戦い方
モーク湖の周辺にあるモーク村は冬眠の季節になると移民で賑やかになる避寒地である。しかしここから滝沿いに少しいけば、途端ゴツゴツとした岩場が現れ、荒々しい大地が広がる。
雪と氷に削り取られた大地や崖から、鉄のように固く丈夫な木がヒビ割れから這い出てきているように生えている。
さすがに灰馬達は置いてきた。
こんな岩場に連れてこられない。
ネコも肉球の心配から降りるのを躊躇っている。たまに剣山みたいな所もあって、オレもここで転んだらと思うと怖い。
しかし、初期の頃よりも移動力は上がっているのが実感できて嬉しく思う。前のオレだったら、最初の岩場で体力が尽きていただろう。
アウソもキリコも体温が上がって嬉しそうだし。
「亀裂の周りには強い魔物が彷徨く。特にウォルタリカは冬眠の季節に閉じ込められるから数も多いし狂暴だから、時間が勝負よ」
「何系が多いんですか?」
「ほぼ肉食」
アウソのテンションが少し下がった。
『美味くなさそう』
「今回は食べないと思うぞ」
毎回余裕があったら捌いて食べるもんだから、ネコの中で魔物=食べるものとなっている。
オレも最近魔物見て、あれ焼いたら美味そうとか思っちゃう辺り人の事言えないけれど。
「!」
突然始めに洞窟に到達したカリアに向かって、白い何かが飛び出してきたと思ったら、カリアはその鼻面をピッチャー返しの様に思い切り殴り飛ばし、すかさず追い掛けていった。
「洞穴鼬?」
「かな?」
一瞬だったから自信はないけど。
洞窟に入ると、壁際に転がる鼬を見付けた。
牙が凄い。
「師匠早速洗礼受けたわね」
「この恒例行事やめてほしい」
毎回らしい。
「こんな感じで、突然襲い掛かってくるから気を付けるよ」
「はーい」
そんな感じで洞窟を進むと、本当に突然襲い掛かってくる。何かの罠かってくらい、目があっても合わなくても襲い掛かってくる。
さっきも角を曲がると、道の先にいた熊型の魔物に襲われ、急いで雷の矢を射っても根性で耐えて突っ込んできたので大変な目に遭った。
そして今。
「もうやだオレ帰りたい」
「何処にだよ!手を動かせ!」
「あっはっは!ちょっと予想外だった!」
「ライハ!そっち行ったわよ!」
開けた所に、臭いを嗅ぎ付けたのか魔物の群れがやって来て乱闘になっている。
ちなみに四人とも戦い方が異なり、余裕があったら観察とかをしている。
カリアの戦い方は、まずは急所に一発入れて怯ませた瞬間に止めを刺している。そのほぼ一撃必殺とも言える攻撃方法に相手は恐怖しか感じない。
キリコは持ち前の速さと運動能力で、意味が分からない体制からでも攻撃してきて確実に首を切り裂く。あれだ、気付いたら四肢を切断されてて、最後に首を取りに行く感じ。
アウソは力で薙ぎ払う事も蹴り技もあるが、基本は隙を見て骨を折りにいってる。うまく関節を外しにいくのを見て、器用だなっていつも思っている。
ネコは運動不足解消とばかりにでかくなって相手をなぶって遊んでる。ついでに尻尾を鞭のようにしながら色々実験していた。
オレは技を増やすために雷の矢やスタンガンを使うのを控え、ほぼ体術で頑張っていた。といっても纏威を発動しながらなので威力はあるので、そこまで苦戦はしていない。
最後の一体を倒し、辺りを見渡すとそれぞれ種類ごとに集めていた。
「変異種ばっかりね」
「そうね、強さも上がってるから亀裂の周りにはルツァ級がいるかも」
できるならば会いたくない相手だ。
回収できるやつだけ回収して、更に奥へと進む。