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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第5章:覚醒【awakening】
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075 感情制御

えたってません!

「そういうことなんですか……」

「まあ、私たちとはいろいろな意味で格の違う人なんだ。……本当に」


 ヴァーユ先輩が放心したようにうなずき、俺に向き直る。

 ちなみに手は握られたままだ。手は離したくないらしい。


 俺は先輩から聞いた話を頭のなかで反芻しながら考えて、自分がこれからどうすればいいのか考えた。

 正直な話、今すぐにでもリンセルさんとアンセルさんのところに言った方がいいんだろう。


「うぅー。しかしなぁ」

「でも、ヴァーユ先輩の地位も結構なものだとは聞いていますけど」

「そんなことはないぞ? ……私の家は、成金なだけだからな」


 ヴァーユ先輩は少しだけ寂しそうな、悔しそうなそんな顔で笑ってみせると、

 俺にもたれ掛かって、少しだけ上目遣い。


「私は、やっぱり魅力がないのか……?」

「そんなわけないじゃないですか」


 理性を抑えることに今は必死になっているというのに!

 と、柄にもなく心の中で俺は叫ぶと、立ち上がった。


 きょとん、とするヴァーユ先輩。

 俺はヴァーユ先輩に一言。


「俺は、ヴァーユ先輩のことが好きですよ」


 そのとたん、ヴァーユ先輩の顔は一気に真っ赤へ。

 ぱっと俺から手を離し、顔を両手で隠そうとするが、隠しキレていないのが現状。


 俺はとたんに先輩がかわいらしく思えてしまって、気がつけば先輩を撫でていた。


「ふぇ……?」


 真っ赤にしたまま、手の隙間からこちらを伺う先輩。

 俺は愛らしくなってしまい、手を頭から首へさげて彼女を抱きしめる。


 最初は少しの抵抗があったが、数秒のうちに次は先輩が俺を引き寄せる力になっていた。


「……私は、アイラに負けたくないんだ……」

「ん?」

「どうせ、シルバもアイラのことが好きなんだろう……?」


 何すねてるんだろ、ヴァーユ先輩って。

 俺はそんなことないですよ、と先輩に告げる。


「まだはっきりとは言えませんんが」

「うぅー」


 でも、すねてるヴァーユ先輩ってかなりかわいいんだな。

 いつもは冷静で正々堂々、男勝りしているから、こういう女の子っぽい場面を見るとギャップで打ちのめされそうになる。


 さっきの言葉は決して嘘じゃないけれど、改めて本当に、好きになってきた気がする。


「先輩、今度どこか遊びに行きましょう」

「ん。二人で、か?」


 はい、と俺が返事をすると、先輩はそっと顔を上げた。

 もちろん、抱き合っている状態だから、目の前にヴァーユ先輩の顔があって。


 長いまつげが、一本一本視認できるような位置。


 耳を澄ませば、吐息が聞こえるような位置。


「二人で、にきまってるじゃないですか」

「……そう、だな。えへへ」


 えへへって。

 ……こんな声も出せるのか。なるほど実に興味深い。






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「……ひっ!?」


 ラン君が意識不明のまま、1日がたとうとしている。

 郵便物を取りに行った私……リンナアイデルは、郵便物の一つを見て息をのんだ。


『ラン・ロキアス一人でこい、さもなくば……』


 脅迫状。

 頭をよぎるのはそれだけだったのに、それでもランは今起きてない。


 昨日、ウスギリ君の話を聞いている限り、闘技場で魔法を使いすぎた影響でぶっ倒れた、とはきいたけれど。

 魔力不足だったら、数時間寝ていれば回復するはずなのに、一日経っても目を覚まさないのは、どう見ても使いすぎの域を越えているの。


 この脅迫状。内容によればリンセルさんとアンセルさんを誘拐した。と書いてある。 シルバ君に相談するべきか、とも迷ったけれどシルバ君はあいにくここにはいない。

 ただ、授業にも出て行ってないって聞いているから、どこかに遊びに行ったのかな?

 それだったら連絡がなおさら取りづらい。


「ラン、起きてよ……」


 そうつぶやくも、ランは目覚めない。

 私はどうすればいいのかわからず、もう涙目になっていた。

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