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イヴァンはみた.8

そこからは何とか計算し終え、顔をあげると、木材が山になっていた。

口あんぐり。


そして水も泉の水が半分ほどになっていて、エルトゥフとライハが満水になった入れ物を目の前にこちらを待っていた。


仕事早いなお前ら。


俺は紙を手に指示を出した。

計算の結果、今持っているナマコモドキでは埒が明かない事が判明したので、仕方なく簡単な装置を作ることにした。


といっても、これはナマコモドキを選別するところでよく使われる技法なので簡単なのだが、問題は今ここにある材料で作れるかと言うこと。現に水が染み出さない布を用意できてない。


それを言うと、クアブ。


土の精霊(ガーディン)に考えがある」


とのことだった。そう言えばエルトゥフは精霊を操れるんだったか。

イヴァンは精霊を見ることが出来ないから信じてないが、この際使えるものは使うに越したことはないと考え始めていた。


また長老、補佐、アールヴのクユーシーと従者二人にキリコ嬢を集め、説明を始める。本当は理解が出来るか不安ではあったのだが、皆真剣な顔で話を聞き理解をした。


今回は何故か猫がライハの肩に乗っかっていたが。


真面目な話の最中ふざけるとは余裕じゃねーか。


だが、ふざけてないと気付いたのはすぐだった。







「危ない!!倒れる!!」


作業中、誰かの焦った声でそちらを向くと、高い所で作業をしていたエルトゥフがバランスを崩し、作業台ごと倒れてきていた。


「んな!?」


驚きのあまり硬直。

誰もが動けずにエルトゥフが地面に叩き付けられると思ったが。


「ネコ!」


『ほいさぁ!』


突然黒い帯が視界の外側から伸びてきて、エルトゥフの胴体に巻き付き、落下が止まる。


そして、作業台はライハとアウソが滑り込み、ギリギリで受け止めた。


嘘だろ。あれエルトゥフの大の男が数人係で運んだ物だぞ。


「怪我はないですか?」


「あ、ああ。ありがとう」


顔色を悪くしたエルトゥフにクユーシーが駆け寄った。ゆっくり下ろされたエルトゥフがへたり込み、帯が元に戻っていく。

その先を追い掛けて驚いた。

あの帯はネコと呼ばれた生き物の尻尾だったのだ。


ただの生き物にこんなことが出来るのか?


否!あれは魔物とかの類いだ!

(しかも喋ったような気がする!!)


思わず悲鳴をあげようとした時、クアブの娘グルエルが視界に入ってきて首を静かに横に振る。


「あれはライハさんの使い魔です。大丈夫」


「は?」


使い魔?

使い魔って、頭お花畑のギリスの連中が魔物を飼い慣らしている奴か?


いや、まてまて。あいつはどう見てもウェズオーの人種には見えない。しかしイスティジアには使い魔の文化は無かったはず。


それにだよ。


従者が使い魔使役してるとか意味分からんだろう!!


イヴァンが心のなかで突っ込みまくっている間に作業は進み、ついに大型水汲み機が完成した。


滑車の先には一個ずつ編みに入れられたナマコモドキ。それは泉に浸かり引き揚げられ、狭い通路のなかを壁にぶつかりながら通っていく。その振動で吐き出された水は水路を通って外へと運び出され、外に用意された水槽へと投下。

そしてナマコモドキはまた弧を描くようにしてまた泉のなかに戻っていく。


動力は風力。


風の精霊(フーシア)が風車を遊びでクルクル回す動力を使っている。


外の水槽は土作りだ。

骨組みは木だが、水漏れはどうするんだと言ったら土の精霊(ガーディン)が内側を灰で作った粘土で固めた。やるじゃねえか。


そうして順調に水を組み上げていると、使者が駆け込んできた。俺は既に心の中での突っ込み疲れと、頭の疲労でボーッとしていたが目が覚めた。


「おお!!うちのイヴァンが役になっているようで何よりですわ!!」


店長が研究仲間を連れてやって来た。

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