174 都 スズナリ
お陰様で、2百万PV突破いたしました。
まだまだ、シルバの物語は終わりません、
これからも、「龍眼族の異世界魔剣鍛冶」を楽しんでいただければ幸いです。
夕方。
列車で5時間くらいかかっただろうか、軽く一眠りしてエスペランサに起こされ、窓の外をのぞく。
が、そこは残念ながらトンネルの中。
というわけで、駅を出て第一声。
「なんだここ」
「スズナリですよ?」
エスペランサは、俺をみてきょとんとしている。
が、え?
こんなものだっただろうか、なんだこの「外国人が考えた日本像+α」みたいなごっちゃ混ぜ感。
「なんだここ」
「……先ほどから同じことしか言ってませんよ?」
エスペランサは、なんとも思わないのだろうか。
いや、彼女はそもそもこの世界管轄の神だ。
これがふつうなんだろうな。俺は全く「普通」に感じられないが。
「いや、もっとちゃんとした所かなって」
「何がです? 私はシルバさんの世界を知らないのでこれがふつうかと思っていましたけど」
ほら、やっぱり。
この世界の人々、神はこれに何の疑問も持っていない。
どうやったら、夏のこの時期に桜。
桜は、アンセルが1年中咲き誇るっていっていたから妥協しよう。
何故、その隣には梅が?
梅は早春に咲くのではなかったか。
さらにそのとなりには、紅葉が落ちてるし。
訳が分からない。
もっとも訳の分からないことは、それがすべて一つの木から、ということだ。
「確かに、この世界だとこれが正しいんだろうけどさぁ……」
「……?」
さすがに、いろいろとカオスである。
不器用な神が、俺のいたような世界をモデルにつくったが、種類を分けるのが面倒になった。みたいなセンスを感じる。
と、俺はちょっと上を見上げ。
【それ】を見て、安堵したような、またかというような気持ちになった。
「アレが城?」
「そうですよ」
天守閣がある。
何階建てなんだろう。小さなビルに匹敵するくらいには高さがある。
そして、何よりも横にたいしても広い。
「アレが?」
「あの、先ほどから本当に、同じようなことを繰り返しているだけのような気がしますけれども」
いやだって。
ええ?
今日、ここに来てまだ30分も経っていないはずだが、驚くやら呆れるやらで。
正直、疲れた。
「うーん……」
「何がいけないのですか? 綺麗なスズナリの町並みですよ?」
エスペランサは、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、首を傾げて目を輝かせる。
ここに一度来たかったんだろう。
俺は微妙な気分だったが、今回はエスペランサのためだ。
楽しむことにしよう……。
「よ、よし。……取り敢えず宿を探そう」
「予算はどのくらいです?」
「最高級とは言わないから、エスペランサが満足できるような所で」
最高級はいくらかかるか分からないからな。
こんなになんというか、うん。
ていうか、こんなにも和風要素が入っているのなら、遊郭もあるだろうし、遊興する場所はいくらでもあるのだろう。
あと、ここは純和風ではないようだ。
駅から通りをずらっとみるだけでも、東アジアのいわゆる、日本・中国あたりの文化が「不器用」に混ざっている印象を受ける。
「うー。露天風呂は必要ですか?」
「あるの!?」
「ありますよー。個室と共同、どっちがいいですか?」
露天風呂、というのは日本だけではなく確か極北のほうの国でもあった気がするが。
もうすこし観光する時間があれば、カエシウスにももしかしたら同じものはあったかもしれないな。
あったわ。
とりあえず、ここは個室にしていただこう。
「個室るんるん♪ 一緒に入りましょうね!」
「お、おう」
エスペランサは楽しみにしすぎて音符マークが口から飛び出しているかのようだった。
そんなにもここが楽しみだったのだろうか。
しかし、そんなことよりも気になっていることが一つ。
「なあ、滅茶苦茶注目されていないか?」
「そうですね。……まあ、シルバさんはそれですし」
俺の小さな角と、顔や手の甲に浮き出ている龍鱗を指さす。
「私は、夏の薄着なので目立っちゃいますね」
薄く白いキャミソールに、白い肌。
そこまでは良いが、そこからが問題。
下着をつけているが、それでも心臓部からうねるように、また放射状に伸びるように全身に広がっている紋章は、イヤでもふつうの人々には目に付くのだろう。
「【龍眼族】と【迷法族】の二人ですもの、仕方ないですよね」
「……そう、だな」
ちなみに、ここに龍眼族は意外と居るような気がする。
ただ、確実に俺とは人種が違う。
……文化が東洋なら、龍眼族の人種……龍種も東洋風ということか?




