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素材を集めよ!.11

ギルドに戻ってくるや、またしてもヒソヒソとした声があちらこちらから聞こえてきた。しかし、今度は笑い声などは一切含まれてなく、それどころか話をするやつらは真剣な顔だ。まるで、悪魔戦を前に作戦会議を開くオレ達のように。

てか、その顔はギルドじゃなく、狩り場でやれよ。


そう突っ込みを入れたいのを我慢しつつ、先頭を歩くアーリャが通常の乳白色よりは金に近いブラク角兎ホーンビットの角を受付に置いたそして、それと一緒に今回の依頼の様子を記した書類も手渡し、受付嬢がそれに手を伸ばして中を見ると僅かに目を見開いた。


「……え、これほんとに?」


「うん。こっちのアレだったんだけど、ちょっとそれでギルド長に相談があって、あ、まず確実にC以上だからパーティー名を着けることになったから、それはお願い。ちなみに今ギルド長いる?」


「今、ちょっとお昼を食べに行ってて。でもすぐに連れ戻すわ!それで、アレはもうしたの?」


アーリャは軽く肩を竦めながら小さく笑った。


「断られちゃった」


「そうなの、仕方ないわね。じゃ、呼んでくるから奥の部屋に通しておいて」


「分かった」


受付嬢が近くの男性職員に声を掛けると、その人は急いでギルドから走り去っていた。きっとお昼を食べている途中のギルド長を連れ戻すためだろう。

トントンと尻尾が肩を叩いて、ネコに意識を向けると頭のなかに真剣な声が流れてくる。


『(あいつら、こっちに悪意向けてる。多分、近いうちに攻撃してくるよ)』


「(何人?)」


『(あそこにいる連中、6人と、それに便乗する形で加わるパーティー2つ。全部で12人)』


「(多いな。分かった)」


そうしているうちにアーリャがやって来た。


「ちょっとギルド長が戻るまで時間がありますので、皆さん、奥の部屋でお茶をのみながら待ちませんか?」


「それは良いですね!そうさせてもらいます」


ちらりとカリアがこちらに視線を寄越す。

気付いてらっしゃいましたか。


その様子にアウソとキリコも何かの異常を察し、辺りに警戒をしつつもアーリャに連れられギルドの奥、応接間の様な所へと案内された。


控えめでシンプルながらも、綺麗な小物も含め整えられた部屋に四方向に置かれた、これまた落ち着いた色のソファーへと腰掛けた。


「今お茶を入れてきます」


鼻歌が聞こえてくるくらいにウキウキとした様子でアーリャが去っていく。


その姿を見送り、辺りに聞き耳を立てるものがいないか粒子を見る目も使用して確認。そしてやっと口を開いた。


「朝方、追い掛けてきたのが居たじゃないですか」


「うん」


「いたわね、初日に足掛けようとしてたやつ」


「え、そんなのいましたっけ?」


「あんた狙われてたのよ、避けてたけど」


「まじすか、知らなかった」


「普段から足元の注意するよ」


「反省しまーす」


既に挑発にあっていたことに気付いてなくて吃驚したけど、引っ掛からなくて良かった。じゃあ、もしかして嫌がらせに引っ掛からなくて逆ギレされたパターンとかも有り得るのか。


「ネコからの情報なんですけど、じゅうー……」


『12』


「それ。12人ほどがこちらに悪意を向けてきているらしいです」


アウソがエエーと凄くめんどくさそうな顔をした。ただでさえまだオレの手配書関係の厄介な奴がちょっかいを出しに来るのに、更にかよとその顔にでかでかと書かれている。


「誰かの刺客じゃないば?」


「刺客だったらもう少しきちんと攻撃してくるでしょう」


「それもそうか」


キリコの言葉にアウソは納得する。

刺客ならば、もう少しちゃんと『殺す』的な思いを詰めながらきちんと攻撃してくる。あんな中途半端なのは攻撃には入らん。ただの嫌がらせだ。


「どうします?」


「警戒はするけど、攻撃してきたら一応流せるだけ流して、それでも懲りないようなら後で威嚇しておくよ。多分だけど、何か勘違いしているようにも見えるからね」


「威嚇は物理で?」


「うーん、威圧くらいでいいよ。あんたらがやるよ。コッチやキリコがやったら多分気絶して夢だとか思われたら嫌だから」


「了解」


「わかりました」


話し合いが終わる頃にアーリャが戻ってきた。手に持ったお盆には白い陶器に青色の花の飾り絵があるカップからは湯気が立ち上ってる。


「蜂蜜茶です。熱いのでお気を付けて」


それぞれお礼をいい、頂くと、あっさりした味なのに優しい甘みが口のなかでほどけて染み込んでくる。落ち着くな、これ。


ただ、熱いから、時間を掛けないと飲めないのが辛い。


どうも最近猫舌になってきて、熱々のが食べれなくなってきていたから、凄く勿体無く感じたが、少し冷めても充分に美味しかったので満足した。


そうして、アーリャと少しほぼほぼ決定したパーティーの名前について話ながらお茶を啜りつつ待っていると、入り口の方から盛大な音が聞こえた。


「?」


なんだと振り返れば、汗だくで何故かボロボロの細身で眼鏡をかけた男性が、ギルド長を呼びにいった男性職員に支えられながらヨロヨロと部屋へと入ってきた。


「──お待たせしまして、私がギルド長のスコットと申します」

名前の公開は入らなかったから次の更新で(笑)

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