが一つだけだぞと許可を出した。


「やったぜええええ!!!」


「静かにしろようるさい!」


『なぁ、どんなのあるか見てみようよ』


ネコも目をキラキラさせていた。

せっかくだしどんなものがあるか見てみるか。


「色んな物があるんだな」


店内で綺麗なガラス瓶に詰められた薬の表示を見ると、“呪い避け”というものがあった。ノルベルトが手にしているのは“魔力酔い止め”説明を見ると体内魔力の流れを調整する物らしい。オレの目の前にある“呪い避け”は、混沌魔法の効果を沈静化と書いてある。


中は白い錠剤だ。


これ効いたりしないかな。

そう思い購入した。


『まどいの洞窟みたいだったね』


「キラキラしてたな」


リベルターの店に似た雰囲気だった。最も精霊達や魔力のキラキラは無かったが。


「喜ぶかな」


魔力酔い止めに頬擦りしているノルベルトの横で、購入した物を眺めるガルネット。何を買ったのか、凄い笑顔だ。


そこからはニックの案内で歩いていく。ギリスは一面森に覆われ、中央に世界樹が立っている周りが少し開けた草原になっている国だ。街は、白煉瓦作りで、出来るだけ木を避けて作られていた。


「着いたぞ、ここだ」


着いたのは飛ばし屋と言われる店。


見た目は普通の雑貨屋だが。


「騎馬ごとの転送をお願いしたい」


ニックが先に入り、中にいる店員と話す。そしてオレの方を向いて一つ二つ確認のように質問をされると、頷いた。


「こちらへどうぞ」



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