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素材を集めよ!.15

一旦戻り相談した結果、オレとネコが先頭を行くことが決まった。まぁ当たり前だな。


「その前に!見えないものが見えるようにはなりますが!」


ほぼ決定した所で言い忘れがあると勢いよく手を挙げる。


「はい、ライハ」


「その間、鮮明に見えるものが見えなくなります!」


「どういうこと?」


三人ともよくわからないという顔をする。


「例えるなら、砂絵に輪郭だけ描いたみたいな感じになるので、遠近感が掴めなくなるから、不意打ちで攻撃されたら多分避けられない」


「便利だけど、不便でもあるのね」


キリコが納得した。


「ネコと視覚共有とかは?聴覚共有出来るならいけるんじゃない?」


『ネコの視界もだいたい似たようなもんだよ?ライハの視覚借りて見たことあるけど、人間の方がちゃんと見えてるし、色付いてるし』


ネコはド近眼な上にモノクロだからな。その代わり夜はよく見える。


「そうなの。じゃあ、コッチはライハの護衛をしながら進む感じにしたようが良いね」


「そうしましょう」


陣形を変えたところでいざ出発。

本当は木の上なんかを行けば楽なのだが、それは最後の手段にする。なんせ、木の上を行くのは疲れるのだ。


「んー……。こっちだ」


ジワジワと奥へ奥へと進んでいく。

その途中、変なものを木の裏側に見付けた。


「うげ」


「あらー、マジか」


「後で知らせてやらないとね」 


食い散らかされた死体が転がっていた。

戻ってこないのがいるから、もしかしたらってのはあったけど。やっぱり実物を見てしまうとな。


手を合わせ、後でちゃんと山から下ろしてやると心のなかで伝えてから先を進んだ。


『!』


ぴくり。

ネコの耳か反応してある方向を向いた。


それと同時にキリコがネコと同じ方向を向く。


どうしたんだ?


『食む音、……声?』


「……血の臭いがする」


「!?」


「やばいさ!!」


「ネコ、どっち!?」


『あっち!』


「時間がない!上を行くよ!!」


カリアがすぐさま上の枝に飛び上がる。

その後ろをキリコが追い掛ける。


待ってよオレ達そんなに脚力無いから!


「アウソ、行くぞ」


「お願いするさ」


恒例の高いところに投げ飛ばすために用意し、アウソが助走をつけてやって来る。


「いち、に、さん!!」


アウソがオレを使って飛び上がると、ネコを投げ上げアウソがキャッチ。すぐにオレも身体能力向上させると、飛び上がり、後を追った。


不安定な枝を飛び移りながら、前方から濃厚な血の臭いが漂う。それと共に呻き声も。


木々の間に青色と、二人の姿、そしてそれとは別に人がいた。


木がら飛び降りると、目の前には水色の透き通るヤギの用に後ろに曲がった角を生やし、顔は鶏だが、嘴の中には鋭利な牙がズラリと並ぶ。二足歩行の蜥蜴のような体には羽毛で覆われ、太い尻尾の先には鮫の尾のような形の飾り羽根と突起があった。それと対峙しているのはカリアだ。


その後ろにはキリコ、その腕にはまだ若い男性が血塗れで抱えられており、更にその後ろで男性と同い年か、やや下の年のオレンジの髪の女性がガタガタ震えながら自らの体を抱き締めるようにしていた。


腰には見事な装飾の剣。

女性ハンターか?


それにしては防具のサイズといい、剣といい全体的にアンバランスな気が。


「アウソ!!手当てを!!」


「はい!!」


アウソが血塗れの男性とキリコの元へと向かう。


オレは黒刀を抜いて、カリアの隣へと着く。


「援護します!」


『ネコも!』


「頼むよー、こいつ、とても戦いにくくてね」


前を見据えると、確かに人の事をバカにしたような鳴き声だ。それに、めっちゃ一定感覚で首を動かすのも何となく煽られているようで腹が立つ。


「ちょ、ちょっと!!あんた達誰よ!!? いいえ、誰でもいいわ……!! 早くソイツを殺して頂戴!!!」


目の前に集中をしようとしたら、突然後ろから甲高い声が聞こえた。誰だと思ったが、さっきの女性か。


「もう信じられないわ!!ていうか、なんでもっと早く来てくれなかったの!?お父様に雇われたんでしょ!!?それなのに、労いの言葉もなく、だいたい──」

「──黙ってるよ。今、命が惜しいなら、口を閉ざして下がってな」


「…………っ」


カリアの威圧が何故か前方ではなく女性の方へと向かった。いや、確かに煩かったけど。てか、仲間が血濡れなのにそっちは無視なのか。


改めて前を向く。


奴は相変わらずこちらを見て、時々変な声を上げる。


「ここに壁は?」


「左前方10mの木の後ろに一つ、方向は左側に伸びてます。ここからその半径10m範囲は他に壁は見当たりません」


「わかった。ちゃちゃっと終わらせないとね」


カリアが地面を爪先で削り、ゆっくりと歩いて向かっていく。


肩の力を抜き、それでも目を逸らさずに、左に大きく弧を描きながら魔物を指定の場所へと追い詰めていく。魔物は目の前のカリアに意識の全てを向けていて、後ろで動かずにタイミングを図るオレ達を意識から外している。


そのまま、挟み撃ちの体制になった瞬間、三方向から同時攻撃を仕掛ける。


ところが、作戦は失敗した。

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