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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 鶴琉世乃
第10章:決戦【Duel】
208/333

208 小話 銀世界

ラン視点。



「ふむ、この世界も楽しそうではあるな」


 運命神スロツ=トールは俺の話……つまりすべてを聞いてから、うんうんとうなずく。

 しかし、何か言葉を返してくれるのかと思えば、次に出た言葉がそれなのだから頭を抱えるのも分かってくれるだろうか。


「なあ」

「そうだ。……このままの名前ではなく、ほかの名前を付けてくれないか?」


 と、突然の命名権を渡され、俺は困惑する。

 自由奔放な神様だ、まったく。

 俺の能力を決めたのも、結局は運だったような気がするし。


 まあ、神様の考えを俺が理解しようとすること自体がおかしいのかもしれないけれども。


「どんな名前がいい?」

「そうだな。……できるだけ、ほかの神の名前はやめてほしいところだ。あとはどこの言語を使ってもいい」


 神の名前がNGというのは、それはそれで当たり前か。

 俺はうんうん、とうなって彼を見上げる。


 彼の体は、かなりの巨漢だ。

 俺の3割増しだろうか。


「学園につくまでにつけておくよ」

「おう、期待してるよ」


 こんなにフレンドリーに話しかけてしまって大丈夫なんだろうか。

 俺は存在を消されないんだろうか。


 ……俺の存在を消すつもりなら、最初にもう消しているか。


「実はな」

「ん?」

「ランを転生させたの、まったくの独断だったからさ……」


 と、おかしなことをいう。

 俺は転生のシステムがよくわかっていないため、何も答えることができず彼の説明を待つ。


 ……なるほど、つまり俺に味方する神は目の前にいる運命神しかいないわけだ。

 シルバはどうなんだろう?


「シルバ・エクアトゥールは3柱だな」

「さん!?」

「ああ、俺はあまり干渉できなかったが」


 つまり、彼は「龍眼族レザールであることも。

 魔剣鍛冶ができることも。


 すべて、神からの受取ものだということだろうか。


 うん。……物事が終わってから聞いているからまだ幾分か気分はいいが、直前に聞いていたら俺は絶望していただろうな。

 どうやって、シルバ・エクアトゥールに勝利すればいいんだろう。


「俺の干渉も程度は限られているし……。そうだな、少し考えてみることにするか」


 少なくとも、俺を切り捨てるようなことはしないようだ。

 ありがたい。心の支えになりそうな気がして、俺ははぁと安堵の溜息をついた。


 そんな俺を見て、しかしだと彼は忠告をいくつか説明する。


「基本的に、俺は戦闘には参加しない。できない」

「おう」

「もう少し強くなったら力を与えてやる。……お前の前世でいうレベルアップボーナスみたいなものだ」

「おう」

「あと……シルバ・エクアトゥールに何かおかしな場所はなかったか?」

「……希望神の英雄、とかに選ばれたらしい」


 俺が三つめの、質問に答えると運命神は目を見開いた。

 そして、俺のほうに息を吐いて「残念だ」と言葉をこぼす。


 もちろん、なんのこっちゃわかっていない俺は困惑した。

 この人は……この神はいったい何を言おうとしているのだろうと。


「あの人に、希望神がついている可能性が高いな。……このくらいのちんちくりんの女はいなかったか?」

「いたよ」


 エスペランサさんでしょう、と返事をする。

 と、運命神は幸せの逃げそうな深いため息をつき、「エスペランサ」はどういう意味かわかるかと俺に問うた。


「いや、しらない」

「お前のもといた世界の、スペイン語で【希望】だ。あとは、わかるな」


 ……理解。

 つまりは、そういう意味だったのか。


 俺は、彼と並んではぁと息を吐く。




 息は白くなって、白銀の森に溶け込んだ。


次回はまとめ。まとめが終わると次章へ。

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