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南方戦線.3

確認が取れているのは四種類の魔物の群れ。

蜥蜴型の魔物と人に似た頭を持つ鳥の魔物、イカの魔物、そして海の向こうから高濃度の熱の塊を放ってくる存在。


「今、アケーシャ達が人魚達に協力を要請している。彼等もきっと手を貸してくれるだろう。何せ、縄張りで好き勝手にされているからね」


「ハンター達が海で戦っているのは?」


「こっちのイカの方さ。こいつらは海龍に比べれば小さくて力も無いけど、何せ数が多い。おまけに頭の角で船底に穴を空けるし、船を取り囲んで揺らして落とそうとして来て質が悪いんだ。あたしらはこのイカと海を渡っている蜥蜴の方を相手にしている。陸にあがればこいつらは二足歩行をして刃物を手に襲ってくるからね。出来るだけ海で減らさないと」


特徴を書いた絵を見せられ、カリアは昔聞いた悪魔の話と照らし合わせた。恐らく鳥はハルピュイア、蜥蜴はリザードマン、海のはクラーケンだろう。


どれも単体なら驚異ではないが指令を下しているのがいるのなら話は別だ。


これらの魔物は第二次人魔大戦時には現れなかったもので、遠い昔の戦争にこういうのが現れたという話が残っているくらいだ。実際第二次人魔大戦には人型のが主流だったから。それでもカリアがそれらの魔物を知っているのは、師匠からあちらにはこういうものがいたと教えてくれたからだ。


「全く同じのか分からないけど、一応弱点は知っている」


「ほんと!?教えて!!」


「まず、このハルピュイア、こいつはーー」










ルキオ国上空。そこは年がら年中強風が吹き荒れ、風を読めなければすぐさま叩き落とされる結界の役目を担っている。そこに、プローセルン飛行部隊が風に乗り、翼を微調整しながらその場に留まっている。


「ここの国はいい風が吹いている。ちょっと暴れん坊だが、うちの風と同じく理解してやれば頼もしい友になるな。なぁ、タクトリアス。君みたいだな」


先頭にいるルーデルが、すぐ右側にいるタクトリアスに声を掛けた。タクトリアスはちらりとこちらを見ると、口元に笑みを浮かべた。


「奇遇ですね、ちょうど同じことを考えてました。といっても風に例えたのは隊長にですけど」


「はははは!嬉しいことをいってくれるな!しっかし、あちらさんは顔以外鳥なのに風に乗るのは苦手なようだ。見ろ、後ろの方。隊列が乱れてる」


ルーデルの視線の先には現在戦闘中のハルピュイアと第二の飛行部隊がいる。プローセルン国のあるリューセ山脈も風が強い。ルキオ国ほど滅茶苦茶には吹いていないが、山の形状上、突風や砕け風がある。その為、プローセルンの飛行部隊も風を読む力は長けていた。

現在第一部隊と第二部隊、そして第三部隊と交代で戦闘に当たっているが、ハルピュイアは長槍と弓矢を使う。手がないから脚を使って射ってくるが、これがなかなか手強い。


制空権を取られれば、空からの矢の雨でハンターは全滅。あっという間にルキオは制圧されてしまう。それはならないとルーデルは持久戦に持ち込みじわじわと体力を削いでいく作戦に移った。


お陰で、ようやくハルピュイア達の体力が減り出し、風をとらえきれなくなってきている。


「さーて、そろそろ交代してやるか」


「ルーデル隊長!!報告です!!」


第三部隊の先飛びの隊員がやって来てルーデル隊長の横にならんだ。


「ハルピュイアの弱点が判明しました。ハルピュイアの弱点は視界であります!目を塞げばハルピュイアは硬直し落下するとの事です!」


「なんと!それは良いことを聞いたな」


ニヤリとするルーデルの隣でタクトリアスが「だから夜はいなくなるのか」と納得していた。


「どうやって視界を塞ぐか。一羽一羽狙っていても埒が明かないだろう。煙幕も風で飛ばされるし」


そこへ部下の一人が手を挙げた。


「前、海軍兵士に聞いた投網のようなものはいかがでしょうか!全く同じものとはいきませんが、暗幕で風上から襲い掛かるというのは!」


「よし、採用!!物は試しだ。第三部隊、暗幕はどれ程で用意できそうか?」


「恐らくもう一周するころには用意できるかと!」


「十分だ!!!よし!野郎共!!!これよりあの人面鳥を一ヶ所に集める練習を始める!!集める途中に落とされるなよ!!プローセルン飛行部隊の機動力を見せてくれるわ!!!」


突撃の合図でルーデル隊長率いる第一プローセルン飛行部隊は第二飛行部隊と入れ替わるようにハルピュイアの群れの中に突っ込んでいった。

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