020 夜
最後まで読んでいただければ光栄です。
よろしくお願いします。
俺は何故か、早く寝かせていただけることになった。
確かに、客人をゆっくりと休ませるのは当たり前かもしれないが、正直やりずらくなった印象である。
もしエスペランサが、もしくはエペ父が俺を確認してきたら……と思うと。
心配をかけてしまうという状態にはしたくないため、なんとか言い訳をつけて部屋に入ってこないことを約束させる。
エスペランサは訝しげな顔をしていたが、エペ父は「龍眼族には龍眼族なりの慣習が~」などといってエスペランサを無理矢理に納得させているあたり、なんか申し訳ない。
正直、俺は龍眼族の慣習とか何一つ知らないのだが。
とにかく、寝たふりをすることは出来た。
ベッドは少々硬かったが、この村では良いものなのだろうと推測できる。
土台の木は黒く、丈夫だ。
この世界、普通にエスペランサが「シルバさんは、明日の正午12時に出発ですか?」などと聞いてきたお陰で24時間周期だということが分かった。
時間感覚は前世とそんなに変えなくても良いようだ。
ちなみに、文明はかなり発達している。
電気は通っていたし、テレビもあった。
……こうなった場合、魔法は必要ないのではないかと思うほどだ。
「とりあえず……」
抜け出すか。
しかし、抜け出すのも一苦労。
ここは、とにかく寒いのだ。
窓を開けっ放しにしたら帰ってきたときにとんでもないことになりそうでもある。
取り敢えず、俺は【引斥制御】で音を立てないようにこびりついている雪、または氷を剥がし、ゆっくりと窓を開ける。
……寒い。
雪原の方が暖かかったのではないか、と勘違いするほど寒い。
どうなっているんだ。
ここの家の住民の心が温かい分、外の気温が冷たく感じられるのか。
んなことあり得るのか。
俺の心理がそうさせているのか。
……分からないな、さすがに。
「よっと」
俺は窓の枠に足を掛け、一気に外へ。
そして【引斥制御】を使用して宙に浮き、窓を閉める。
最後に地面への重力を調節しながら、音を立てずに着地した。
何処か不気味な雰囲気を感じた。
街灯もないらしく、町は暗闇に包まれている。
窓から僅かに漏れる光、そして月のような星のひかり。
そして、田舎だと感じさせる満天の星空。
「……」
こう言うときは、どうすればいいのだろうか。
まあ、適当に歩いていたら遭遇するだろう。
この小さな村だ、入れ違いにぐるぐると回らない限り、普通に……。
あ、遭遇した。
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