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ライラス少年の受難4

 

 

 可愛いカティ――その恥ずかしい言い回しで始まった手紙を、カトゥラはそっと開き、静かに読み進めた。

 始めの何行かにはどうみても親バカとしか思えない言葉が長々と続き、カトゥラの白い頬がほんのりと赤く染まる。

 眉を寄せて、呆れたような顔を浮かべたまま、カトゥラはなおも黙ってその先に視線を走らせた。

 やがて、細い指が手紙をめくり、その二枚目に視線が移った時、カトゥラは思わず唇をきゅっと噛み締めた。

 そこに書かれていたのは一枚目よりもずっと真面目な、顔も思い出せない父からの手紙であり、遺言であり、そして願いだった。

 それはまるでカトゥラの心にゆっくりと染み渡るような、そんな穏やかな言葉。

 彼女はそれを一文字ずつ丁寧に目で追った。

 

『――僕がこれを、君の目に触れないようにここに記すことにした事を、どうか許して欲しい。僕は君に、目に見える言葉を遺したくなかった。

 君が例え僕を忘れてしまっても、ずっと笑っていられるように。

 ここに記したのはただの僕の自己満足であり、単純な祈りであり、父親という生き物全てが抱くだろう当たり前の願いだろうと思う。

 

 カティ、どうか幸せに。

 君はなりたいものに何にだってなれる。

 水の神殿の巫女にも、街角の花屋さんにも、白亜の城のお姫様にも。

 僕のお嫁さんにだけは、なってもらえないのがとっても残念だ。

 だけど君が選んだならどんな道でもいいから、どうか自分に正直に、真っ直ぐ歩いていって欲しい。

 

 それと、もう一つ。どうかお母さんが新しい人と幸せになったとしてもそれを恨まないでおくれ。

 彼女に幸せになってくれと頼んだのは僕だから。だからどうか、それをわかってやって欲しい。

 

 こんな所に書いておいて、何を言っているのかときっと皆笑うだろう。

 けれどここに込めた僕の想いの、ほんの欠片くらいはきっと君に届くと僕は信じている。

 

 可愛いカティ、どうか、どうか幸せに。

 沢山の事は望まないけれど、君の目の前の道が、僕らが歩いた道よりもほんの少し暖かく明るい事を、いつまでも祈っている。

 

 ハイル・ルトフィー』

 

 そういえば父はそんな名前だったか、とカトゥラは口の端に薄く笑みを浮かべた。

 確かに、マグルールというのは母が再婚した義父の姓だ。

 今の今まで、そんな事を思い出しもしなかった事に笑いがこみ上げる。

 

(……馬鹿じゃないの。娘に、名前すら忘れられてるのよ)

 カトゥラの手の中の手紙が、くしゃりと小さな音を立てて歪んだ。

(どうせなら、もっとちゃんと――)

 カトゥラは何故だか無性に笑い出したい気分だった。

 なのに喉元からは何か別のものがせり上がってきて、彼女の息を詰まらせる。

 歪んだ手紙を見下ろす視界が、どうしてか更に歪み、ぼんやり滲んでゆらりと揺れた。

 

 

 

 

 紙面に目を落としていたカトゥラの手が震えていることにライラスは気がついていた。

 けれど気がつかないふりをして、そっと目をそらす。

 ライラスはまだ家族を失った事はない。大切な物はまだ全て傍にある。

 それがどれほど幸運なことなのか、ライラスは胸の内でかみ締めていた。

 目の前の彼女の事をライラスは何も知らない。けれど、彼女にとってあの手紙――遺言が、大切な物なのだろう事は想像が付いた。

 目に見えない形でそっと想いを残した彼女の父に対して、ライラスは同じ魔技師としてなんだか少しだけ誇らしいような気持ちを抱き、それが少し不思議だった。

 

 ライラスは自分の祖父のことを思い出していた。彼の祖父は寡黙な性質で、言葉で多くを語るような事はあまりしない。

 けれどその背中や眼差し、そして何より彼の作る物が、その気持ちを雄弁に物語っている。

(俺たちは、語る言葉は持たないけれど、想いを込める事のできる指を持っているんだ)

 ライラスは自分の祖父が作る、物言わぬ道具なのにどこか特別なそれらを思い出す。そこに込められた不器用だけれど暖かい想いは、誰にも知られぬまま、ただそれを身につける人を守り続ける。

 彼は昨日アーシャが言っていた言葉について考えを巡らせた。

(取るに足らないようなささやかな願いや、口にされることのない小さな祈り……けれど、誰かにとっては必要な想い)

 自分もいつか、誰かに贈る物を作る時、そんな風に想いを込めることがあるのだろうか。

 そんな時が来る事を少しだけ願い、ライラスは笑みを浮かべて晴れた空を見上げた。

 

 

