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魔力操作.3

ラビは本当に一日で乗れるようになっていた。ただし、何をされたのか知らないが、乗っている間目付きが怖くなっているのが気になるが、好奇心はネコをも殺すというように恐らく良い話ではなさそうなのであえてスルーすることにした。


「次の川を渡ったら、右側の道な。左はこの前のルツァ事件で大穴が空いてる」


「りょーかい!」


朱麗馬が2頭いることもあって全体的に移動速度は早いが、カリア達のあの狂ったような速度ではないのでラビも着いていけてる。でも多分徐々に速度をあげていくんだろうなと予測をしている。


季節は冬に変わり、寒さが堪えるが、それでも旅をする人の数は多い。面白いことだが、夏の間はハンターだけのパーティーが目立っているが、冬になってくると魔術師の混じったパーティーが増え、ハンターだけのは減っていった。


ここらの魔術師は寒さに備えての魔法をたくさん覚えるようにしているから冬でも活動できるけど、ハンターだけだと凍死してしまうので、春までは何処かの街に居着いて春を待つか、南に下るのだと言う。


しかし、今ハンター達の数が減っているのは南の方で悪魔との戦争が起きているからだ。


空に空船と呼ばれる魔法の浮力で浮かし、鳥や風を使って移動する物をよく見かけるが、あれば首都や王都の本ギルドから、南の方にハンターを送るための搬送船なんだと。


緊急時の時にしか見掛けられないもので、先の戦争で各軍の到着が遅れ大損害が出たことから作られた物だと言う。ただし起動するのも凄いお金が飛んでいくので、使うのは緊急時位なんだとか。


そんな中、ひたすら逆方向へと向かうのはなんだか罪悪感が沸いたりする。逃げてるみたいで。逃げてる訳じゃないのだが、南は大変なことになっているのにと思うと、今からでも引き換えそうかと言う気になってくるのだ。


そんなことを言ったら。


「役目を果たしてから好きに動け、神は誰よりも上からこの世界を見ているんだ。そんな神が行けと言うからには何か起こっているんだよ。つべこべ考えている暇があるのなら、さっさとその球を制覇しろ」


と、ニックに怒られた。おっしゃる通りである。

ちなみに球はまだ制覇できていない。現在の攻略率はおよそ36%である。


カタツムリ並だと思われるが正にその通りで、魔力の先をカタツムリの触手のように恐る恐る伸ばしては安全地帯を模索していく作業を繰り返し行っているため、薄々ニックの魔力の先に意識を移せという言葉を理解し始めている最中だ。

おかげで戦闘中、魔力の出力を調整するのが出来るようになってきて、悪魔化の進行も緩やかだ。勿論魔法を使えば甲殻が広がってしまうが、それは後でニックに神聖魔法で治して貰えれば良い。


凄く痛いが、ドルイプチェのようにはもう二度となりたくないので、それと比べればと思うと十分耐えられるものだ。


あれは痛いし、何より心の傷になった。

知ってるかい?敵を前にした人の目って、物凄く冷たいし怖いんだよ。剣闘士時代に嫌と言うほど殺意を向けてくる人と戦ったけど、あれとは違うものだ。だってあれは仕方がないという諦めと純粋な殺意の目だったが、ドルイプチェのはただただ憎悪や嫌悪感の籠ったものだった。ぶるりと体が震える。思い出さないようにしよう。


魔物の数は日増しに増える。


それも、通常の魔物とは何処か違う亜種が圧倒的に増えている。亀裂のせいなのか何なのか。本来角のない魔物の頭に歪な角が生えているのは、なんだか恐怖を感じた。まるでこの世界の魔物が違う生物に変貌していくような、得体の知れない恐怖だ。















「やっとついた」


「ここが魔法大国ギリス・グレンドニアか」


「いつ見てもでっかいなぁ」


ノルベルトとラビ、そしてオレの三人で揃って額に手を当て空を仰ぐ。


空を貫く世界樹と見間違えん程の巨木が立ち並ぶそこは、魔術師達の国、ギリス・グレンドニアだ。


「彼処にあるのがイザベラで、あっちのがアリスって街だぞ」


「街なの!?」


『でっけぇー!!』


そう言えば、木が丸々都市になっているのがあるとか言われた気がしたけど、ここだったのか。ネコもフードを足場に立ち上がり、オレの頭に前足を突いて感動を露にしていた。肉球が当たって幸せ。


「ギリスの街は、みーんな女性の名前がついてんだぜ。これ豆知識な」


ノルベルトがコソッと耳打ちでそんな情報を寄越してきた。

何でそんな情報を寄越してきたんだ。


「ちょっと預かってて」


ニックがピートンを渡してきた。


何故だと思ったら入国手続きが手間取っているらしい。


手の中でピートンが毛を膨張させながら固まっている。こいつ、ネコとは仲良くなったのに、オレの事は怖いようでこうして固まる。ネコが原因では無かった。オレが原因だった。


「ほら、ここでおとなしくしとけ」


灰馬の上に二匹下ろすと早速じゃれあいだす。和むな。


「もう入れるぞ、こっち来い」


しばらくしてからようやく手続きが終わり、呼ばれた。

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