037 学園進入
最強、現る。
最後まで読んでいただければ光栄です。
学園内は、とにかく広かった。
俺とアイゼル、そして着いてきたエスペランサはただ、それにまずは驚かされる。
そして俺たちの前にて先導してくれている、初老の男は朗らかに笑いながらこの学園について説明してくれた。
「この学園は、約100年前から始まる比較的新しい学園です。同盟国各国が、将来国を背負う人たちを養成する……というのが、元々の目的だったのですが」
「ん?」
「現在の状況としては、冒険者を志願する人が多く、それぞれの将来にあわせて教育をする場となっております」
もちろん、そちらの方が評判は良くなりましたがと男性はうなずいた。
……まあ、この調子だと俺のしたいこともできるかも知れないな。
「ところで、試験の内容は何ですか?」
俺たちがどこに向かっているのか見当がつかないのだろう。
アイゼルが首を傾げながら、彼に尋ねる。
「そうですね、在校生のうちもっとも平均的な生徒と【決闘】をしていただきます。見事勝利することができれば、入学を認めます」
そんなに単純な物なのか。
……緊張していた分、なにか物足りない気がするが。
「まあ、シルバ・エクアトゥールさんは大丈夫でしょう。この学園初、龍眼族の生徒となることができるでしょう」
「……はぁ」
「申し遅れました。ルギアル・ルート・ルーベルと申します。ここの学園の長をつとめております」
あ、この人が長か。
ちなみに、隣を見るとエスペランサもアイゼルも口を開けていた。
まったく、どういうドッキリなのか。こういう企画が最近ははやっているのだろうか。
「こちらですね。……第一闘技場です」
案内されたのは、中規模な円形闘技場だった。
前世でいう……ローマの観光地でもある有名なコロッセオだろうか。
しかし、それほどの大きさはなく数分の1といったところだろう。
「第1?」
「ええ、ここには第1闘技場から第15闘技場までありますよ」
中身は、……近未来だな。
砂のフィールドではなく、……白い何かで覆われている。
なんだろう、あれは。
俺が床の材質に気を取られていると、闘技場の観客席で待機している一人の少年と、そのそばに座っている少女が目に入った。
少年の方は……ちょっとキラキラ輝いていると錯覚してしまうほどのイケメンである。顔の作りどうなっているんだこいつ。
筋肉は、あるにはあるんだろうな。正直言って。
ただ、オーラが凄い。なんだろう、酷い。
隣で、こんなにも距離が離れているのにアイゼルが口をパクパクさせているんだから、怖い。
少女の方は、知勉族だろう。
黄緑色の髪の毛に、長めの耳。
美少女だな、この子。
「あそこにいるのは?」
「ああ、今さっきここへの入学が決定したラン・ロキアス君ですね」
ラン・ロキアス……か。
……心の中にとどめておこう。
「シルバさん、まずは決闘の方法を教えますね」
「たのむ。分かりそうにない」
エスペランサがうなずいて、俺に簡単な説明をする。
とりあえず、今回のものは競技での決闘だからにして簡易的なもので構わないらしい。
まず対峙したら審判の指示に従って【異名】を名乗り……。
「まて、その【異名】とはなんだ」
「一部の人が手にすることのできる【通り名】のようなものですよ。主に権力者や政府から与えられることが多いです」
ほう、簡単にいったら自分では名乗れないため【何かを成し遂げた人】という特別な意味が出てくるのか。
なるほどな。
で、【異名】を名乗った後に自分の本名を名乗り。
準備の合図とともに武器を取り出す、と。
なるほど、何とかなりそうだな。
「勝つ条件は、相手の戦意消失ですね。降参もありです。……ただし、何度でも立ち上がってきた場合、立てなくなるまで決闘は続行します」
「よし分かった」
「あと、魔法も有りなのでそこだけ気をつけてください!」
……そういえば、俺まだ魔法未経験か。
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