 しかし、そのまま時間が経つにつれ、ライラスは段々と落ち着かなくなってきた。

 魔法学部の出入り口からさほど離れていない場所でカトゥラを呼びとめ、手紙と髪飾りを返したのだが、その場所が悪かったのだ。

 失敗した、と今更気づいてももう遅い。ライラスは自分達に向けられる下校途中の生徒達の好奇心に満ちた視線に晒され、実に落ち着かない気分を味わっていた。

 周囲にはさほど生徒は多くないし、大抵は二人をちらりと見ると立ち去っていくのだが、それでもそのうちの何人かはこちらを興味深そうに見ている気配がする。

 考えてみればライラスはともかくカトゥラは魔法学部ではそれなりに名も顔も知られているのだ。

(……これって、もしかして結構まずいんじゃ)

 もしかしなくてもこの様子は恐らく、ライラスがカトゥラに手紙を渡してそれを読んでもらっているという風に見えるだろう。

 ある意味それは事実でもある。

 

 さっさとここを立ち去らないとまたおかしな噂になるかもしれない事に気づき、ライラスはカトゥラからそっと一歩離れた。

「あ、あのさ、それじゃあ俺はこれで。護符の効果が薄いとかあったら、また連絡くれれば……って、うえっ!?」

 この場を離れるべく一歩後ろに踏み出し振り向いたライラスは、目の前の少女を見て思わず声を上げた。

 なんとカトゥラは手紙を両手で握り締めたままぽろぽろと涙を零していたのだ。

 

 ライラスがあげた声に、周囲を歩いていた生徒達が何人か足を止める。

 だがカトゥラは何も言わずに手紙を見つめたままだ。

 ぱたぱたとこぼれた水滴が彼女のローブや地面に黒い染みとなって吸い込まれていく。

 彼女の涙に気づいた通行人達の視線は剣呑な気配を帯びてライラスに向けられた。

 俺は何もしてない! と叫びたい気持ちをライラスは懸命に抑えながら、何とかカトゥラを宥めようと彼女に声を掛けた。

「な、なぁ、どうかしたのか? 何か辛い事でも書いてあったのか?」

 だがカトゥラは微かに首を横に振るだけで、ライラスの言葉に応えなかった。

 それどころか彼女は慌てて近寄ってきたライラスのローブの端を捕まえると、すがりつくようにその胸に飛び込んだのだ。

 カトゥラとさほど背丈の変わらないライラスはぶつかられてよろめき、それでも懸命にその場に踏みとどまった。

 だがどうにか踏みとどまったはいいが、それ以上どうする事もできない。

 むしろ二人の距離が縮まった分周囲から向けられる視線が数を増やし、鋭さや冷たさが更に加わったように感じられた。

 ライラスは彼女に手をかける事も振り払う事もできないまま、もてあました両手をぱたぱたと虚しく上下させた。

 

「どうしたの?」

 不意に横合いから細い声が聞こえ、ライラスはハッとそちらを振り向いた。

 そこには帰り支度をしたアーシャが不思議そうな顔をしながら立っていた。ライラスに少女が天の助けのように見えたとしても仕方ない。

「グラウル! 頼む、助けてくれ! お前の書いたあの紙を渡したら、彼女が泣き出しちゃって……」

 ライラスの必死の形相にアーシャは不思議そうな表情を浮かべながら近づき、彼にすがり付い肩を震わせているカトゥラを見つめると納得したように頷いた。

「何とかしてくれぇ」

 その情けない声に頷き返し、アーシャはトントンとカトゥラの肩を軽く叩く。

 カトゥラは顔こそ上げなかったが、肩を叩いたのが誰かはわかったらしく、小さく首を横に振った。

「はい、これ。ね、ちょっとあっちに行こう?」

 アーシャはライラスのローブを掴んだままだったカトゥラの手を取り、ハンカチを握らせた。そして彼女のローブの袖を引っ張って、人気のない方へと誘う。

 カトゥラは頷いてハンカチを顔に当て、ライラスから離れた。

 ライラスは思わずほっと息を吐き、彼女から距離を取ろうと一歩足を引いた。けれどまだ彼女の反対側の手が彼のローブを掴んだままで、それ以上離れることは出来なかった。カトゥラはその手を放す気配もなく、もう片方の手に握ったハンカチで目元を覆っている。

 アーシャはそのカトゥラのローブの端をちょいちょいと引っ張り、彼らを先導して歩き出した。

「こっち。ライラスも来て」

「あ、ああ……」

 どのみちカトゥラが手を離してくれなければ付いていくしかない。ライラスには今の彼女を振り払う度胸はなかった。

 

 

 アーシャはゆっくりと二人を先導して魔法学部の校舎の脇を回りこみ、その裏手へと出た。いつもアーシャが昼寝をするほど奥の場所ではないが、それでもこの辺りに人影はない。

