休養中.2
エルトゥフの村は殆どが木造で、しかもたまに家から枝が伸びて青々とした葉が付いていたりする。
あの家生きてるぞ。
「アールヴの悪魔と良い人間だ」
「昨日のスゴかったらしいよ、雷精と共闘したって」
「へぇー、あの大荒くれの精霊がなぁ。見た目じゃわからないもんだ」
そんな声があちこちから聞こえた。
どうやら悪いイメージを払拭出来たみたいで良かった。
「?」
アウソがずっと同じ方向を向いている。
何だろうとつられて見てみると、木の巨人が森から頭、頭?の部分をウゴウゴとさせながら動いていた。気になるな。
クユーシーに連れていかれた道を辿りながら、見晴らしの良いところまで来ると、森の全貌を望むことが出来た。
木の巨人や食人木が集まって森の修復をしていた。そして、初めてオレ達が戦った場所を見て、思わず「うわぁ…」と声を漏らした。
黒焦げ、薙ぎ倒し、クレーターに溶岩の下敷き。まるでこの世の地獄のような光景だった。
昨日見た広大に広がっていた豊かな森が、ほんの数時間でこんなになってるのを見れば、クアブが激怒するのも無理はない。そして、オレ達もようやく昨日の戦闘の規模を知った。
あらためて、よく生きてたなと、しみじみ思った。
「復興、手伝うか」
「そうだな」
エルトゥフと共に倒れた木を退けたり、穴の空いた地面を戻していると、クユーシーが駆けてきた。
「はぁー…、はぁー…、探しましたよ…」
息切れしているクユーシー。
よほど大慌てで走ってきたらしく凄い汗をかいていて、咳き込み始めた。
とりあえず、濡れてない所に座らせて落ち着くのを待っていると、ネコが大丈夫か?と、フードから飛び降りてクユーシーの背中を尻尾で擦っている。
少しずつ落ち着いてきたのを見計らってアウソが話し掛けた。
「どうしたんさ?」
「ちょっと…、ウンディーネが大変なことになってて、少し来てもらっても良いですか?」
大変なこと?
アウソと顔を見合わせる。
昨日の戦闘で何か不具合や後遺症が残ったのだろうか。
「とりあえず、行ってみるか」
「だな」
「ありがとうございます!こっちです!」
ネコを抱き上げて、オレ達はクユーシーの後を追いかけた。