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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第15章:試練と龍集落【Test and Dorallage】
307/333

307 能力と魔法(ハル)

 私が連れてこられたのは、半径30メートルほどはありそうな巨大なフィールドだった。

 その周りには火の玉がばーっと囲むようにう配置されている。

 照明にしては暗すぎるから、多分演出の一つかな、と。

 いや、もしかしたら石を持って攻撃してくるのかもしれないね。


「試験としては3段階を予定しているけれど、最初からレベル3に挑戦してもいいし、順番にやってもいいよ」


 ルークエルリダスさんが提示したのは、1段階目が護衛20人との戦闘。2段階目は、護衛ゴーレム5体との戦闘。そして3段階目がルークエルリダスさん本人との戦いになる。


 今こう考えて、どうするか。正直ゴーレムっていうのが厄介だと思う。どんなものなのかわからないけれど、魔法無効とかあるんじゃないかな、って。

 でも私は魔法が使えない。多分。属性能力が使えることは確認できたから、そっちでなんとかできるはず。

 ゴーレムって、地面属性とか土属性とかそんなもので認識はあってるんだよね? こんなところで氷属性のゴーレムとか言われても困るけれど。


「この陣の中には、不殺の魔法が込められている」


 この範囲内にいる間は、どんなことを起こそうとも死ぬことがないという。死ぬほどの痛みは受けるけど、絶対に死ぬことはないって、いろいろ考えると逆に行けない気がするけれど。


 私は少し考えてみた。一つ一つゆっくりと攻略していくのは時間がかかりすぎるけれど、だからといっていきなり最終試験をやってみたって、この世界の戦い方がよくわかってない私には不利になるだろうから。


「……とりあえず、全部やってみようかな?」

「ほう」


 フィールドの中にはいると、すでに相手が待機しているのがわかった。私は銃をまだ構えず、そのまま両手を広げた。

 能力を使ってみよう。護衛だから、それ相応の装備は積んできているんだろうけれど。


 それは対魔法のものであって、私の持つ属性能力には対抗できないでしょうから。


「【炎翔エンショウ】」


 私は小さく引き金を詠唱すると、掌から前面に向かって火の鳥が形成され、射出するのをじっと眺めていた。

 私の能力には、それぞれ能力の詠唱が必要になる。いや、熟練の戦士にはそれが必要なくてもある程度はできるんだろうけれど。

 能力は不定形なため、強くイメージすることによってただの概念だった能力を発現させることが可能にする。それが私が学んだ能力戦闘の仕方。


「対【炎】属性魔法障壁!」


 護衛の1人がそう叫び、次々と詠唱がなされていく。

 私にその全貌は聞こえない。自分の火の鳥がつんざくように声を上げながら何も関係なさそうに突っ込んでいくのも関係しているけれど、特に気にしなくてもいいような気がしたから。


 程なくして、向こう側から苦しそうな声が漏れだした。一撃で大火傷させる程度の温度にはしたはずなのだけれど、少なくとも軽減はされているみたい。


 能力の発現にももちろん制限時間はあって、発現した一時的な能力生物はエネルギーを消費し切ると霧散してしまう。

 今回の場合、継続してダメージを与えるために持って30秒かな。


 でも、私はそれで終わらせるわけには行かなかった。

 できれば1手で終わりにまで持って行きたかったのだけれど、たった30分ではじりじりと近づいてくる護衛をなんとも出来なかったみたい。


 普段ならここで銃を抜く。私が一番信用できるのは属性能力よりも、この銃。この銃はトラブルが起こる心配もないし、私の才能が、努力が直接反映されるから。

 ……今回は状況が違うからね。ここから始まるとどうしてもいろいろ対策を練られてしまいそうだから、ぐっと堪える。


 能力の脅威を相手に知らしめなければ。


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