表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/745

素材を集めよ!.7

村より少し離れた所にある森へと辿り着き、辺りの様子を見ていると、確かに所々の木がへし曲がったり、削られていたりしている。他の強い魔物でも同じように曲がったり削ったりはするのだが、魔物の種類によってだいぶ異なる。角兎ホーンビットは蹴り跡で長方形に近い凹み方をし、爪の跡も残る。削りかたも扇子に近い形になるのだ。

そして、その近くには決まって毛が落ちている。


体を擦り付けて縄張りを主張する為なのだろう。だが、今回はそれと一緒に違うものも落ちていたが。


拾い上げて軽く擦ると、まだ微かに水分がある。


「ふーん、黒い。それに血も付いてるから、多分縄張り争いに負けたんだね」


カリアがオレがつまみ上げた毛を見ながらそう言った。黒い毛は角兎ホーンビットの、成熟した雄の印で、気性がさらに荒くなる。これは厄介だ。しかもさらに手負いというオプション付き。


ちなみに成熟する前はみんな白で、黒になっても三年ほどでまた白に戻る。その間は高危険ランクが付けられていたりするのだが。


「……これ、Dで大丈夫なの?」


「情報不足だったんかな?」


ちらりとアーリャを見ると、手を額に当てて小さく「あちゃあ……」と声を漏らしていた。その様子を見るにアーリャも予想外だったのだろう。今度は額に握り拳の曲げた親指をコツコツと繰り返し当てて考え込んでいた。

オレ達は別に大丈夫なんだけど、これは一応試験である。


アーリャは空を見上げ、目をつぶり溜め息を一つ。そしてようやくこちらを向いた。


「後でこの依頼を調査した奴を調べないと…。大変申し訳ありませんが、これを討伐することは可能ですか?」


「出来ますよ。でも良いんですか?やっても」


カリアはどっちでも良さそうに答えた。最近はこれよりもヤバイのとドンパチしていたから余裕だと思うけど、問題は試験として問題ないか、である。


「ええ、こちらのミスですので。もしよろしければDを飛ばしてCのパーティー昇進試験という形で受けることも可能ですが。どうされますか?」


「飛び級って事ですか?」


「そうです」


「それはありがたい。是非そうして下さい」


「分かりました。では、例外ではありますが、飛び級でCランクのパーティー昇進試験を開始します」


儲け、と思ったのはオレだけではなかった。

角兎ホーンビットは狂暴な奴ほど美味い。さらに黒だとなお美味い!


一度食べたことあるが、あれは激ウマだった。もう松沢牛に並ぶのではないかと思うほどだった。(※松沢牛を食べたことはないのであくまでも想像)それをサクッと狩って、更に新鮮な状態で食べられる上にランクまで上がる。最高すぎるだろ。


やべっ、涎出そう。


「あんたたち!出来るだけ肉の鮮度を保つために限りなく素早く、確実に仕留めて食べるよ!」


「おう!!」


拳を振り上げ士気を上げ、さっそく灰馬達を村に預けにいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