109 心境
「あの人、本当は神だったりとかしない?」
いったんルークエルリダスさんは王城に用事があるということで別れ、俺とエスペランサは二人の先輩を拾うために宿を回っていた。
どうも、明日の朝に王都の門のそばで待ち合わせだそうだ。
その間に、俺が問いかけたのがこの質問である。
「そんなわけないですよ。……ほかの神は、私みたいにそもそも人界に降りられないんです」
へえ、そうなのか。
よくわからないけど、とりあえず脱線気味の話題は別にしよう。
しかし、それでもあの人が、全能のようにも思えてしまう。
「でも、あの人は本当にすごい人みたいですね」
「え?」
だって、私に気づいても眉一つ動かさなかったんですよ? ともっともなことをいうエスペランサだった。
たしかに、そうなんだけれども。
「でも、彼の種族自身は普通の異能族なんですよね」
「そうなのか?」
「ええ」
エスペランサはうなずくと、前を向いて手を振った。
その先には、確かに先輩方がいたのだが。
「……ここのをとったのか?」
「……うん」
何かにおびえているような顔で、二人は同時にうなずくが。
それは、きっと恐ろしく感じてしまうほどの笑顔を、エスペランサが威嚇するように二人に向けているからだろう。
寒気が一気に体を走り抜けるくらいには怖い。
あどけないけれど、そんな顔もできるのか。
「あ、そうでした」
「ん?」
「ヴァーユウリンス・ヴァン・フロガフェザリアス先輩、アイライーリス・ホムラ・アマテノヴァル先輩。おふた方にお話をしたいので、シルバさんは少々席を外していただいてもよろしいですか?」
フルネームでわざわざ呼ぶのか。
……女って怖い。
俺はうなずくと、宿の1階にあった酒場に向かうことにした。
日はとっくのとうにくれているし、そばの店で開いている場所といえば食事関係の場所だけだ。
酒場の店主に、この近くの魔武具について何か情報をもらえればそれでもいいんだが。
「さて、先輩方。……少し歩きましょうか」
私は、シルバさんが酒場の中へ消えていったのを確認すると、二人の先輩方を見つめる。
両方とも、やっぱりおびえていますね。私が圧力をかけているからですね、逆に同じなかったら困るので、ここは安堵するべきですが。
「な、なんだ」
「これからについてですよ」
私は軽く作り笑いをしながら、先輩たちにこれから私と、シルバさんに対してどのような関わり方をするのか聞いた。
私が、自然な笑いをできるのは今のところシルバさんにだけ。
なぜなんでしょうね、本当に。
アイライーリスさんのほうは、希望神信者、つまり私の信者であるからそばにいてもメリットが多いと思うけれど……ヴァーユウリンスさんは、どうなんでしょう。 おびえながらも、私に対して敵意を向けるような顔もたまにしますし、そこまでシルバさんに心酔しているのですかね。
確かに、彼女たちの恋慕を成功させるには、私はもっとも邪魔な存在でしょう。
しかし、私だって負けるわけにはいきません。
私は、シルバさんがこの世界に転生する前から、シルバさんの事を知っています。
さすがに、前世の事まではわかりませんが……。
シルバさんがこの若さで戦士として戦い、敗北して死んだこと。
それくらいは、転生前の知識として持っていますから。
「……君は、いったい何者なんだ?」
「どういういみです?」
私が聞き返すと、ヴァーユウリンスさんは震える唇を動かして、数週間前私がやったことを言った後、目的は何かと聞いてきました。
こう聞かれると、困るのは私です。
私は自分が「希望神ホープ」であることを、いまのところでは晒したくないのです。
晒せば、シルバさんももちろん注目されるでしょうし、特に世界に危機が迫っているのではないかという気持ちがほかの方にもできるでしょう。
そうすると、シルバさんはせっかく人生をやり直したというのに、好きなことができなくなってしまいます。
「そうですね……。私は、シルバさんの隣にいたいだけですよ」
なら仕方ないです。ここは単に彼に対して好意を寄せている謎法族の少女という設定で行きましょうか。
本当は、今質問したことを忘れさせるように権能を使ってもいいのですが、シルバさんはあまり快く思わないようで。
「貴方たちが考えているより、ずっと前からシルバさんのそばにいますからね、私は」
ずっと前……?
転生のときは、時間という概念はあってないようなものですから、本当は彼女たちよりも2週間ほど長いだけなんですけどね。
活動報告にて、少々のお知らせというかなんというか。
詳しくは↓
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