ネコの苦難
日が登り、いち早くメールをカリア達に見せた。
オレがなんで手配されているのかを知って爆笑しつつ、怒ってたのがウケた。始めて見たわ、怒りのオーラを放ちなからの笑顔。怖かった。
曰く、ホールデンの連中のやり方が気に喰わんとの事。
「そっちがその気なら、こっちもそれなりのやり方があるってもんよねぇ。ねぇ?師匠?」
「コッチは既に手配書出回っててその手のやり方は熟知してるから、対策はバッチリよ。てか、一番良い方法は手を出したらヤバイって事をその身に思い知らせてやることよね」
後半、カリアから訛りが消えた。
しかもガチ口調で顔も真顔。
どうやら、何かのスイッチが入ったようです。
「俺も、そんな強くないけどできることあったら手伝うわ!」
「ありがとう、心強いよ」
そんな感じで報告を見せ終え、最後のユイからの逃亡するというところで、カリアがぼそりと、うまくいって欲しいねと呟いていた。
ユイの身を案じつつも、まずはオレ達も先を急がないといけない。
橋を渡り終え、入国検査(といっても狩人登録書見せるだけ)を受けるといよいよウォルタリカだ。
「なんか寒いと思ったら、雪が残ってんのか…」
どうりで途中からカリアに雨具を羽織っておけと言われると思ったよ。
「ウォルタリカは水と雪の国。ほぼ一年中雪が残っているんよ。さて、後ろの二人の為にも先に服屋に行かんとねぇ」
後ろ見ながらフッと笑うカリア。
「?」
オレも後ろを振り替えるとアウソとキリコがお互いにくっついてガタガタと震えていた。なるほど、暑さ耐性はある代わりに寒さ耐性は無いんですね。
服屋によって、夏なのに冬物にしかみえない服を買った。夏物なんだと、夏でこれだと冬はどうなるんだろうな。
訊ねると秋から冬は冬眠の季節なのだそうだ。
意味がわからんと更に訊ねると、雪が凄すぎて国が全て埋まるので、人は地下都市を利用し始めるのと、雪の上で船を走らせ始めるとに分かれる。
冬は山から風が吹くのでさながら海のように帆船が行き交うという。
そして春、大雨の季節で大洪水が起こって雪が雪解け水となって海や湖へと流れ国が目を覚ます。
なんだこの自然に翻弄される国。
ルキオよりもひどい気がする。
「ネコはどうする?」
『ネコは別に…』
「あら!!可愛い!ハショーね、雄?雌?」
突然凄い美人の店員さんに話し掛けられた。青みがかった銀髪の女性はネコをガン見している。
ハショーはなんだ?猫ってことか?
「雄です」
「じゃあ!これなんか似合うと思うわ!!」
そう言って猫用の服を取り出して机に並べられる。
助けを求めようとカリアを見ると生暖かい目で、一着だけよと言われた。違うそうじゃない。
『……暖かいのが悔しい』
ネコが何となく腑に落ちない顔をしているが、似合っている。ものすごく似合っている。
「予想以上だわ。あの店員天才ね」
キリコは褒め称え、カリアは感心し、アウソは同情の目をネコに向けた。
ウォルタリカは猫好き国家で、猫用の服も多種多様!!