031 学園詳細
まさかの本日2話目。
最後まで読んでいただければ光栄です。
「は?」
『クレアシモニー魔法学園』を知らない俺は、そう聞き返す。
するとベルナルドゥス鍛冶長は、何かに納得したように頷いた。
さっぱり現在の状況がつかめないんだが。
アイゼルが俺の能力値を見て、俺がそばにあった刺突剣のエペを振って「軽い」と言って、そうしたら鍛冶長を呼んできた。
そこからいきなり、『クレアシモニー学園』に入らないか? だとよ。
話が飛びすぎて何を言っているのか分からないな。
「クックックッ、まさか『クレアシモニー魔法学園』を知らないとでもいうのか?」
「いや、そのまさかなんだけど……」
名前から、その学園が魔法を教わる場所だというのは知った。
しかし、これ以上は……。
そんなことを思っている間に、興奮したのか顔を真っ赤にしたエスペランサと鍛冶長が説明してくれた。
ほう、『都市国家ポラリス』の……実に4分の1を占める敷地を持つ、超巨大学園か。
学費無償って、どうなってるんだろうな。
で、身分などで入学を決めるのではなく、実力で……か。
なるほど。
悪くはないな。
「入りたいという気持ちはあるが、俺には入学許可もなにもないぞ?」
「儂が持っている」
はっ?
俺が呆気にとられていると、アイゼルが説明してくれた。
「ここ、確かに町は辺境の地にあるけどさ。結構国際的にも有名な鍛冶屋の一つなんだ。だから、その鍛冶長である祖父は、入学候補者の指名権があるんだよね」
「候補、ということは試験があるんだな?」
「そうだね」
ちなみに、俺も候補者だからねとアイゼル。
同時にパスポートを見たら、魔力が赤数字だった。
エスペランサによると、醒眼族として考えたらあり得ない数字だと。
アイゼルは簡単にその仕組みをあかす。
「俺、親が醒眼族と知勉族で混血だから。でも、残念なことに混種族にはならなかったってわけ」
「あぅ、シルバさんには全然分かっていないようなので、私が一度説明します」
と、俺に説明してくれるエスペランサ。
「種族の違うもの同士が子供を産むと、ほとんどの場合はその片方の種族の姿を引き継ぎ、能力値が少々混合された子供『混血』が産まれます。しかし、非常に稀なケースですが両方の種族の姿を混合して受け継ぎ、能力値も完全に混合され【いいとこ取り】された子供『ハーフ・レイス』が生まれるのです」
ちょっと待て。
エスペランサ、お前何で知ってるんだ。
田舎の秘境の町に住んでいなかったか? 数日前まで。
「む、図書館で読んだんですよ。……一度読んだものは忘れませんので」
「な、なんか済まない」
とにかく、アイゼルが普通ではないことは分かった。
と、鍛冶長の方に向き直る。
「どうだ?」
「……それがもし、可能なら」
「そうか。なら、これを渡すから学園に行ってこい」
次こそ、俺は叫んだ。
「はぁぁぁっっ!?!?」
「いや、俺たち今から『龍眼族自治区』に行かないと」
「しかし、それは急の用事なのか?」
……そういわれれば、どうなんだろうな。
金か学校か。
……うーん、学校かな!
「確かに、龍眼族だからそちらに行くという意味も分かるが、それは世界一と名高い学校に行くことと対価として平等なのか?」
「……さぁ?」
結局、幾らくらい貰えるのか……。
……30万は確定だがな。
ここは、とことん悩むことにしよう。
御読了誠にありがとうございました!