 幾何学上に形作られた背の高い植え込みの向こうへ回り込むと、そこには細長いベンチが一つ置いてあった。

 アーシャはカトゥラの手を引いて彼女をそこへ導き、そっとベンチに座らせた。ローブを掴まれたままのライラスもよたよたとついて来る。

 ハンカチの下でずっとしゃくり上げていたカトゥラも少し落ち着いたようで、今は恥ずかしそうに目元を染めて顔を伏せていた。

「少し落ち着いた?」

 少女の問いにカトゥラは小さく頷き、けれどまた一粒涙をこぼしてゆっくりと口を開いた。

「……ごめんなさい」

「何が?」

「魔法競技会の時……ライラス君に怪我をさせたのは、私なの」

「ええっ!?」

 驚いたライラスが上げた言葉に、カトゥラは更に顔を俯かせた。返してもらったばかりの髪飾りが頭の上で大きく揺れる。

「貴方達の行動を調べて……階段の上に、氷を張ったの。一応、ひどい怪我をしすぎないようにって段数の低い階段にしたけど……ずっと、謝らないとって思ってて……本当に、ごめんなさい」

「それで……」

 妙に滑った石段や、カトゥラが自分の名前を知っていたことの理由がわかり、ライラスはふぅ、とため息を吐いた。

 

 それらの事に大体の予想がついていたアーシャは別段驚きは覚えなかった。少女にとってはそれよりもカトゥラのが素直にそんなことを口にした事への驚きの方が大きい。

 修理した髪飾りに、素直になる魔法でもかかっていたのかとアーシャは思い返したが、そういう魔法の痕跡は見かけなかった気がする。

 ならばやはりカトゥラの手にしっかりと握られたままの、あの手紙がきっかけとなったのだろう。

 そんなことを考えながらアーシャは微笑みを浮かべた。

 カトゥラの父親の願いや祈りは確かに彼女に届いたのだ。それがアーシャにも、何故だかとても嬉しかった。

 

 

「もういいよ」

 しばらく黙ったままだったライラスは頭を掻きながら、困ったような笑顔で優しくそう告げた。

 その言葉にカトゥラが弾かれたように顔を上げる。

 その顔は涙で濡れ、以前より薄くなった化粧があちこち崩れて落ちかけている。化粧が薄いおかげで被害は小さいが、それでもいつものきっちりと飾った顔からは想像もつかない姿だ。

 けれどそれはいつもよりもずっと素直で、歳相応で可愛いとライラスには感じられた。

 

「もういいよ。怪我も大したことなかったし、もうとっくに治ってるしさ。こうして謝ってくれたんだから、もう十分さ」

「けど……骨折したし、大会にも出られなくて……」

「大会には出られなかったけど、グラウル達はちゃんと優勝したからな。俺が出るよりかえって良かったかもだよ」

 ライラスは明るく言い切ると照れたような笑顔を浮かべ、カトゥラの手に握られたままの手紙を指差した。

「それよりもさ、俺は、嬉しいんだ。こうやって魔具がきっかけになった不思議な縁があったことが嬉しい。様式の違う、珍しい魔具を直させてもらって、そこに込められた想いの端に触れる事ができて、すごく楽しかった。あんたの親父さんみたいな、面白くて腕の良い魔技師の技を見れて良かったと思うよ」

 ライラスの言葉にアーシャも深く頷いた。

 思い返してみればカトゥラとの出会いがアーシャやライラスを始め、周囲にもたらしてくれた変化はとても大きい。

 最初は印象の悪かった出会いでも、時が立ってこうして笑顔を向け合うことができることは幸運だと二人には素直に思えた。

「だから、もう泣くなよ。良かったな、親父さんの言葉が届いて」

 

 ライラスの優しい声にカトゥラはまたくしゃりと顔を歪め、ハンカチに顔を埋めた。

「なんで……なんでそんなに優しいのよぅ」

「わわっ、おい、泣くなって!」

 泣き止むどころかまたしゃくり上げ始めたカトゥラに慌て、ライラスは彼女の肩に手をかけた。

「うわっ!?」

 ところがその手が細い肩に触れた途端、カトゥラはその腕の方向に身を翻し、うろたえるライラスにぶつかるように抱きついた。

 突然の展開にライラスの顔はたちまち赤く染まる。冷や汗が背中を伝い、行き場を失った手が虚しく宙を彷徨う。

「なんで魔具のことばっかりなのよ……ばかぁ」

 小さく呟いたカトゥラの言葉はうろたえきったライラスの耳にかろうじて届いたが、残念ながらその脳までは達しなかった。

 

