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エルトゥフの森での攻防.16

下りて行くとカリアとキリコが既に待ち構えていた。


「よくここが分かりましたね」


「キリコが見付けたんよ」


と、カリアが親指でキリコを示す。


「いや、見事に木に引っ掛かってたから。凄い間抜けだったわよ」


「ほっといてください」


割りとギリギリ木にぶら下がって物干し竿の洗濯物のような格好だったのは認める。


「で、どうやって攻めます?アレ」


「普通に行っても、多分瞬殺よね」


「その前にあのマグマのせいで近付く事もままならんよ。キリコはあれ渡れる?」


「……深さによるし、あと、アタシが耐えられても服が…燃える…」


「ああ……」


キリコの残された服もだいぶ端の方から焦げていた。この分だと、渡り切る前に大変なことになるだろう。


「あんたは?」


「無理です。回復前に消し炭になりますね」


「師匠も無理よね。どうしようか」


武器も残り少なく、近付く術も無い。

キリコの矢は途中で燃えるだろうし、カリアが木を引っこ抜いてぶん投げたとしても燃える。オレの雷の矢が効くのかも怪しい。


反転させるにして、反転させるものがない。


万事休すだ。


それを打開する術があるとするならば、オレの取った奥の手か、もしくはアウソが間に合うか。

理想はどっちも間に合うことだが。


しばらく考えて、カリアが首を横に振る。


「…今コッチに出来ることは、一つだけよ。アレを此処に留めてアウソを待つ」


「わかったわ」


「了解です」














『ふむ。仕掛けてこないか。案外人間というのも馬鹿では無いらしい』


リューシュは目を細め、気配を消している者達を探す。リューシュはあまり人間に関して興味が無く、よくわからないが指一つで潰せる弱い種族という事しか知らない。


この作戦も、命令でエルトゥフの森を遊び半分で遊んでいるが、知能が低い魔物に手こずるくらいの弱さならば暇潰しにもならないと部下に丸投げしていたが、まさかリュワンまで消されるとは人間の強さは予想以上だった。


リューシュの中で指一つはなしにしても、掌でもてあそぶくらいの強さだと大幅調整した。


これは久し振りに楽しく遊べそうだと自ら出向いたが、人間はシャイなのか中々現れない。

これではつまらない。


どのくらいの人数で来ているのかは知らないが、無闇に攻撃を仕掛けてくると思いきや中々来ない為に肩透かしを食らったような気分だった。


『だが、このままこうしていても退屈だ』


手にした三叉の矛を、微かに気配のする方向へと向けた。


『一匹殺せば、向かってくるかな』

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