067 都市部
ちょっと遅れました、すみません( ;∀;)
よろしくお願いします……。
今日最後の授業も終わり、俺は先輩たちが待っているであろう食堂へと向かった。
この学園には。食堂が4つある。
正直言ってそんなにいらないと思う。この学園に生徒は300人しかいないのに、そもそもそこまで食堂の座席も何も必要ないのだ。
まあ、一つは職員用、と言うのもあるのだが。それにしても大きすぎる。
何がしたいのか、さっぱり分からないが、その問題を考えるのはこの後でもかまわないだろう。
「あ、きたきた」
と、ほかの生徒と妙な距離を保っている二人組に視線を向ける。
なんだろう、本当にこの人たち異彩を放ってるな。
「授業お疲れさまだな」
「ありがとうございます……っと」
ヴァーユ先輩とアイライーリス先輩が優雅に紅茶を飲み終わり、立ち上がる。
銀と赤、相反しているようで相反していない二人の美少女。
そりゃあ、美しさにあてられて微妙な距離を保ちたくなるのは当たり前か。
それにしても、この二人はやはり美しい。
どうやったらこんな姿になるのか分からないが、とにかく女神に祝福されていることは理解できた。
「で、今日はどこに行くんですか?」
「うーん、なんだかんだ言って都市部に行く行くいってなにも決めてないの」
「……アイラはシルバ君とデートがしたかっただけだものな」
何を!? とアイライーリス先輩は勢いよくヴァーユ先輩の方を振り向く。
しかし、ヴァーユ先輩は素知らぬ顔でそれをスルーし、俺の方を向いた。
「まあ、逢い引きがしたかったのは私も一緒だ」
「ああー、はい」
そこで照れられると、どう反応すればいいのか分からないのが現実である。
俺にどうしろと言うのだ。
「あれですよ。俺はどっちか片方とか選べって言われても選びませんからね」
「わかっている。まだ時間はあるし、だからこそ時間を与えているんじゃないか」
何を言っているのかさっぱりわからないが、まあ気にすることはないだろう。
なんだかんだいって、俺はそんなに頭のいい方ではないと自分でも自覚しているんだから。
「ところで、私の頼んでいる魔剣はいつ作ってくれるのだ?」
「それなんですけど、今作ったらまた騒ぎが出るので、ていうか倍増しかねないので、もう少し時間を置こうかなって思ってます」
「まあ、それが先決だねー」
むぅ、納得がいかない。
そんなことを言いそうな顔をしたヴァーユ先輩は、俺を見つめて少しだけふてくされて見せた。
……表情があるヴァーユ先輩の方がきれいだと、本気で思う。
なんだこの可愛さは。
「じゃ、とりあえず出発、しよ?」
アイライーリス先輩を戦闘に、俺とヴァーユ先輩が後ろに続く。
そして、この三人が動くと、人のクレーターがそれに合わせて広がった。
「ここが都市部ですか」
「そうだな。シルバ君は、ここにきたりとかしないのか?」
「必要なものは全て学園周辺で手に入れていますから」
都市部は、……思った以上に都市部であった。
高層ビル群の周りを覆うように、低い建物が並んでいる。
そんな場所を俺は、感嘆の意を込めて眺めていると、ヴァーユ先輩は珍しいものを見るような顔で俺を見つめる。
「……どうしたんです?」
「い、いや」
あからさまに怪しい。
しかし俺は怪しむそぶりを見せず、彼女の顔を見つめ返す。
「ど、どうしたんだ? 何かついているか?」
「いや、綺麗だなって思っただけです」
ぼふっ。顔を沸騰させるかのごとく顔を急激にヴァーユ先輩は赤らめ、恐ろしい勢いで俺から離れる。
いや、そこまで反応するとは思わんだ。
やあり乙女プラグインでも入っているのか、この先輩は。
「ねえ、後ろの方で何をやっているの?」
アイライーリス先輩が、純粋な疑問の表情を浮かべて平然としている俺と。
顔を真っ赤にした事を悟られないようにしているヴァーユ先輩をみた。
「いや、何もしていませんよ?」
「むぅ、気になるなぁ」
気にされても困る。
ヴァーユ先輩は死んでもしゃべらなそうだし、俺も死んでも言わない。
こんな恥ずかしいこと言えるか。
「へぇー。……ねぇ、シルバ君はこの3週間の授業、どうだった?」
とってつけたように話題を変えられ、俺は少しだけ考えた。
そして、鍛冶関係の授業のことを彼女たちに話す。
「にゃ!? もう実技ウケなくてもいいって言われたの?」
「そうなんですよねー。何もしていないんですけどねー本当に」
まあ、先生に俺が魔剣を創ったこと、知られたのが大まかな原因じゃないかなと思っている。
そもそも、普通の鍛冶と違って【魔剣鍛冶】というものは道具をほぼ必要としない。
だから、先生は俺に一つの課題を出したのだ。
【普通の剣を一本つくれ】
と。
そして、それを一本、特に苦労もせずに感性に任せて完成させてしまった俺を見て、「あ、教えなくてもいいわ」と判断したらしい。
で、俺は単位をすでに入手しているというわけ。
「それが、いつなの?」
「明日の最後の授業ですね、まあ2コマ続きだったわけですが」
「そっか、ならその時間は私たちと一緒に授業を受けよう。2年の課程だが、シルバ君なら1年でも大丈夫だろう」
……お。
なかなか、いいチャンスをもらった気がする。
来週は頑張ります、お願いします!




