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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 鶴琉世乃
第11章:二柱【Two gods】
222/333

222 一体型武具

222話達成です。

「はぁぁ、心配ですよ私はシルバさんが!」


 その日の夜、俺に向かってそう呟いたのはエスペランサだった。

 もう夜も暮れ、明日の登校のためにほとんどの人が自室に戻っているだろうそんな時間だ。


 エスペランサの言っていることは、ヒョウリのことだろうとは予想ができる。

 そもそも、俺とヒョウリの戯れに近いドンパチに、一番早く駆けつけたのは彼女なのだ。


「それにしてもヒョウリ、か」


 感じにするとしたら、どうなんだろうか。

 あの異名、【雪精鍵姫スニョグリャチカ】といい、その吹雪のような態度・口調といい。


 普通に考えたら「氷莉」とかかな、よくわからないけど。

 この世界、人の名前に漢字はあまり使わないらしいから、本当の意味が込められていたとしてもこちらで判別するのは難しい。


 もしかしたら、「表裏」なのかもしれないしな。


「ヒョウリのデータとか、持ってる?」

「持ってますが、必要なんですか?」


 なんで持っているんだろう、という野暮な疑問は脇にどける。

 彼女は人間の事は分からないから、彼女の知識ではないはずだ。

 どこからか、情報を取り寄せてきたか。


 ……クインに応援を要請したのかもしれないな、エスペランサならそのくらい許可をとるまでもなくできるだろうし。


「失礼します」


 そんなことを言っていると、部屋のドアがそっと叩かれた。

 エスペランサがそちらに向かったのだが、ちょっと開いたドアの隙間から見えたのはレオの姿だった。


 彼女を部屋の中に招きいれ、クインの様子を訊く。


「クレインクイン様は、すでにご就寝になられました」


 そこではぅ、と一息。

 息を吐いたのではなく、息を吸ったのが「ふぅ」ではない原因だと思われる。


「どうした?」

「あの傭兵、ちょっと厄介ですね」

「どういう意味で?」


 忠誠心というものが分かっていないのです、とレオは息を次こそ吐く。


「私はクレインクイン様に、ゼロ=オール君はシルバくん含めレイカー家に、ほぼ忠誠心だけで従っているじゃないですか」

「そうなの?」

「はい」


 正直、俺も忠誠心とかよくわかっていないからな。

 前世は、親友と従兄弟が言っているままに戦いに参加した。


 もちろん、なぜ戦うのかっていうのは知っていた。

 自分の生活と、自分の大切な人を守るため。


 それを知っていて、しかし俺は護り切ることはできていないんだろうな。

 実際、「敗北」して俺はこの世界に来たのだから。

 だからこそ、この世界ではみんなを守りたいと思っている。


「まあ、いいんじゃない」

「ん? 愛情とかあるじゃないですか。私たちであれば、主を慕うっていう意味でですよ」


 それはね? 確かにあるけどさ。

 環境とかもあるんだよな、本当に。

 愛情を知らない人に対して、愛情をいくら説いたとしてもそれは理解できないんだから仕方ないね。


「あーレオ。あとで頼みたいことがあるんだけど」

「はい、今日ですか?」

「近いうちに。ちょっと開発したいものがあるから」


 はい、と頷くレオ。

 俺の作りたいものが分かっているのか、しかしその顔はあくまでも笑顔だ。


「クレインクイン様には作らないのです?」

「創るけど、まだ今の時期じゃないかな」


 元の形って言うか、もうクインの試作品はできているんだが……。

 クインが本当に必要になった時に渡すし、それは今じゃないと思っている。


 そんなことよりも、今先に作っておくべきはレオのものだ。

 ヒョウリにも作ってやるつもりだが、ヒョウリは後回し。

 取りあえず、クインを護衛しているレオを優先する。


 実際、ヒョウリの性格も残念ながら俺が後回しにしたい理由の一つだ。

 殺意を向けてくる相手に、どうやって武器を与えようなんて言う感情が出てくるのだろうか。


 今回はしかも、一式創る予定でいるし。鎧と、武器とその他いろいろ。

 その他いろいろと武器は鎧に合体させられるようにする。

 武器も変形させる。レオがどんな武器を得意とするかはわからないが、取りあえず剣・槍・斧くらいに変形させられればいいだろう。


「わかりました。……ええとでも私クレインクイン様から離れられないのですが」

「私が代わりにいるから、大丈夫です」

「そうですね、エスペランサさんなら」


 レオも知っているからなぁ。

 ていうか、知らなくてもエスペランサが謎法族カラミタである時点で心配は何もないだろう。

 


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