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同じ穴の狢.8

そろそろ寒さがヤバイ。

いくら熱を生む魔方陣を服に描いていても、限度がある。


あと食欲の増したオレのせいで食料も僅かとなっていた。


これは、街に入らないといけない。


「これで何とかなるかな?」


ということで、オレの体にラビが魔力を増強させる魔方陣の札を大量に体に張り付け、もう一度角の魔方陣を描き直して、いざ出発。


「はいどうぞー」


なんと、無事に街に入ることが出来た。ただし角の事を説明するのがとても恥ずかしかったが。やはりあの話はここにも知られていて、話すや憐れみの目を向けられたからだ。


「ねぇ、なんでこんなに話広がってんの?何したの?荒ぶる尻尾ってなに?」


「……ノーコメントなんだぞ」


まぁ、オレと一緒にアレックスもダメージを受けていたけど。必要な犠牲だと思おう。


早速ほぼ空になっていた保存食を買い足し、宿をとってベッドに飛び乗った。ふかふかな感触に思わず溜め息が溢れる。寝床が柔らかいって幸せだ。


ネコも横においてまた撫でながら魔力を流し込む。


「なんで目が覚めないんだろう…」


体は未だに子猫のままで、どんなに魔力を流し込んでも変化はない。死んでいないだろうなと魔力の靄を見ても少ないがちゃんとある。やはり一度悪魔に取り込まれたのが不味かったのか。


「ネコ目が覚めないな!」


「うん。心配だよ」


出来るなら一度完全融合して、中で魔力を与え続けようとも思ったのだが、普段ネコから融合してくれるのでやり方がわからない。一応練習をしてみるが、なかなか成功しない。


コツでも聞いておけばよかった。


「おい、皆聞いてくれ、大浴場がある。行こうぜ!」


その時、宿につくなり荷物だけおいて街に飛び出していったラビが凄い笑顔で戻ってきた。その頬にある赤い手形が気になるが、ちょっと見ない間に何があったのか。


「お風呂!!!」


「めっちゃ行きたいけど、ネコとか角とかの問題あるし、二人で行ってきなよ」


「フッフッフッ、そんな心配は無用だ!ジャーン!!」


ラビが手に持ってるのは魔力増強の魔法具。そして、光彩系魔法具。


「どうしたのそれ!?」


「昔の付き合いがあった知り合いに頼んで譲ってくれた」


「その手形はどうしたんだい?」


「昔のケジメをつけさせてくれって言われてオーケーしたら引っ叩かれた」


「一体何したの?」


「知らない方が良いこともあるんだぜ。あと大浴場に使い魔も入れるところがあるって言うから、そこならネコも大丈夫だ。ほら行こうぜ!」


「行こう!行こう!」


ネコも一緒なら行くか。

ラビから渡された魔法具を身に付けると、札よりは少し効き目が薄い気もするけど、何とかバレずに済むレベルだ。


「うわぁ、凄いなこれ」


煉瓦作りの浴場に、少し小さいが滝湯まである。お湯の温度も日本のとほぼ同じ。


ネコは桶に張ったぬるめにした湯に浸けてやり、オレ達は肩までたっぷりの湯に使って力を抜く。ヤバイ、めっちゃ疲れが溶ける感覚がする。


「……くそ、なかなか見えないな…」


そしてラビは女湯との仕切りの壁に張り付いて何かをしている。いや、何をしているのかはだいたい想像がつくが、何してンだお前。


「何してるんだい!?」


それにアレックスがラビに質問を投げ掛ける。

あまりにも大きな声だったものだからラビがめっちゃ真剣な顔で人差し指を口許に添えて「しーっ!」と言った。


お前…。


呆れた顔をしていれば、ラビがやって来る。


「あの仕切り壁の向こうには見目麗しいお姉さま達がキャッキャッと楽しそうに遊んでいる。それをちょっと拝見するだけだ。てか、お前らは気にならないのか!?男として!!気にならないのか!?」


「男だもん気にはなるよ」


「俺は仲間にドを越した変態がいたからそーゆーの無理」


真顔でムリムリと顔を横に振るアレックス。一体何があったんだ。気になるけど嫌な予感がしたので聞かないことにした。


「オレの友達も修学旅行中覗きやろうとして骨折して病院送りになったから、やめた方がいい」


結局そいつは修学旅行の半分以上を病院で過ごすはめになっていた。覗きをするために屋根に上ろうとして落下したなんて理由が恥ずかしすぎる。


そのオレとアレックスの顔が本気だったからか、ラビは「そうか…」と落ち込んだ顔で大人しくなった。

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