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素材を集めよ!.19

魔物自体はたいして強い方ではなかった。

確かに壁は厄介だし、姿も時々消えるけど、今まで戦った中ではそこまでな感じはしない。


多分、相性が良かったのだろう。


オレは壁が見える。カリアは壁を破壊できる。

二つ合わさると負ける要素が無くなる。


カリアが気を引いてくれる隙に首を切り飛ばし、名も知らぬ魔物の体は力を無くして地面へと転がったのだった。


「カリアさんでも知らない魔物なんているんですね」


「コッチだって、全部の魔物を見たことはないよ。それに、月日が経てば亜種だって現れるし」


「そうなんですか」


黒刀に付着した血を振って落としてからベルトへと戻す。

カリアも連続で固い壁を殴り割っていたので、拳が少し痛いようで、擦っていた。剣が使えれば良かったのだが、オレの雷の剣は切れたけど、カリアの剣は弾かれていた。多分、熱に反応していたのだろうと推測した。


「さて、と。今回は邪魔されなくて良かった」


カリアが振り返る。その視線の先には頭の半分が丸見えの女性。ここまで着いてきていたのか。もはや呆れるどころかその執念に感心してしまう。


オレも確認してから、先程の男のもとへと向かう。壁の欠片は全て取り除かれ、怪我の手当てをしている所だった。


「大丈夫ですか?」


「ああ、すまない。助かった」


男は短剣を返しながら礼を言った。脚に裂傷があったが、そこまで酷くはない。


「!」


男の顔が固まる。その視線の先にはあの女性が、泥土だらけの姿で立っていた。


「マニラお嬢様……」


「…………………………ドットル……」


知り合いだったのか。


しかし男の顔色は悪く、今にも怒られる瞬間の犬のような顔をしていた。厳つい顔をしているのに。


しばらく沈黙が続く。


気まずい。気を利かせて退散した方がいいか。


そう思った時、マニラお嬢様と言われた女性が口を開いた。


「……………………い、きてて、良かったわ。あと………………ごめん」


鳩が豆鉄砲を喰らう顔というのはこんなのなのか。口を開いたまま、ドットルと呼ばれた男は固まった。


「何か言いなさいよ……、いえ、それよりも早く下りてサンソンを見舞わないと。……………………………………その……」


ちらりとこちらを窺い見るマニラ。


なんだ?


言おうとしている言葉を整理しているのか、何回か口を開け閉めし、一度強く唇を閉じるとこちらをしっかりとみて一礼をした。驚いた。どんな心境の変化があったのか。


「…………助けてくれて、ありがとう……。あと、狩の邪魔をして……ごめん……。それで、その、サンソンのいる所を教えて欲しいのだけど……」


「ああ……」


サンソンと言うのか、あの人は。


「良いですよ。ただ、連絡をとるので少しここで待っていて下さい」


何とか平静を装いつつ一旦退散。

なんだあれ!?頭でも打ったのか!?それともあまりに怖がらせ過ぎたのか!?


何気に怖いマニラから十分に距離を取り、魔物を万が一でも再生できないように処理すると背負いやすいように縄で縛り上げているところへと戻った。種類が判別できない魔物は出来る限りギルドへ死体を持ち帰り判別をしてもらうのだ。


そこでようやくオレはネコへと心話を繋げた。


「(ネコ、こっちは魔物の討伐に成功した。そっちは今何処にいるんだ?)」


少し遅れてネコから返答。


『(駿馬を預けた村にいるよ、たまたま山之都帰りの良い医者がいて、診て貰ってる。出血も早い内に止めたし、処置が早かったから助かるって)』


「(そうか!良かった!)」


『(そっちはいつ戻るの?)』


「(そろそろだよ、念のため見回って、すぐ降りるつもり)」


『(わかった!伝えとく!)』


心話が切れた。

早速カリアに報告すると、見回りはオレに任された。さて、久し振りにパルクールでもやりますかな。

マニラ達にも報告して、すぐさま降りようとするのに待ったを掛けた。壁が全て消えているのか分からないので、とりあえずオレが辺りを確認してから、ということになった。


一通り辺りを歩き回ってみたが、壁はきれいに無くなっていた。魔物が複数いる可能性もあったけど、杞憂だったようだ。


「じゃ、行きますよ。村に戻るまでは、コッチの指示にしたがってください。じゃあ、ライハ、何かいたとしても交戦しないで逃げなよ」


「わかりました!」


二人をカリアへと預け、オレはスキップ混じりに森の奥へと駆けていったのだった。


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