306 容認範囲(ハル)
「私はまだ君を歓迎しないよ、ハル・ナグモさん」
レイカー城についた時、そこにいたのは双子姉妹と1人の中年男性。彼が件のルークエルリダスさんだろう。
双子姉妹は両方共心配そうな顔をしている。私が試験をクリアできないと思っているのかな、それとも、自分たちの立場が脅かされることにたいしての不安かな?
でも、私には特に関係ないことだね。私はこの試験をクリアして、シルバくんとの婚約を認めてもらうんだ。そのために、私はこの世界に来たのだし。
シルバくん、待っててね。すぐに安心させてあげるから。
「試験は3つ用意している。そのすべてをクリア出来たら、条件を飲もう」
彼はそう言って、私をまっすぐ見つめた。見つめれば見つめるほど、その眼力の強さを感じ取ることができる。
すくなくとも、シルバくんに匹敵する。龍眼族っていう、どうも龍人を更に人間へ近づけたような容姿の種族と同じくらい、その眼には光が宿っていて、同時に力もあった。
「今からすぐに始めるか、それとも明日からか、どちらがいいかい?」
長旅だったし疲れただろう? と気遣うように話しかける彼に対し、私は強くそれを突っぱねた。
今すぐ始めてくれていい、と。もう夜の10時を過ぎているし、それは何を意味するのかといえば夜通し行われるということ。
どうせなら、相手にも休息の隙を与えないほうが都合がいい。
私は長時間自分の力を発揮することに長けている。全力は出せないけれど、私には私にしかない特別な能力がある。
前の世界で持っていた能力は総てが使えるはずだ。この前試した時は出来たし、今回もできるよね。
「そうか、分かったよ。おいで」
しかし、ルークエルリダスさんは私が強く突っぱねたというのに軽く笑うと余裕のある顔で手招きする。
私は隣で立っているレオさんとクレインクインさんを見つめた。
2人は同行したいんだって。……どうしたいんだろう?
私は自分の銃を担ぎ直して前に進む。
どうすればいいのかわからないけれど、条件は彼が私に与えてくれることでしょう。
「あの、気をつけてくださいね」
アンセルさんは、私を見て今にも泣きそうな表情であった。
私を気遣ってくれているらしい。別段悪い気はしないのだけれど、やっぱりどこか恥ずかしい。
でも、私は勝利を約束された銃を持っている。、能力も沢山、シルバくんが持っているであろうそれよりも多く持っている。
ネクストくんの加護もある。大丈夫、私は自分の成し遂げるべきことをきちんと成し遂げられるよ。
「君には戦ってもらおうと思っている。シルバ君にも言えることだが、この世界では力こそ評価されるところだからね」
「はい」
彼の話を注意深く聞いた。戦わされるのは予想済みで、問題は相手がどんな人なのか。
もしかしたら人ではないのかもしれない。
「シルバくんの世界の住民が、どれほどなのか少し見せてもらいたいんだ。……私としても一定基準以上の女性じゃないと歓迎はしたくない」
まあ、でしょうね。としか思えなかった。シルバくんのことだから、周りの好きでいてくれる女の子全員家族にしようとおもったんだろうね。
だからこそ、このルークエルリダスさんはそれを許容したんだ。そのかわり、試験としてこれを設けた。
シルバくんのせいかぁー、全部。
もう、戦えない女の子がシルバくんを好きになってたらどうするんだろうね。




