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ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張(リテイク)で忙しい〜  作者: かるびの飼い主
第2章:食物連鎖の底辺が国を作るなど、生態系としてあり得ないから嫌いだ。

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第9話:『魔王軍四天王? 役職名が抽象的すぎる。業務分掌を明確にしろ。』

急速に発展する地下都市。

それを脅威に感じた魔王軍が、四天王の一人を送り込んできます。

「我こそは魔王軍四天王が一人! 『灼熱のヴォルカン』なり!」


 都市の正門前で、全身から炎を噴き出す巨漢が叫んでいた。

 周囲の温度が急上昇する。本来なら絶望的な状況だ。

 だが、正門の受付に座るゴブリン事務官は、眉一つ動かさなかった。


「……えーっと、アポイントメントは?」

「は? あぽ……?」

「入国申請書はお持ちですか? 危険物(その炎)持ち込みの許可証は?」

「うるさい! 我はこの国を焼き尽くしに来たのだ!」


 ヴォルカンが炎の拳を振り上げる。

 その瞬間、スライムがヌッと現れた。


『騒々しい。業務妨害だぞ』

「貴様がこの国の主か! 燃え尽きろ!」


 轟音と共に放たれた獄炎。

 だが、俺は【管理者権限】で、その炎の「属性定義」をいじった。


 *Change_Attribute (Fire -> Heat_Source);*


 炎は攻撃判定を失い、ただの「すごく温かい熱源」に変わった。

 ヴォルカンの拳が俺に触れるが、ポヨンと弾かれる。


「な、なんだ!? 我が炎が効かぬ!?」

『熱力学的には優秀だな。その熱量、捨てるには惜しい』


 俺はヴォルカンの周りをくるくると回りながら査定した。


『採用だ』

「は?」

『我が国の焼却炉および火力発電部門のヘッドハンティングだ。四天王なんて曖昧な役職より、エネルギー管理部長の方がやり甲斐があるぞ。給与は魔鉱石現物支給。福利厚生完備だ』

「な、何を言って……」

『ゴブ爺、雇用契約書を』


 横からサッと書類が出てくる。

 俺はヴォルカンの腕を取り、無理やり拇印ハンコを押させた。


「あ」

『契約成立だ。明日から焼却炉で働け。その熱があれば、都市全体の暖房も賄える』


 呆然とするヴォルカン。

 しかし、その後の彼は「自分の炎が誰かの役に立つ」喜びに目覚め、魔王軍時代より遥かに生き生きと働き始めた。

魔王軍の幹部すら、適材適所で再就職させてしまいました。

「四天王」より「エネルギー管理部長」の方が、確かに聞こえは良いかもしれません。


次回、建国編完結。そして現世へ。

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