表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご都合主義について物申す。〜敏腕編集長は異世界出張(リテイク)で忙しい〜  作者: かるびの飼い主
第2章:食物連鎖の底辺が国を作るなど、生態系としてあり得ないから嫌いだ。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/19

第7話:『村作り? まずは都市計画法と建築基準法を守れ。』

ゴブリンたちを正座させたスライム(ソラ)。

彼らが案内した「村」は、あまりにもお粗末なものでした。

ゴブリンたちの案内で、俺は洞窟の奥にある「集落」へと向かった。

 だが、そこにあったのは惨状だった。

 腐った木材を立てかけただけの掘っ立て小屋。垂れ流しの汚水。ハエがたかる食料庫。


『……解体だ』

「へ?」


 案内役の老ゴブリン(ゴブ爺)が呆けた声を出す。


『建築基準法違反だ。耐震構造になっていない。震度3で倒壊するぞ。それに、この排水システムはどうなっている? コレラが蔓延するぞ』

「け、建築きじゅん……? しかしスライム様、我々には技術も道具も……」

『道具がないなら、知恵を使え。魔力を使え』


 俺は【管理者権限】を発動し、地面に青く光るグリッド線(設計図)を展開した。


『区画整理を行う。居住区、商業区、そして廃棄物処理施設を分ける。まずは上下水道の整備からだ。川の水をろ過する魔法陣を、あそこの岩盤に刻め』


 俺の指示は絶対だ。

 ゴブリンたちは泣きながら、しかし強制力によってテキパキと働き始めた。

 土魔法を使える個体には基礎工事を、火魔法を使える個体にはレンガの焼成を命じる。


「す、すごい……! ただの泥が、硬いブロックに!」


 ゴブ爺が感動している。

 俺は彼を見据えた(目はないが)。


『爺さん。お前には「戸籍管理」を任せる』

「コセキ……ですか?」

『そうだ。誰がどこに住み、何のスキルを持っているかリスト化しろ。労働力の適正配置アサインを行う。……手書きでいい、フォーマットはこれだ』


 俺は脳内のExcelシートを念写して渡した。

 ゴブ爺の目の色が変わった。

 彼は震える手で羊皮紙を受け取ると、背筋をピンと伸ばした。


「……承知いたしました。このゴブ・ロウ、命に代えてもこの帳簿を守り抜きます」


 数日後。

 そこには、整然と区画整理され、石畳が敷き詰められた「近代的地下都市」が爆誕していた。

 ゴブ爺は丸メガネ(俺がガラス生成で作った)をかけ、冷徹な事務官へと進化していた。


「おい、B区画の工期が遅れているぞ。進捗報告書を出せ」

「ひぃぃ! ゴブ宰相、厳しい!」


 ……うむ。

 やはり組織は、管理システムさえしっかりしていれば回るものだ。

ゴブリンの村が、数日で近代都市へ。

ゴブ爺が敏腕官僚になってしまいました。


次回、スライムといえば「捕食」?

いいえ、編集長はそんな野蛮なことはしません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