097 バンダナ
画像つき!
「シルバさん、こんな柄とかどうですか?」
今、俺とエスペランサはそばにあった洋服店に来ていた。
ビルの一階部分にある、どう見ても都市的ではないその店は、高層ビルという現実的な雰囲気を漂わせながらもどこかファンタジーっぽい。
それだから俺にとっては新鮮なのだが、別に周りの人は何とも思っていないみたいだ。
「あの、聞いてます?」
「ああ、すまん」
周りの独特な雰囲気に包まれて考えに耽っていた俺を、エスペランサは「もう」と、頬を膨らませた。
でも、今まで言ったことのある村は、本当に言っちゃあ悪いが小さな村、みたいな雰囲気しかなくて。
こんな、俺の認識からすれば「幻想的」な雰囲気は初めてだから。
魔法とか、散々見てきたし俺も使った。
でも、俺の前世では超能力が存在していたから、そんなに新鮮さはなかった。
でも、前世の建物はどう見ても現代的で、少し間違えれば近未来的と称されるほど、主要都市は発展していたから。
こういう雰囲気、悪くないな。
「こっちと、こっち、どっちがいいです?」
我に返り、エスペランサのほうを向くと彼女は二つのバンダナをこちらに見せていた。
色は赤と黒を基調にした、どこか和風っぽい文様の並んだものと。
白と青を基調にした、幾何学的な記号のようなものが規則的に並んだものだ。
「うーむ」
「こちらはオウラン帝国のものですね、獣腕族」の、有名な紋章の一つです」
うん、それはわかる。
三つ巴、というやつだろう。
俺はそれよりも、「オウラン帝国」という場所に興味を示した。
まあ、それについては別でいいか。今聞かなくても、寝るときにエスペランサに聞いてみよう。
「で、もう片方がこの国、カエシウス聖王国風のものですね」
風、ってことは正しくは違うものということなのかな。
ま、特に関係はないか。
「どっちがいいですかね?」
「値段もそんなにかからないし、別にいいんじゃないか?」
どっちも買う、ということでと、俺は答えた。
「ほぉ。そういう選択肢も確かにありましたね」
「どっちも、こんなに多くの種類からわざわざ選んでくれたんだし」
一つを使いまわしっていうのも、少しきついところがあるもんな。
エスペランサが選んでくれたものだし、本当にうれしいものなんだな。
「ありがとう」
「……いえいえ」
「いいの? エスペランサちゃんとシルバ君を二人っきりにして」
左のほうから、アイラの声が聞こえた。
アイラは本当に単純だから、おそらくシルバとエスペランサが一緒にいると心配なんだろう。
私だって、心配と言ってしまえば否定はできない。
「でも何か、エスペランサは隠しているような気がする」
「隠してる?」
「妙じゃないか? あの知識量とか。……希望神ホープの純粋な信者であんなに詳しかったアイラよりも、詳しいことがあるし」
「私は、エスペランサちゃんいい子だとおもうよー」
いろいろと不安だけどね、とアイラは自虐的に笑って私のほうを向く。
「ところで、ヴァーちゃんはどうなの?」
「どう、とは?」
「ふふ、どうだろうねー」
うまくはぐらかされた。
私は考えるのをやめて、あたりを見回す。
ここは一言でいえば、宿屋街。
「どこがいいとおもう?」
「そうだねぇー、私は一般的なところでいいと思うけど?」
値段的に、中といったところ、を指しているのかな。
それなら知り合いの宿があるし、そこなら少しくらいならサービスしてくれるかもしれない。
「さて、いこうか」
「本当に、ヴァーちゃんって男勝りな性格してるよね」
「そうか?」
シルバ君としゃべるのと、そんなに変わらないかんじ、とアイラ。
その言葉に少々、なんと返せばいいのかわからず苦笑いで返すことにして、私は足を進めた。
それにしても。……魔剣の名前、いったいどうするんだろう?
私とアイラの、2つの魔剣のおかげで私たちは、そんなに話しかけられないのか……?
「かなりの威圧力よね、この魔剣。……鞘の隙間から、隠せないほどの魔力が流れ出しているし……」
普段は目に見えないけど、魔力を直接見れる人とか、魔法で見れるようにすればかなりのものが視認できるとおもう。
なんせ、見れない私たちでも確実に感じ取れるんだから。
「これ、数億で作らせたのは無名とはいえ、ちょっと安すぎたかなぁ」
「……魔剣鍛冶師、か。」




