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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第9章:夏休暇【summer vacation】
183/333

183 魔導都市ギージック

「ここが、【ギージック】」

「そうですね。オウラン帝国の中で、一番発達している場所です」


 エスペランサのいう「発達している」とは。

 きっと、魔導学的に発展していることのことを指すのだろうか。


 王都スズナリの、アジア風な雰囲気とはことなり。 こちらでは、どうもサイバーパンクな印象をこちらに与えてくれる。


「何といっても、この動いている感じがたまらないね」

「……そうですね。視覚的にもはっきりと私たちに訴えてきてくれる……」


 なんというか、今しがた【デルエクス】でここまでは知ってきたのだが。

 なんというか、腕獣族ケレイジ領域テリトリーから械刃族サミュリの方向に向かっている途中で、奇妙な森林の横を通り過ぎた。


 機械でできているような、そんな雰囲気の森である。

 確か、エスペランサによるとそれは【機械樹】と呼ぶらしいが……。


「ここにも、あれはあるんだな」

「そうですね。……先ほどは近くで見られませんでしたが、ここならいくらでも観察できますね!」


 【機械樹】を見れば、それがごくごく小さなものであることは分かる。

 一つの樹だと思っていたものは、実は小さな木が集まった集合体であることがすぐに察せれれるのだ。


 また、その樹は有機物ではなく、一見すると無機物に見えているのだから面白いものである。


「そして、やっとここにたどり着いたわけだが……」


 少し、町の中心部に目を向けるとそこに広がるのは何とも言い難い光景。

 俺の心は、この都市に来てから揺らぎを止めることがなさそうだ。


「こういうの、よくわからないのですけれどもシルバさんは興奮する人なのです?」

「なんていうか、男のロマンが詰まっている気がするんだよな」


 剥き出しになった基幹部。

 そこには、色とりどりの歯車が複雑にそれぞれを、それぞれの別の歯車が干渉しあい、影響しあっていた。


 機械的なものを見てしまうと、どうしてもこころ踊ってしまうのは俺の悪いところか。

 いや、でもあんな感じの魔剣も一度作ってみたいものだな。


「あんな感じの魔剣は、魔剣じゃないのですよ?」

「ほう」

「完全な魔導学を駆使しつつ創るのであれば、それは【魔武具】ではなく技術の結晶。【技武具ぎぶぐ】という扱いになるのですよ」


 ほう、ここにも別の武具の名称が。

 今まで、俺が知っているものは魔法で作り上げる【魔武具】と、神の力で創りだす【神武具】だけだった。


 全部でどのくらいの種類があるのかと彼女に問いてもよかったんだが、そのくらい自分で調べるのもいいかと思ってやめる。


「とりあえず、宿を最初にさがそうか」

「そうですね。……ええと、こちらの名物はなにがあるのでしょう?」


 少なくとも、械刃族に温泉は必要なさそうだな。


 俺はエスペランサが座席の上にちゃんと座ったのを確認し、中心部に向かうことにした。

 ここまで工場が立ち上っているのだから、大気汚染は免れないだろうと覚悟をしていたんだが、どうもそのような様子は見受けられない。


「色とりどりの煙は、魔導的なものなので心配はないと思います」

「その話を聞いていたら、【魔導】って何でもできる気がしてきたよ」


 おそらく、それが本当なんだろうけれども。

 技術さえあれば、なんにでもなれる万能物質がこの世界にあったとしても、何の不思議もないのが本当に怖いところではあるが。


「それにしても、これは安全運転でいいな」

「もう少しシルバさんが【デルエクス】の仕組みを理解したら、改造しそうではありますけれども」


 そう言っているところ申し訳ないが、俺が自分で改造するくらいなら、もっと確実な方法を選ぶ、はず。


 と、ここまで来たところで道を【デルエクス】ではない他の【ナニカ】が走っているのを見つけた。

 【デルエクス】が100台あれば、その馬のような何かは2~3頭ほどしかいないのだが。


「ああ、あれは……。【械騎馬テクノホース】、ですよ」

「なんだそれ」

「何もそのままなんですが……」


 説明に戸惑うエスペランサ。

 しかし、うーんとうなっている彼女を見ていて可哀そうになり、彼女に考えるのをやめさせた。


「……説明、難しいんですもん」


 そういって、ちょっと拗ねるように頬を膨らませるエスペランサ。


 ……うん可愛い。

可愛い。

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