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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第4章:魔剣【magisword】
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056 親衛隊

シルバ無双、始まります。

「フロガフェザリアス先輩」


 体験授業もそろそろ終了と言ったところで、俺はヴァーユ先輩を見つけた。

 ここは『武器鍛冶基礎』という座学の授業。もちろん工房棟で行われており、この前先輩に案内された教室の一つである。

 さすが履修系の学園、やはり上級生下級生関係なく受ける授業がかなり多い。


 ちなみに、友人は未だ0。ランを友人と呼ぶとしても1人。

 逆にヴァーユ先輩には囲いのような男子生徒が十数人と、これまた麗しい女子生徒の友人が2人ほど。

 いろいろな意味で惨敗している気がするが、履修登録の登録方法をしらないのだ。仕方がない。話しかけられる先輩なんてヴァーユ先輩くらいだろうし、話しかけないと今年の単位は0になってしまう。


「ああ゛ん?」


 話しようとして少し近づいたら、囲いの中でも頑丈そうな、ガチムチの狼人ににらまれた。

 獣腕族ケレイジだろう、頭の上にはとがった狼の耳に、筋肉質な身体。

 肌は黒く、牙とのコントラストが激しい。


「お前誰だ?」


 名乗りを上げるとき、前後どちらかに種族名を言った方がいいらしい。

 これはリンセルさんから聞いたが、礼儀なんだとか何とか。

 正直、こんなに種族入り交じって通っている学園だ、種族争いなんて起こりそうにないが。


「名乗れよ? オォ?」


 露骨な挑発。しかし、この学園の本質を俺は知っている。

 超実力主義。上級生だろうが下級生だろうが、強い人が上の地位を勝ち取ることが出来る。

 『力』を持つ人こそ。


 と、ここで先輩も俺に気づいた。

 話しかけようか、無視しようか悩んでいるのだろう。

 ……悩む必要などないのに。


「……シルバ・エクアトゥール。……種族は、龍眼族レザールだ」


「ーーッ!?」


 ほうら、驚いただろう?

 俺には他の人にはない「種族」のアドバンテージという物がある。

 それだけで普通の人は浮き足立つ。


龍眼族レザール……っ!?」

「ていうことは! こいつが噂の……!」


 周りの囲いがざわめき出す。

 しかし、狼の先輩はあわてなかった。


「そうか、ならちょっとこっちに来てもらおうか? なぁ?」

「……はっ」


 馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。

 俺は心配そうな顔でこちらを見つめているヴァーユ先輩と、引き気味の友人を見やって。

 先輩方に押されるようにして、体育館裏まで連れて行かれた。







 なんともまあ、古典的な呼び出し方法である。

 相手は25人。そんなに居たかと思えば、途中で肥大していくのを捕らえることが出来た。

 目測では、そこまで強くなさそうだな。もっとも、【腕輪アルミリア】を使っている俺には関係のない話だが。

 まあ、使わなくても勝てるだろう。


「オマエ、お嬢に何のようだったんだよ?」

「それを答える義務はありますか?」


 相手の目が険しくなった。

 そりゃあそうだ、挑発したんだからな。

 そもそも、ヴァーユ先輩のことをお嬢って呼ぶのか。

 ……こりゃあ、先輩は中々良いところの出なのかもしれないな。


 俺は拳を握り込み、それを一つの武器に仕上げる。


「オォ? やるつもりか?」

「自分からは手を出さないがなー」


 先輩方は、お互いに目を見合わせている。

 俺をやるかやらないか、それの確認をしているらしいが。

 ……確か、テレパシー的な魔法もあったんだっけ? よくわからない。


「まあ、良いだろうお前ら。……落ち着いていたぶれ」

「はいっ、バラヌさん……」


 狼男の名前はバラヌ、か。

 なるほど、厳かな雰囲気のあるいい名前だな。

 ……あー、表示されてた。


 俺は【腕輪アルミリア】を確認しながら、襲いかかってくる二人を見据える。

 なるほどー。名前も覚える必要はなさそうだな。


「うぐっ!?」


 遅い。

 俺は一人目のボディーに膝でけりを浴びせ腰を折り、追った反動で降りてきた頭に殴りかかる。

 骨が折れる変な音がして、一人目が地面に崩れ落ちる。


 とつぜんのことに唖然とする二人目の顎に跳び蹴りをかまし、一撃KO。

 ……膂力りょりょく最強というのはあながち嘘でも何でもないらしい。

 なるほど、筋肉の力が強い……さらに【引斥制御グラビシオンコントロール】も兼ね備えていると、こう言うことは難なく出来るというわけか!








「ぐっ……」

「あいつ……化け物だ……」


 10分後。体育館裏は、阿鼻叫喚の図と化していた。

 正直、俺は技術も何も筋肉の力に任せて殴り続けただけなのだが、それではいろいろと弊害が起こる。

 やはり、【引斥制御グラビシオンコントロール】とのかねあいは必要だ。


「バラヌ……先輩でしたっけ」

「あん?」

「残りは貴方一人ですけど、やりますか?」


 その言葉にハッとしたのか、バラヌ先輩は見回す。

 そこにあるのは、俺に手を出そうとして返り討ちにあった先輩方が全部で24人。

 ほとんどは口から血を吐いて倒れている。


 バラヌは、それらを見やって俺を、剣呑な視線で見つめた。

 何を考えているか、少しだけわかったような気がする。

 この先輩の考えていることは、仲間のことではなく自分のことだ。

 おそらく、これだけの相手と戦って、俺に彼と戦う体力が余っているのか今はかろうとしているのだろう。


 さすがに24人と戦うのは疲れた。まさか魔法を使わないとは思わなかったが、なぜなんだろう。

 ……ああ、魔法には口で詠唱しなければならない分……そちらに意識がそがれてしまうんだろう。

 その間に俺に攻撃されたら元も子もないと考えたのか。


「……こいつらと俺は違う」

「そうですか? で、結局どうするんですか?」

「俺は良識のある腕獣族ケレイジだ。無駄な争いは好まない」


 どこの口が言うのか、そんな言葉を。

 さきほど、俺を襲わせたのは先輩自身だろう。


 先輩の姿が見えなくなったのを確認してから、俺は自分の顔を確認する。

 ……口の中が少し切れて、血が流れているが気にするような傷ではない。




 ……と、その前にどうやってエスペランサにいいわけをしよう……?

明日から毎日更新にしないと間に合わないレベル(/ω\)


頑張ります

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