シニタイ 1〜5話
僕の連載中小説「シニタイ」の1〜5話をくっつけたやつです。
読んでくれれば嬉しいです。シニタイ人,生きるのが嫌になってきた人にオススメです。
古びた町。
汚ない建物と建物の間。
数え切れない蜘蛛の巣。
この小さなダンボールの中に一人
グレー髪の茶色い汚ない服。ださい。
友達などいない、家族などいない。
ああ
「シニタイ」
誰も僕を気にしてくれない。唾を吐く奴もいた、反吐を吐く奴もいた、石を投げる奴もいた。
俺の名前はなんだったっけ、俺の誕生日すら知らない。気がついたらここにいたんだ。
今日は何日だろう、実に暑苦しい。蝉の鳴き声が反吐に聞こえてくる毎日で、俺は過ごしている。
「実に気持ち悪い朝だな」
独り言なんていっても誰もいない。
もう俺のなかには「シニタイ」という気持ちしかねえ。
誰か俺を殺してくれ。遠慮はいらない。
もう不幸なことしかない。俺には幸せという気持ちがわからないな。
この暑苦しいなか難しい事を考えるのはよそう。余計暑くなる。
さあ今日も試そう。今日の俺に「さよなら」を言い、
俺は左胸に刃物を刺した。
これは呪い、最悪の呪いだ。
刃物は人を殺す機械。
のはずだった。
そんなもの俺には通用しない。
刺した左胸からは赤い液体らしきものなどない。
痛みもない。
俺はそっとナイフを抜き取った。
傷口が一瞬で口を閉じ、俺に向かって愚痴を吐いてるようにみえた。
そして何事もなかったようになる。
もうこのような事はなれた。いっつもこうだ。
「これは呪い」
そう呟くと俺は静かにため息をつき、ダンボールの中に入った。
この暑苦しい中、水もねえ。食料もねえ。
水なんか飲まなくても死なないのだがやはり暑いものは暑い。
この猛暑の中、俺は飲食なしで何日生きていただろう。
すべてこの呪いのせいだ。すべてこののr...
視界が暗くなり、体が重い。
ああ、俺は倒れたまま、この世界をずっと生きていかなければいけないのか。
俺は倒れても行き続ける。
ずっと
ずっと
そして俺が最後にみたのは、
この暑い夏の中、「NO水」で頭がやられたんだろう。
俺の前に女の子がいるなんてな。
そう、少女などいるわけがない。
これは俺の妄想。
俺の....
もう考える力も無くなっていた。
ああ
このまま死なない人生を送るのか。
考える力もなく生きるのか。
ああ
人間は
考える力がなきゃ
体も動かないのだから
「大丈夫?」
!!!?!!!????!!!!!???!!!!!??!!?
くぁwせdrftgyふじこlp!?
そう、
こいつは俺の妄想なんかじゃない。本物だ!
身長からみてJCだろうか....
俺より年下だということは、まあ分かる。
まあ俺は俺の年齢を知らないのだが。
「お水....あげよっか?」
くぁwせdrftgyふじこlp⁉︎?
なんていった?この子。俺に...
お水あげましょうかっていったのか⁉︎
ははっ。あり得ない。こんな可愛らしい子が俺に構うなんて
「お水いりまちゅかー?」
くぁwせdrftgyふじこlp⁉︎
完全にこいつ...俺の事子供扱いしてやがる⁉︎
年上だぞ。多分。そして俺は力を振り絞り答えた
「コロシテクレナイカ」
がっちがっちの声だ。
彼女の反応は.....まあ当然だろう。水あげると言ったのに殺してくれと言ったのだ。
もう俺の事をキチガイと思っているだろう。引きまくっている。ああ、それ以上引かないでくれ、引かないで....。
「あなたも死にたい人なの?」
え....
