066 授業後
新章発足。
これからは暫定的に、毎週月曜日更新となります。
理由は簡単、私が5作同時連載になるからです。
魔剣を創って、3週間。
もちろん、「龍眼族の1年が魔剣を創ってくれるらしい」という噂は流れに流れた。
しかし、そもそも龍眼族に話しかけられる人なんているのだろうか。
いない、というのが事実である。今のところ、俺に話しかけられる上級生は、ヴァーユ先輩とアイライーリス先輩だけだ。
ほかの先輩は……特にバラヌ一派は……。
完全に俺を怖がっているのか、何なのか分からないが最近目も合わせてくれなかったりする。
ちなみに、受ける授業は決定した。
この学園、1コマの授業が90分で、午前中に2コマ、午後に4コマの一日合計6コマで授業が成り立っている。
そのため、一日の最終コマに授業を入れたら寮に帰るのが20時をすぎていたなんてよくあることなのだ。
まあ、俺はそんなに面倒な授業は取らないが。
授業は、聞かなければならない物だけを入れた。
なんだかんだ、『魔剣鍛冶師』という職業に資格は必要ないが『鍛冶師』という職業に資格は必要らしい。
それは、魔剣を自由自在に創れる人なんて存在しない、という前提条件だろう。
普通に「私の職業は『魔剣鍛冶師』です、なんて言っても大笑いされるだけである。
「エクアトゥール君」
考え事をしていたら、後ろから不意に声をかけられた。
周りを見回すと、どうやらすでに授業は終了しているらしい。
……考えことにふけりすぎて、周りすら見えていなかったか。
ちなみに、声を掛けてくれたのはアイライーリス先輩だ。
彼女自身は「アイラでいいよ」と言っているが、なぜか俺は長い名前のまま呼んでいる。
なぜだろう、ヴァーユウリンス先輩のことは「ヴァーユ」先輩と略しているのに、な。
アイライーリス先輩は、三週間でずいぶんとイメージが変わった気がする。
髪の毛は伸ばすことにしたのか、少しだけ結えてあるし。
前の粗野なイメージはなくなり、ヴァーユ先輩に似て清楚なイメージに変わったような気がする。
しかし、その顔から活発な雰囲気は拭えない。
いろいろと、多様性のある性格だ。本当にうらやましい。
「授業終わったけど、大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
「何か考え事をしていたんだね」
将来のことを少し、と返答を返す。
と、先輩は目を細めて俺の頭をそっとなでた。
その手つきは、正直言って妙に色っぽい。
なんと言えばいいのだろうか。その白くて細い、小さな手が近づいてくるだけで……。
背中を、ゾクリとした快感のような寒気が通り抜けるのだ。
これは、『あのとき』の熱が、未だ冷め切っていないからなのか。
「凄いね。私なんて何も考えてないよ」
「先輩は大企業のご令嬢でしょう」
「ふふ」
俺が言ったことにも驚かず、アイライーリス先輩はいたずらっぽく笑っただけだった。
そう、ランからリンセルさんたちに繋げてもらっていろいろと調べさせてもらったところ、ヴァーユ先輩もアイライーリス先輩もかなりの金持ちだ。
ヴァーユ先輩は血筋的にはクオーターだが、種族的には反映されていないと言う一般的な混血である。
母親方が完全な知勉族、父親方の祖父が械刃族だったらしい。
だから、少々無機質とも言える美しさを持っているのだと思った。
「そうだ、エクアトゥール君」
「はい?」
「この後、授業ってあるの?」
いったいどうしたんだろう。
俺は次の授業が一時間、あることを先輩に伝える。
確か、魔法の基礎を学ぶ授業だったはずだ。
普通の生徒には退屈すぎる物らしいが、俺とランと言う『外の世界から来た人』にとってはかなり助かる授業でもある。
「はい、1時間」
「じゃあ、終わったら第1食堂でいいかな?」
「なぜ?」
「ふふふー。私とヴァーちゃんと、エクアトゥール君で都市部に行こうかなって思って」
デートの誘いか。
なら、行かないわけには行かないな。
と、視線と気配を感じて俺が振り向くと。
目の前には、ハッとするような美少女がいた。
……っまあ、ヴァーユ先輩な訳なんだが。
それにしても、見とれてしまいそうになる。
「シルバ君、そういう訳なんだが、かまわないだろうか?」
「あー、はい。よろこんで」
ヴァーユ先輩の顔が綻び、穏やかな笑みがその顔からあふれた。
ふむ、このくらいのことならば何時でも大歓迎なんだが。
誘ってくれる人がヴァーユ先輩かアイライーリス先輩か、という意味でだが。
それにしても、ほとんど笑わないヴァーユ先輩のことだから余計に。
笑顔が、まぶしく見える。
「では、また後で」
「……あぁ!」
男勝りな口調だが……。
ヴァーユ先輩は、どうみても乙女プラグイン実装している気がする。
ありがとうございました。
今日はプチオフ会してきたので疲れました
寝かせてください。