038 入学試験
バトル描写、やはり苦手です。
最後まで読んでいただければ光栄です。
「君が入学候補者かな?」
俺の前に現れたのは、青い髪の毛をした人だった。
驚きの青さである。
腰には剣の鞘。長さからして、長剣の類だろうか。
はて、俺はここの学園長から「平均的な」人が対戦相手に選出されると聞いているのだが、相手のこの余裕は何だ?
……はてと思い、俺は自分の手をよく見たところ納得がいった。
……種族を隠したまま、というのも悪くないか。
先ほど、学園長は龍眼族が初といっていたあたり、今まで龍眼族がこの学園にいたことはないのだろう。
俺は所詮はぐれである。龍眼族になったのも成り行きだし、種族のしきたりなんて知る由もない。
俺は俺の戦い方を進めていくだけだ。簡単なことである。
『両者、名乗りを。入学候補者から』
試験官だろうか。腕に黄色い腕章をつけた男にそういわれ、俺は名乗る。
「シルバ・エクアトゥール」
横目で観客席を見ると、興味深そうな顔でこちらを見つめているラン・ロキアスの姿が目に入った。
隣の少女が彼の肩をつつき、「帰ろう」というように不満げな顔で見るも、ラン・ロキアスは首を振ってそれを拒否した。
……そんなに俺の戦いが見たいか。
そうかそうか。放っておいてくれよ。
「……アレクエ・エイレイン。よろしくね、ちなみに2年」
……いっさい年上か。
油断さえしなければ……問題はないっ!
『では、はじめ!』
試験官の声がしても、俺と相手……アレクエ・エイレイン先輩は動かなかった。
俺はただ、相手の動きを見てから次の行動を決めようと思っていたのだが。
相手は武器を持たず、俺の方向に左手をつきだして……。
「【風】属性初級遠距離魔法、《翠弾》!」
と叫んだではないか。
先輩の左手から野球ボールほどの球体を撃ち出したではないか。
色は濁った黄緑色。常に攪拌されているかのように色は安定せず、それが素人の投げたボールほどの速さで飛んでくる。
俺は手を地面について体を倒す。
何か、ナイフが体の側面を通り過ぎたような悪寒。
なるほど、それが魔法か。
速度もそれほどない、比べてこちらが接近すれば……。
まず間違いなく、負けることはないだろう。
詠唱を完了されて初めて、魔法は機能するようだ。
つまり、詠唱が完了するまでに俺が接近できれば勝ちというわけだ。
……【引斥制御】? そんな子しらない。
「【風】属性中級……」
「遅い!」
俺は一目散に先輩へダッシュする。
先輩はというと、一時詠唱を中断し腰から剣を抜く。
だが、遅い。
俺は右手で拳を握ると、先輩の顎を下から殴りあげた。
少々よろける先輩。宙に浮かなかっただけでもまだマシか。
俺はその一瞬を逃さず、次は左足で腹を蹴る。
次こそ横に吹き飛んだ。
しかし、吹き飛ばされてもたっていられるのは、魔法の効果なのか?
それとも、ここの人は体が丈夫にできているのか?
御読了かんしゃです!