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アールヴ

「ぎやああああああ!!!!(濁った高音) きっ、貴様!!!悪魔の気配をさせているのみならず!!!猫までも連れ込むとはっ!!!」


「気付いてなかったんかい」


思わずツッコミを入れるとおっさんエルトゥフに凄い睨まれた。最近睨まれ慣れつつあるオレはそれを華麗にスルーしようとしていたら、それをマテラで不憫だったエルトゥフの青年、クユーシーに「クアブさん、ダメです」と優しく叱られていた。






あの後、あまりにも寝心地後良くて爆睡していたら、カリア達に揺り起こされ、クユーシーが「おひさしぶりです!!」とやって来て激しく握手をされた。


一瞬誰だと思ったが、その特徴的な長い耳で、人間と獣人ガラージャの板挟みにあって怒られてたり、看守に目をつけられてはよく庇って標的を替えてやっていたエルトゥフのクユーシーだと思い出した。


あの時は暗闇と汚れとでくすんでいた金髪がキラキラと輝いていた。それにガリガリだったのが、ちゃんと食べてるのか健康的になっていたのも誰だか分からなかった原因であった。


それからちゃんと長老達に説明してきたといって、ようやく長老の家に招かれたのだが。その、なんというか。とっくにバレていると思っていたからネコを隠すこともせずに連れてきたら悲鳴をあげられた。


嫌い過ぎだろ。


『どうする?形変えてヘビとか鳥になるか?』


と、ネコが魔力融合で頭のなかに直接念話で話し掛けてきたので。


「やめとけ、どうせここでまた姿変えたら貴様も悪魔だったのかと叫ばれるのが落ちだ」


と念話で返しておいた。


改めて長老のフエルィと御付きのおっさんエルトゥフ、クアブを見る。エルトゥフは本当にパッと見はエルフだ。エルフとの違いは性格上のものくらいな様に思える。とても臆病で警戒心バリバリなところとか。


いや、エルフもプライド高くて排他的だったのを考えると警戒心バリバリなところは類似点か?


長老は贈られた石を丁寧に見回し、それを大切に包みへと仕舞うとこちらに向き直る。


「えー、そこの三人には見覚えがある。しかし、そこの黒いの一人とは面識がない。名は何というか」


「ライハです」


「ふむ。ライハとやら、お主は本当に人間で間違いは無いのだな?」


「色々ややこしい事情はありますが、人間です」


長老は指の木で出来た指輪を軽く叩くと頷いた。


「わかった。アールヴのクユーシーの恩人である上に、何よりも精霊から敵ではないと言われた。そのネコも含め歓迎しよう」


そこでようやく突き刺さっていた視線が和らぐ。すると、長老の方から蛍の光がやって来た。蛍の光はゆっくりとまたたきながら体を一回りして、また長老の方へと戻っていった。


それを見て、周りのエルトゥフ達がざわついた。


「?」


「この森で滞在している間は出来るだけの持て成しをしよう。困ったことがあったら遠慮なく言ってくれ」



その後、長老の言う通りにとても立派な宿へと案内された。牢屋から高級宿へと一瞬のうちにレベルアップの貢献をしてくれたクユーシーには感謝しないとな。


宿へと移動の最中、気になることがある。


「…あいつ…アールヴだとよ…」

「…ほんとうに…?…間違いじゃなくて…?」

「……トゥーイの奴が見たらしい…」


なんだがエルトゥフ達がこちらを見ながらヒソヒソ話していた。

アールヴとはなんだ。


「クユーシー、アールヴって何だば?」


宿に着き、さっそく質問しようとしたらアウソに先を越された。


滞在中、お世話になったから是非とも案内役になりたいと立候補したクユーシーが、作業していた手を止めて振り返った。


「アールヴですか?アールヴと言うのは精霊と縁を結ぶことが出来た者の事です。僕もアールヴなんですよ。まさかライハさんもアールヴだとは知らなかったのでビックリしましたけど」


「それ、精霊と縁を結んでるって前も言われたんですけど、いつどこで結んだのか知らないんですよ…」


「縁を結ぶのは精霊から一方的にですからね。でも、結ぶ前に精霊が今までで一番嬉しいことをされたり、単に好奇心とか、あとは気紛れで結んだりするので、もし何かあげたような記憶がなければきっと見てて面白いからとかの理由で結ばれたかもしれませんね」


「気紛れ過ぎて精霊すげーや」


「龍みたいだな」


にしても本当に知らないし覚えてない。

やはり見てて面白いからの理由なのだろうか。


「ちなみにどうやったら縁を結んでるって分かるの?」


キリコ参戦。


「そうですね、わりと頻繁に姿を現したり、風とか使って弄ったり。親密度が増すと手助けとかお話をしてくれるんですよ。勿論集中しないと分かりませんけど」


クユーシーが誇らしげに語る。


「なるほど」


これは精霊と交流すればさらに面白い事が出来るかもしれない。


荷物を下ろし、駿馬を預けると各々武器の手入れを始める。一応カリア達が長老にここに来た理由を伝えていたので、今日は警戒心を解くと言う名目で大人しくし、明日から行動を開始する予定である。


「近くに必ず誰かしらエルトゥフがいるはずなので、何かあったら教えてください」


それでは、と、クユーシーは去っていった。


「さてと、じゃあこれから場所の確認と、エルトゥフ達の情報を照らし合わせるよ」


そしてオレ達は机を囲み、作戦タイムが始まった。

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