魔王の城
きれいな青空・・・
澄み渡る空気・・・
明るい日差し・・・
ーーーーーーーーーーー……・・・
美しい花々が咲き乱れ、小鳥のさえずりが聞こえる・・・
木々が生い茂り、小川を流れる清水の囁きが聞こえる・・・
そんな美しい場所に、そら高くそびえ立つ魔王城があった。
まるで魔王など居ないと思わせるほど美しい城に、確かに魔王は住んでいた。
美しい花々が咲く花畑に、漆黒のマントを肩に羽織り、その花々を愉しんでいる人物がいた。
彼の髪の毛は銀と薄紫を混ぜたような色をしている。
彼の顔には傷があり、左目の方は包帯で覆い隠されている。
服は、まるで王子かと思うようなきちんとした服・・・彼はこの姿で剣を持ち、戦うのだ。(イメージ参考・・・マルスとアイクの服の中間点)
彼こそがこの美しい城に住まう魔王だった。
魔王は悪い人間ではなかった・・・
人々を苦しめようとは考えなどしないし、世界征服をたくらむわけでもない。
ただ、この魔王は皆が“幸せ”であってほしいと考えていた。
彼は昔・・・“光の者”になりたがっていた・・・
この世界では“光”と“闇”が存在し、同時に“天使”と“悪魔”が存在していた。
それぞれの中心は“悪天使”と呼ばれていた。
子供のころは努力さえすれば悪魔が天使にだってなれたのだが・・・。
彼はなれなかった
彼は昔から“闇”の力が強かった。
しかし、彼は優しく、人々を苦しめたくはなかった。
彼は貴族だった・・・光の勇者と闇の魔王の間の子、
とても優しく、真面目だった彼を変えたのは・・・
とある光の勇者・・・名は『フェールル』
彼女はそんな真面目な彼の親を殺した
そこが魔王城で、彼の親が魔王だったからだ・・・
普通のRPGでは魔王を倒すのは勇者として普通だが・・・
それはもはやゲームだけ・・・
誰を殺しても、相手が魔王でも・・・
殺したことに変わりない・・・
彼女は最後に彼の目を斬った
彼は両目をやられ・・・
開いていた窓から飛び出した・・・
彼は“光”が嫌いになった
そして・・・今、彼は魔王として、闇として生きている。
「あの、レフェク様・・・?」
後ろから部下の声が聞こえた
レフェクは振り返らず尋ねた
「どうした?アザード。」
「いえ・・・ずいぶんと華やかになったなぁと思いまして。」
(華やか・・・か、魔王としてはありえない光景なんだろうな・・・俺は特にそうは思わないし、むしろこちらのほうがいい・・・。俺は変わっているだろうか・・・。)
レフェクは少し遠くを見るような目で呟いた
「アザード・・・俺は変わっているか?ほかの魔王と比べると・・・。」
アザードはきょとんとして・・・それからきっちりと答えた
「変わってなど居ません、魔王であっても王は王・・・当たり前のことですよ・・・周りが変わっているんです。」
レフェクは少し微笑んだ・・・。
少しうれしかったのだ。
魔王・・・そう聞くと誰もが嫌がり、嫌い、
勇者と聞くと人々は『魔王を倒せ』と口々に叫んだ
勇者は魔王ならば躊躇などせずに戦い、殺し、
英雄扱いされて一生を終える
だが、魔王には魔王の事情があり、魔王になりたくてなったんじゃないやつも大勢いるし、
勇者のことを“悪魔”だと思う魔王も少なくない・・・
魔王・・・それだけで嫌われる彼らは・・・
本当は優しく、王のような人かもしれない・・・。
人は見かけでは判断できない・・・そう思われ続けている
しかし、それは間違いだ・・・。
人の心が美しければ、
普段の服装、雰囲気、しゃべり方、礼儀がきっちりしてくるはずだ
心は見た目に表れる・・・。
魔王だからと決め付けてはならない・・・。
人は見かけじゃない・・・中身
だけど中身で判断するのは難しい・・・
長い間一緒に居ないとわからない・・・。
だから、その人の見た目から心を探す必要がある・・・
そんな時、礼儀や服装、雰囲気、しゃべり方・・・
この四つをみるといい
どんなにがんばってもここは心が出る・・・
ここを見ればわかるだろう・・・。