060 狂
バトルは指がとまります、まさか一話に12時間かかるなんて思いませんでした
……ランが完全に、ランレイをなめていた。
二つの黒い剣を持っても、全てを防御していっさいの攻撃を与えない。
それにはもちろん、ランレイもいらだちを募らせているようだ。
ここからでもよく見える。
「なぜ攻撃しないんだ!?」
「なら、攻撃しようか?」
ランがにやっ、と笑った。
な!? とランレイが驚くとともに。
ランは、とんでもない速度でランレイにタックルをかます。
チェーンソーで防御しようと試みるが、間に合わず吹き飛ばされるランレイ。
観客席の下の壁、そこまではね飛ばされたランレイに
ランは容赦なく追撃を与える。
魔法で生成した剣を彼に向けて投げつけたのだ。
ひるんだ一瞬の隙、そこにタイミングを合わせた投擲。
それに対して、ランレイは崩れるようにして倒れ込む。
それにより、投擲はねらいが外れ彼の頭のあった場所に突き刺さった。
形勢は一気に逆転した。
たった、一連の動作によって次はランの圧倒的攻勢になってしまったのだ。
うわぁ、ラン手抜きしすぎだろう……。
「え? え?」
「リンセルさんどうした?」
「え、ラン君ってそんなに強かったの?」
この子、さっきまでランが本当に防戦一方だったと思いこんでいるらしい。
必要最低限の動きだけで避けているのをみるに、どうみても面倒くさがって、同時に相手を甘くみているんだろう。
俺も正直、ランレイくらいになら勝てそうだ。
「これで終わり」
ランは、最後に一回ランレイの腹を殴りあげるともう戦いは終わったとでもいうように闘技場を後にした。
「何で最初のほう手加減してたんだよ」
「初手でやったら全く面白くないだろうよ。最初の方は俺も相手の強さが分からなかったし、正直言えば最初チェーンソーが出てきたときはさすがにビビった」
今、俺とランは寮に向かう道を歩いていた。
彼は無傷だ。傷一つついていない時点で、あのときどれだけ彼が相手に対して手加減していたか分かると言うことだろう。
「正直、そんなに強くなかったな」
そうやって呟くランの顔は、実につまらなそうなものだった。
戦闘狂……なぁ。
この人、戦争にいったら笑いながら人殺しそうで怖いな。
……1人殺したら殺人犯、1000人殺したら英雄、か。
力でねじ伏せても……まあ、この人が正常な人格者であることを祈ろう。
「今度、シルバとも戦ってみたいんだけども」
「……ああ……」
やはり……この人は戦闘狂だ。
怖い。
「へえ、ラン君が圧勝したんですね」
「怖いな、あの人」
夜。寂しいから話をしにきたと真っ赤な顔で呟いたエスペランサと、俺は話をしていた。
エスペランサは伏せ目がちで、今日はなんだか顔も赤い。
何か、面倒なことに巻き込まれていなければいいが、いったいどうしたのだろう。
「どうしたんだ?」
「いえ、シルバさんに言うのは少し抵抗があるので……」
俺にいえないことか、まあいいか。
今から急ピッチでもう一話書きます!