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モフモフ



「なあ 髪の量が多い女の人ってさ、普通の人よりめっちゃ

いっぱい毛穴あるってこと?それって何かキモくね?」


やめろ!

なんでお前はいつも全く普通でないところに目をつけるんだ。

それもみんながあえて考えないようなグレーゾーンに。


なんにしても今のは

髪が豊かな女性に対する冒涜だ。


「いやな事言うなよ。俺はビジュアル的にペタッとした髪より

モフモフの方が好きだよ」


「二次元に限って、だろ?」


…そしてこいつはやけに鋭い。

俺が三次元に興味がないと知っての言動だ!


「だってそうだろ!?マンガのキャラクターなんてモフモフで

ナンボだよ!ペタッとしてたらいろんなヘアスタイルできないじゃん!」


「いや、俺はモフモフの女性をバカにした訳じゃない。ただ毛穴が…」


「だから毛穴とか言うんじゃねぇよ!」


俺が叩きつけるように言うと、やつは不満そうに黙りこんだ。

辺りに沈黙が降りる。

その一瞬の静寂は俺に冷静な思考力を与えるのに充分だった。


この時、俺は全く新たな事実に気付き、そして勝利が今まさに

己の掌に転がりこんできた事を知ったのだった。


俺は奴に静かに追いうちをかけた。


「なあ、思ったんだけどな。髪の量って、毛穴の数じゃなくて

髪の質で決まると思うんだわ」


予想だにしなかったであろう新論の登場に、奴の瞳が揺らいだ。

「髪の…質…?」


「ああ。細かったり太かったり、傷んでたり。

遺伝にしろ手入れの仕方にしろだ。だからな…毛穴の数なんてもんは、

全く髪の量に関係してねえんだ……」


「い…異議あり!その説はお前のモフモフ好きを正面から否定するぞ!」


「なんだって?」


「お前の言うところに寄ると、モフモフの女性は髪の手入れを

してないみたいじゃないか!謝れ!それこそ全世界のモフモフ女性に謝れ!」


モフモフモフモフうるせーな。

まあいい、俺の勝利は確定しているのだ。


「フフ……」


「!?何がおかしい!?」


「それは間違っている。お前が最初に言った事が裏目に出たようだな。

いいか、俺が好きなのは゛二次元のモフモフ゛だ!!」


「!!」


「そこには髪の手入れもなにも存在しない…゛そういうキャラデザだから゛で

済まされるんだ!!これでモフモフの尊厳は傷付かないぞ!」


「く…くそっ…負けた…初めから二次元の女にしか配慮は

してなかったということか…」ガクッ


「当たり前だろ」


「こいつ…狂ってやがる…」


「いや一番最初にキモいこと言ったのお前だよ…これに懲りてもう

毛穴がどうとかは言うなよ」


「へーい」


「くだらない事言い合ってたら…見ろよ、空が白んでるぜ…」




END






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