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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第3章:前進【advance】
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041 説明疑心

次回から新章です。よろしくお願いします。


最後まで読んでいただければ光栄です。

 それから何か月か経った。

 俺たち3人は食っちゃ寝食っちゃ寝を繰り返して生きていた。

 異世界の生活とは何だったのか。

 堕落の日々である。


「入学まであと何日でしたっけ?」


 エスペランサの言葉に、俺はそばにあったパンフレットをのぞくことによって把握する。

 こうやってゆっくりできるのも残り数日、と言ったところか。


「残り3日、といったところかな」

「それ、結構慌てないといけないのではないですか?」


 エスペランサの言葉に、俺は首を振る。

 たしか、明日に寮への案内が届くはずである。

 明日からは寮生活、そういうわけだ。


 前世での寮生活は、それはもう混沌に満ちていたような気がする。

 当然のように男子寮と女子寮が分けられていなく、自由を通り越していたような気がする。

 今回はちゃんと分けられていることを期待しよう。なんだかんだ、この世界もぶっ飛んでいる節があるからな。


「同じ寮になれるといいですね!」

「はぁ?」


 俺は梟のように首を回し、エスペランサの方を向いた。

 この娘、いったい何を言っているのか。

 理解できかねるのだが、どうすればいいんだろうか。


 しかし、俺のそんな顔に少女エスペランサはたじろぐこともなく、当然だというように笑ってパンフレットを俺に見せてきた。


「ほら、ここに書いてるじゃないですか? 寮はシェアハウス方式だと明記されていますよ?」

「……そこは全くもって興味がなく、読んでいませんでした」


 俺は言い訳をするように頭を下げると、エスペランサからパンフレットを取り返して中身を確認する。


『寮は、10人での同居とする』


 しっかりと表記されていた。

 驚愕の事実である。


 こんなの聞いていない。

 決してこんなもの聞いていない。

 まあ、今が初見なわけなのだが。


「そういうわけなのですよ。わかりましたかシルバさん」

「……あまり考えたくはなかったが、事実だということは把握したよ」


 前世よりもカオスになる可能性がある。

 この学園、大丈夫なのだろうか。











「アイゼルー。おいアイゼルー」

「何だいシルバ」


 理由は特にない。

 強いて言えば、暇だったということだろうか。

 

「この世界、何故銃を見かけないんだ?」

「ん? それを知らないって、無知にもほどがあると思うんだが、どうかな?」


 俺は肩をすくめることで、その質問をスルーする。

 アイゼルははぁ、とため息をついて俺を見つめて……。

 説明をし始めた、


「簡単に言うと、魔法に銃弾が負けるはずがないと言うことだ」

「いや、でも銃弾の方が速いだろう?」

「……君は、本当にこの世界の人かな?」


 ……俺は再び、肩をすくめた。

 アイゼル、思っていた以上に察しがいいな。


 エスペランサは簡単に信じてくれたというのに……というより、別に隠さなくてもいいのだろうか。

 隠しても、ろくなことが起こらないような気がするが。


 今のところは、多くを語らない方がいいのか、それとも言ったほうがいいのか。


「……来たるべき時に話す。すまない、今は言えないんだ」

「そんなに、俺が信用できないのか?」


 信用とか、そういう問題ではない気がするのだが。

 アイゼルの顔を見ると、彼は怪訝な顔を隠そうともしなかった。


 信用を得るというものは難しいものである。

 そもそも、俺が何かを語らないと相手も信用してくれないんだろうが。

 今、正直信用できるのかと訊かれたら俺は首を横に振るだろう。


「まあ、君にも何か事情があるんだと思って今回は普通に説明するよ。君が今回戦ったのは、あの『クレアシモニー魔法学園』の平均的なレベル。つまり、あれよりも実力のある人なんて腐るほどいるのさ」


 ……腐るほど?

 俺がそう聞き返すと、たとえばとアイゼルは指を立てた。


「例に挙げるとすると、例えば銃弾よりも遥かに速い速度で遠距離魔法を撃ち出す人がいる。魔法で自分を強化し、【デルエクス】よりも移動速度を速くすることのできる人がいる。そんな人に対して、銃は効かないといっても過言ではないと思うけど」


 あまり俺には理解しがたい説明ではある。

 ……この世界の文明レベル、銃がそれほど発達していないというのもあるんだろうが。


 そもそも、魔法が脅威を揮ってきたこの世界のことだ、魔法ばかりが発達しているというのもあり得るのだろう。


「じゃあ、剣は? ならなぜ剣が発達するんだ?」

「ここの剣は魔法と融合させやすいからね」

「融合?」

「剣に魔法を取り入れ、魔法が使えるようにするということさ。常に魔法を宿した剣を【魔剣】と言い、魔法で創造した剣を【魔法剣】というんだよ」


 ……なるほど理解できない。

 俺が理解するには、かなりの時間が必要かもしれない。


「まあ、君が何か情報が必要だというのなら、オレはいくらでも教えてやる。信用出来たらオレにすべて教えてくれればいいさ」

「……恩に着る」


 まあ、そろそろエスペランサのことも心から信用する必要があるんだがな。

 とりあえず、明日の寮を楽しみにしよう。

御読了感謝いたします。


明後日もよろしくお願いいたします。

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