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龍眼族の異世界魔剣鍛冶  作者: 鶴琉世乃
第8章:平穏【calmquiet】
130/333

130 聖魔武具

今日も夜にもう一度更新しますー

 いつも通りだが、魔剣鍛冶区画には人が一人ともいなかった。

 普通の鍛冶実習室には、生徒が3人。

 黙々とやっているところ申し訳ないが、エスペランサの結界により「自然と鍛冶区域から離れたくなる」効果を持って退場していただいた。


 まあ、別校舎からは窓を通せばここは確認できるのだが。

 だからこそ、休日を選んだといってもいいだろう。


 もし今日が普通に授業なら、俺は日をずらすか放課後にするけれど。


「ここにある作業台は7個か」

「そうですね」

「真ん中にこれを置こう」


 作業台は、一つの作業台をほかの6つが囲むような形状になっている。


 そして、この7つを【聖魔作業台イージェル・クラフテーブル】というらしい。

 おそらく、学園は意図してこの配置にしたのだろうが、学園の中に何人、そもそもの魔武具を作ることができる人が存在するのか。

 そもそも教科書には魔剣の事は普通書いていないし、魔剣鍛冶は鍛冶とは違う授業。

 受講者は多いらしいが……。ロマン授業だよな、まったく。


「さて」


 俺は、自分のバッグから【氷結合金フロストアロイ】を真ん中の作業台にセットする。

 もちろん、魔力は流していないため鍛冶は始まらないが、その金属からは常にドライアイスのような白い空気が立っていた。


「エスペランサ、2セットずつ均等に流し込んでくれないか」

「はい」


 てくてくと棚のほうに向かうエスペランサ。

 すぐに俺も後をついていき、材料として使う金属を考えた。


 リンセルは【火】属性の使い手だったか。なら属性のバランスも考えて全属性のものを使うことにしよう。

 簡単に言えば、【氷結合金フロストアロイ】を媒体にして、他の金属を触媒とする。

 触媒とするものは金属でなくてもいい。非金属の触媒として一番有名なのは、魔石だろうか。


「うーん」

「どうしたんですかシルバさん」

「【火】属性の触媒は何にしよう」


 こういうとき、優柔不断になるのはいただけない。

 と、そばにあった赤い石に手を伸ばす。


「……赤石レッドストーン?」

「ええと、それは低ランクの魔武具に使うものですね。……ほら、これです」


 エスペランサは、俺の持っていた魔法バッグの紐にあったアクセサリーを指差した。

 これ、もしかしてアクセサリーのほうが本体なのか。


「それなら、こっちのほうがいいですよ」

火廣金ヒヒイロノカネか。じゃあこれにしよう」


 稀少金属らしく、会ったのは指先と同じくらいの小さなものだが、エスペランサによるとこれで充分らしい。

 とりあえず、これ。


「【氷】属性はいいか」

「ですね」


 【氷】属性の触媒は、媒体と同じものを削り出して使おう。





 こうして、6つの触媒をじっくりと時間をかけて選び、それぞれを外枠の作業台に乗せる。


 【火】属性は【ヒヒイロノカネ】、【氷】属性は【氷結合金フロストアロイ】。

 その他4つは、どれも希少材料。

 というか、稀少なものはもちろん反比例して魔力を多く放出する。


 あとで魔力が足りなくなったとき、俺から使う魔力をできるだけ少なくしようというわけだ。


「【虚無鉱エキシマイト】に【ミスリル】、【濃縮稲妻ライニン粉】」


 聞いたことのない、というかいかにもファンタジーな金属だらけでなんのこっちゃよくわからない。

 ほとんどエスペランサは辞書化していたし、少しひどいことをしてしまった気がする。


「一つの魔武具に、魔力7倍以上を注ぎ込むのか」

「そうですね」


 これだけ見れば、どうみても訳の分からないものができてしまいそうだが。

 これは、人を救うための楽器を作る作業である。


 作るのは水瓶型の小さなハープ。

 絵画では天使や女神が奏でているアレだ。


「さてさて。……作るとするか」


 ほかの6つすべての作業台の起動を確認して、俺は写本を例にしながら真ん中の作業台を起動。






 ただ上に漂っていたもやのような魔力は、それと同時に真ん中のへと、渦を巻きながら集合したのだった。


「さてさて。まってろよ」


 アンセルさん。

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