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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第3章:前進【advance】
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047 朝目覚め

急ピッチで書かねば。


でも、クオリティは落としたくない。

変なジレンマに囚われているゼノです。


最後まで読んでいただければ光栄です

「……ルバ君。……大丈夫?」


 眼を開けると、そこに華琉はいなく。

 代わりに、リンセルさんがいた。


 寝ぼけた頭で周りを見回すと、何のことのない下宿先のソファの上である。

 はて、意識がなくなる前のあの感触は本当に夢だったんだろうか。夢でも仕方のないことだとは思うが。


 ……世界を超越することが不可能だと俺は思っているため、特に問題なくそう感じた。

 と、そこでリンセルさんの存在を忘れていたことに気づく。


「……おはよう」

「おはよ。……何か体調でも悪いの? 大丈夫?」

「特にそんなことはないが、……俺がここに居ると気づいたのはいつごろだ?」


 リンセルさんは俺の眼を、その紅い目で見つめると。

 不意に目を反らし、何処かに立ち去った。


 と思ったら戻ってきた。

 どうやら、朝飯を準備してくれていたらしい。


 クリーム色の何かが乗った、パンを手渡されて少々戸惑う。

 いや、実際はその存在がパンであるかパンでないかなんて知ったこっちゃないのだが。

 少なくとも、そんな感じの食物を前世では「パン」と呼んでいた。


「パンは嫌いなのかな?」


 パンでした。

 この世界、もしかして……。


 ないと思うが。

 ……まさか、なぁ?


「いや、ちゃんともらう」

「そっか。……ふふっ」

「?」


 彼女の笑った意味が解らず、俺は彼女を見上げる。

 リンセルさんは、にこやかな顔で俺を見つめていた。


 ……もっとも、背丈は低く俺の肩に届くか否か、というところだったのだが。


「……首痛い」

「それは俺に屈めということか?」


 こく、と頷くリンセルさん。

 仕方がないためソファに座ると、彼女は満足したようにこくっと頷くと無遠慮に身体を触ってきた。


「はっ?」

「そんなに威圧しないで。……龍眼族レザールって、体つきがいいんだね」


 遠慮なくぺたぺたとさわってくるあたりで俺が威圧しないと思うのはどうかと思うんだが。

 リンセルさん、常識が欠如していたりとかするんだろうか。


 ……名前が妙に長かった気もするし、どこかの金持ちの娘だったりしてもおかしくはなさそうだが。


「シルバ君は、龍眼族レザールだからやっぱり鍛冶を学びにここにきたの?」

「……一番の目的はそうなるな」


 一番の目的は、ここで鍛冶の材料を整えることにあるが。

 そう、鍛冶神ヘーハイスからもらった【魔武具創造マギア・クリエイト】の能力は技術の伝授のみという微妙なものである。


 ……材料も無尽蔵に作り出せるとかならいいんだが、流石にそれは話がうますぎるといったところか。


「そかそか。私はどうしようかな?」


 リンセルさんはそういうなり、悩んだように首を傾げる。


 俺はそんな彼女にかまわず、思ったことを聞くことにした。


「……ラン・ロキアスをどう思う?」

「えっ?」


 聞いたとたん、彼女の頬は桜色に染まった。

 真っ白といってもいいほどの肌にわずかな赤が注す、というのはそれはそれで非常に秀麗なものがあったが、どうやら恋慕の意かどうかはわかっていないようだ。


 しかし、……男の俺からいうのもなんだがあの顔である。

 ……初対面から堕ちるか? 普通。











 朝ごはんも程々に、俺たち6人は学園校舎へ向かった。

 今年の学年色は黒らしく、そんなにいい色でも悪い色でもなさそう。

 俺は好みであるためそこまで気にはならなかったが。


「その学年色を基調とした服を着ておけば問題はないっていうことか?」

「そうなりますね」


 エスペランサに洋服をコーディネートしてもらいながら、俺は早朝の出来事を思い返す。

 今でも感覚として残っている。


 彼女の感触は、本当に夢だったのだろうか?


「どうしたんですかシルバさん。顔色が優れませんよ?」


 なんだかんだ、朝はソファで寝ていたってリンセルさんもいっていましたよとエスペランサ。

 ……まあ、夢だとすると俺は寝ぼけたままあそこにいたという訳になるが……。


 その可能性もあるのか……?

 まあ、気にしない方向で行こう。

 気にしない方が……絶対にいい。


 彼女とはもう会えないと思っていたのだ。

 鮮明過ぎる夢であれ……出会えたということでいいんじゃないか。


「あら? シルバさん、これ……」

「……薬莢やっきょう? 銃って……」


 アイゼルの説明では、たしかにこの世界には銃は存在する。

 使っている人が少ないというのは、銃は弾数が有限であることに対して魔法には弾数はないようなものであるから。

 勿論、俺たちの体の中には魔力をためる場所があり、それが底をつくと危ないらしい。


 しかし、俺は今まで会って来た人の中で銃らしきものを持った人を見かけることはなかった。


「……しかも、本などで読んだものと色も形も……全然違いますね」


 長さは15センチほど、太さはそれほどではないが先端から末端にかけて白から赤にグラデーションを彩っている。


 ……はは。……夢ではなかったということだ。


「エスペランサ。それ貰ってもいいか?」

「はい。どうぞです」


 エスペランサにもらった薬莢を俺はそっと握りしめ、自分の胸ポケットの中に入れる。






 この薬莢は、華琉のものだ。

ありがとうございました。

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