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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 天御夜 釉
第9章:夏休暇【summer vacation】
181/333

181 速報

前半:ラン視点。


後半:???視点。

「……ラン君、どこいくの?」


 俺は、ショックを受けていた。

 そうか、そういうことだったのかと。


 シルバ・エクアトゥールが帰ってきてから、上機嫌だったのはそれが原因だったのかと。


「別に」


 こうやって見ている限り、リンセルはこのことを知らされていないのか。

 でも、安心はできない。どうしても疑心暗鬼になってしまう。


 きつく彼女を突き放してしまったせいか、リンセルは一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに表情をもとのものに戻す。


「ラン君、変わっちゃったね」

「誰のせいだと思っている」


 みんなして、俺をだまして。

 こう考えてしまうと、俺がリンセルやアンセルを手に入れるチャンスが巡ってきたことに対しても、シルバが進言したからなのではないかと。


 前世でもバカにされ続けて。

 この世でも、そうされるのは悪いがごめんだ。


「俺は、今からレイカー家に行く」

「えっ!? でも、どうやって?」


 リンセルの顔が、真っ青に染まった。

 目は見開かれ、目の前に恐怖を見た、ような顔をしている。


 しかし、俺はそれに気づいていなかった。

 気づこうともしていなかった、という表現のほうが適切かっも知れない。


 気持ちで人をしばりつけられないのなら、力でねじ伏せる。

 拘束する。服従させる。


「シルバにできたことを、俺ができないはずがない」


 相手が龍眼族レザールで、特別に体力や気候に対しての耐性があったところで。

 他の女子生徒三人も、同じだったはずがないのだ。


「一人で、行くの?」

「カレルと」


 その言葉にはっとしたのか、リンセルは俺の後ろを見透かすように目を細めた。

 振り返れば、そこにはカレルがいることだろう。


「……カレル。そんなことしてお父様が納得するとは思えないよ」

「そうかな? 俺はシルバよりも、ランが君たちにはふさわしいと思うけれどもね」


 その言葉の本心が、どうなのか俺には分からない。

 もしかしたら本気で思っているのかもしれないし。


 あるいはもしかしたら、シルバとつながっているのかもしれない。

 だけど、俺はリンセルが好きだから。


 それが、どれだけ歪んで、いびつな形になっていようとも。

 愛情が、執着に変わっていようとも。








「そう、か」


 私は、カレルからの速報をあけ、ため息をついた。

 もう少し何とかならなかったのか、それとも相手が結果を急いだのか。


 私はシルバ君でいいと思ったのだが、相手はやはりそうか。


「転生者の子孫を、転生者の二人が取り合う、か」


 声を出せば、それが何らかの形になって先祖様たちに届くような気がして。

 その前に、誰に連絡を取らなければいけないのかはすぐに察しが付くのだが。


「ゼロ」

「はい」


 外で待機していた械刃族サミュリの男に、声をかける。

 無骨な機械で全身を覆い、さながらパワードスーツのように体を「要塞」化している彼の名前は、ゼロ=オール。


「今回来るラン・ロキアスという男と、前回来たシルバ・エクアトゥールという男。ゼロが支持するとしたらどっちに行く?」

「俺が選択できるというのなら、龍眼族レザールのほうですね」


 即答、か。

 なら、彼に任せてもいいだろう。


「では、ゼロ。シルバのところにこれを届けてくれ」

「速報封筒を使わない理由は、……ああ」


 すぐに理解してくれるのは、さすがだな。


「では、私は【械騎馬テクノホース】の許可を要請します」


 【械騎馬テクノホース】とは、械刃族サミュリにしか使いこなせないと思われる機械として生きている馬のこと。

 械刃族でも、乗りこなすことが可能な人は限られるのだが、彼はその中で最年少で可能になった人だ。


「許可する。……ええと、今はオウラン帝国に旅行だそうだから、そっちに向かってくれ」

「了解しました」

「あとこれ」


 私は、屋敷の壁に取り付けてあった一本の斧を彼に渡す。

 銀色に輝き、鈍色の場所なんて一つも見つからない。


 寧ろ、それ自体がほんのりと光を持っているようにも感じられる。


「これを、俺に?」

「何があるかわからないからな」


 私の言いたいことが分かったのだろうか、神妙な顔でうなずいたゼロは、踵を返した。


後半が誰か分かるかたは、いらっしゃいますかね?

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