 ライラスはまたもどうしていいかわからず助けを求めるようにアーシャの方向を見たが、なんとそこには既に誰もいなかった。

「お、おいっ、グラウル!?」

 慌てて周囲を見回すと、遠くの方に校舎に向かって歩いていく小さな姿が見える。

「グラウルー!」

「ごめーん、今日図書館に新しい本が入るんだ。急がないとなくなっちゃうからもう行くね! がんばってね!」

「そんなっ、おい! この、薄情者ーっ!」

 

 ライラスの悲痛な叫びを後に残し、アーシャはパタパタとその場を逃げ出した。

 図書館に向かって小走りで移動しながらアーシャは残してきた二人のことを思い、前にディーンから忠告された言葉を思い出す。

 以前、ジェイとシャルの不毛な口喧嘩を止めた方がいいのかとアーシャが迷っていた時、ディーンは重々しくこう言ったのだ。

 

『いいか、アルシェレイア。アレは実は喧嘩ではない。一般的に、二人の男女が言い争って泣いたり喚いたりしているのを目撃したら、殺気が湧き出さない限り介入するのは得策ではない。手を出すだけ馬鹿を見るからな。そういう時は相手がこちらの存在を忘れた隙にそっとその場を立ち去るのが礼儀というものだ』

 

 実際にジェイとシャルの喧嘩以外でそういう場面に遭遇したのは今回が初めてだったが、アーシャは律儀にその忠告を守って礼儀正しく修羅場から遠ざかる。

 面白い魔具を修理でき、父親という存在の遺した優しい気持ちに触れ、カトゥラの意外な一面も見れて、アーシャはとても得をした気分だった。

 後はライラスがきっと上手くやるだろう。

 アーシャは珍しく一人でにこにことしながら日暮れてきた学園を走り抜けた。

 

 後に残されたライラスがカトゥラをどうにか宥めるまで、結局このあと一時間以上の時間が費やされることになるという事は、アーシャには特に関係のない出来事だった。

 

 

 

 

 ――後日――

 

 

「ちょっと、どう言う事なの!?」

 放課後の帰り道でライラスは怒り心頭といった様子のシャルに突然捕まり、激しく詰め寄られ、大いに慌てていた。

 シャルの後ろには何故かディーンの姿もあり、そちらは一見静かに佇んでいるが、何故か何ともいえない威圧感のようなものがひんやりと流れてくる。

「な、何なんだよいきなり!」

 二人に責め立てられる理由がわからず、ライラスは襟を引っ張られつつも上ずった抗議の声を上げた。

「何って、あの噂よ! 魔法学部に今朝からずっと流れてる噂! まさか知らないの!?」

「し、知らないって! 噂って、一体何のことだよ!?」

 噂、と聞いて嫌な予感がライラスの背筋をかすめる。

 話を理解していない様子のライラスに、ディーンがゆらりと動いて近寄った。

「君がアルシェレイアとカトゥラを天秤にかけた挙句にカトゥラを振り、しかし彼女に泣きつかれて絆され、やはりアルシェレイアを捨ててカトゥラと付き合うことにした、という噂だ」

「はぁ!?」

「そうよ! あんたねぇ、どう見たってあんな女よりアーシャの方が可愛いじゃないのよ! アーシャを選んでも付き合わせやしないけど、どう言うつもりよ!」

「ご、誤解だ! 濡れ衣だ!」

 がくがくと揺さぶられてライラスは悲鳴のように叫んだ。

「どう考えても大嘘だろ、それ! グラウルに聞いたら絶対嘘だって言うってば!」

「アーシャは今日はどうしてか授業を休んでるのよ! あんたに振られて傷ついたんじゃないかって言われてるのよ!」

「君が誰と付き合おうと我々の関知するところではないが、仲間に何かあったのなら黙って見過ごす訳にはいかない」

 カチリ、と微かな音がディーンの左の腰の辺りから聞こえ、僅かに見えた銀の刀身がキラリと煌いた。

 ライラスの背中を嫌な汗が伝い、顔色がますます悪くなる。

 その時、遠くから明るい声がライラスの背中に掛けられた。

「あ、ライラス君、ちょっと待って! ねぇ、良かったら一緒に帰らない?」

 その声にライラスの襟首を掴む手に更に力が込められ、少しずつ呼吸が苦しくなる。

 一体何がどうなってこんな事態になっているのかライラスにはさっぱりわからなかったが、一つだけ、確実に彼にもわかったことがあった。 


(絶対、今の俺には女難の相が出てるに違いない!)

 

 どこからも得られそうにない助けと、ついこの前まで当たり前に享受していた平穏な日々が再び訪れる事を求め、ライラスは薄れてゆく意識を総動員してあらゆる神に心の底から祈った。

 ライラス少年の人生最大の試練は、どうやらまだまだ終わりが見えないようだった。

 

 

 

 ちなみにアーシャはその日、図書館で借りた本を徹夜で読みふけり、盛大に寝坊したので自主休校だったとか。

 

 

 終


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