彼女はそういい俺を見つめた。
「君....捨て子?」
彼女はそう言いまた後ろを向いた。人見知りなのかこいつは。
俺は上下に首を振る。
「やっぱりね!君死にたいんだね!でもね....」
ああそれ以上言わないでくれ...俺も悲しくなりそうだ。
なにより
めんどくせえ
だが彼女にはテレパシーという呪いなどなく彼女は話を続けた
「でもね!....君は死んでもだれも悲しまないと思っているだろう。だけど絶対どこかに悲しむ人がいるんだ。だから簡単には死ねない....そうでしょ?だって悲しむ人がいなければ人間は簡単に死ねるのだから... 生きてれば人生は楽しくなる。死んだら...もう戻れない。君が死にたいって思ってるのはストレスの塊のせいだよ!うん...そう!」
なげえよ!そして意味わかんねえよ!
もう散々だよ!
「あ!」
彼女はなにかひらめいたように言う。
お使いでも頼まれていたのか?便所か?
とか考えてる時だった!
彼女はもうさっきの場所にはいなかった。
どこいったんd.....
目の前に彼女が現れた!
彼女のターン
[攻撃しますか?]
>はい
いいえ
必殺!【水攻撃(フジの天然水)】
気づいた時にはもう遅かった。
彼女は右手に持っていた水を俺の口にぶち込んだ。
オレの負けだ。
女は強い。
助かったのか助かってないのか、
わからなかった。
「ぐっはああああああああ」
突っ込まれたペットボトルの中にあった水は俺の喉を通り、色々な冒険をし胃にたどり着く。この裏路地で起こった 「ペットボトル口に突っ込む事件」はあと3分ちょいで幕を閉じるだろう。今日はなんて嫌な日なんだ。いや、俺にいい日なんてない。いつもが嫌な日だった。
今日までは。
「あっはっはっはっはっは!!」
彼女の笑い声が俺の耳に入り込んだ。閉じることのない口、腹を抱え、爆笑していた。一体なにが面白いのか。こっちは死にそうだったんだぞ。いや
死ねないからな....
いやまてよ...死にそうだったんだぞって...まさか....
「君wいつまでペットボトル口に入れてるのwwwww」
.......
あ
全く気づかなかった。まだ俺はペットボトルをくわえてたのか。恥ずかしい。俺は赤面になってこう返した。そう、子供みたいに、
「っるっせえ!笑うんじゃねえ!」
なんかもっと恥ずかしくなったのか、俺は顔がもっと赤くなり、彼女をにらんだ。
が彼女は笑いを止めることはない。そんなに面白いことか。全くわからないな。
「あ!やっと笑ったね!」
....え?あ...俺は無意識に笑っていたようだ。人って不思議だな。泣きたい時は無意識に泣き、笑いたい時は無意識に笑う、嬉しい時は無意識に喜ぶんだ。それが人間。
俺はもう笑いを耐えることなどない。
もう自由だ。
さあ、
笑え!
人間は感情の生き物。人生好きなように笑って行けばいい。好きなように泣いて、好きなように恋をする。
もう
俺は
でも
いや、今はやめておこう。今はこいつとの時間を、
より長く、楽しく、そして
自由に過ごす。
俺たちはもう笑いを止めることはできなかった。
俺はペットボトルの中にある水を一瞬で飲み干した。もう体力はMAXだったのだが、なんか勿体無い気がしたんだ。彼女の悲しむ顔を見たくない。それに、
もうこいつと会うのは最初で最後だから。
どうせ奇跡的に会えたとしても、俺はなんとかして死んでいるだろう。
そう、死んでいます。
いや、死にます。
とにかく今はこいつとお別れをしなきゃいけない。
「さようなら、また今度。」
彼女は可愛らしい笑顔と爽やかな声でそういった。ごめんね。もう会うことはないんだ。もう死ぬから。君は僕を励ましてくれたね。だけど、ごめん。君の言葉は僕に届かない。君の励ましで僕がイキタイなど言うわけないだろう。俺は首を上下に振ると彼女は背中を向けて遠くへ行っていった。半壊した路地を右に曲がり。街へと進む坂を登って行った。そして俺は天にこう言う。
「母さん、今日は初めて友達ができたよ。可愛い女の子だった。JCだろうか。もう爆笑だったよ。少ない時間だったけど楽しかったよ。水もくれたし、優しい子だった。僕を励ましてくれた....。母さん。1秒でも早く....
そっちに行くよ」
これは呪い。そう死ねない呪いだ。
この呪いは消えることは、
ないだろう。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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5~10話も掲載予定です。(1ヶ月後ぐらい先に。)