021 喧騒
うわぁシルバ酷い。
最後まで読んでいただければ光栄です。
俺の目の前に現れたのは、午後の3人だった。
獲物を見つけたような顔で、俺の方をみる。
ちなみに、俺は手袋をして鱗を隠し。
マフラーをして顔の下半分を隠している。
まあ、怪しい人であることは充分に自覚しているからにして、特に問題はない。
「夜は危ないって、ママに教わらなかったかい?」
ぎゃはは、と下品な笑いをあげる3人に嫌悪感。
いや、最初から嫌だったのだが、それが別の方向に、憎悪に変わっているような気がした。
「ほら、何かいったらどうだ?」
「……」
取り敢えず黙った。
別に意図はないが、どうやればこの人たちを暴力に持ち込ませられるのか分からない。
自分からいきなり殴りかかるのもなんか、違うような気がする。
ここは自己防衛に見せかけたほうが良さそうだ。
などと考えている間に、3方向を固められていた。
相手を怖がらせる方法をきちんと熟知しているようだ。
筋肉隆々の男が、ニヤニヤしながら取り囲んでいるという状況は、恐怖心をわかせるどころか、噴き立たせるものなのだろう。
無論、それは普通の人に対してのものであり、こちらからしたら全く脅威を感じない。
こんな……、警察に勝った『程度』の実力で俺に勝てると思うな。
「失せろ三下」
「はぁ!? お前、この状況分かっているのかぁ?」
いちいち小さい『ぁ』をつけないでほしいが。
鬱陶しい。こんな頭の悪そうな話の仕方しかできないのだろうか。
そのうち、タチュレンが我慢できなくなったのか。
「こいつウゼぇ!」
と、殴ってきた。
狙いは顎か。下からすくい上げるように殴るとき、ほかの部位をねらおうとしてもただただ動きが無駄なだけだ。
正直、顎を狙うのもどうかと思う。
俺はタチュレンの殴りかかった左腕を強引にたぐり寄せ、120度の方向にいたルーピーの方に投げ捨てた。
人一人分の体重を受けたルーピーは突然のことに全く反応できず転倒する。
……この人たち、本当に警察を潰したのだろうか?
ここの警察がとてもとても弱いのか、それとも俺が異常なのか。
おそらく、俺が異常なのだろう。
「この野郎っ!」
誰がこの野郎だ。
まあ、確かに野郎ではあるが。
俺は包囲を抜けると、そばにあった樽を力任せに持ち上げ残りの人に投げつける。
さすがに反応された。
樽が避けられ、地面にたたきつけられたそれは大きな音を立てながら中身の水をまき散らす。
「くそっ、タチュレン! 仲間を呼べ!」
「お、おう!」
お、相手の加勢がくるのか?
しかし、そんな事をやらせるわけなかろう。
俺は背中を向けて走り出したタチュレンの足に、作用点を地面にしてレベル10の引力をかける。
勿論、それで彼が動くのは限りなく困難になったはずだ。
「一人残らずぶっ飛ばす。そしてとっととこの村から消えろ」
「誰だお前は……!」
なんか、映画とかでよくある悪役の台詞だよなそれ。
……しかし、俺も善であるかと訊かれると、否と答えるだろうが。
御読了誠にありがとうございました。
やはりバトル描写というのは苦手ですね…。